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何度死んでも、俺は人間側じゃないらしい  作者: 東海林


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16話

「……遅い」


黒瀬が、そこにいた。

さっきまでいた場所じゃない。

誰も反応できない位置。


「――ッ!?」


次の瞬間、隊員の一人が吹き飛ぶ。


「総員、散開!!」


城崎の声が飛ぶ。


「包囲を維持しろ、距離を取れ!」


だが、


「……意味ねぇよ」


黒瀬が笑う。


その動きは、もはや人間じゃない。

速いとか、そういう次元じゃない。


「……見えてる」


全員の動きが、分かっているみたいに。


「……邪魔だな」


踏み込む。一人、二人。

正確に、無駄なく、無力化。


「……っ!」


誰も追いつけない。



「……黒瀬!!」


一ノ瀬が叫ぶ。


「……止まって!!」


その声に一瞬だけ、黒瀬の動きが止まる。


「……あ?」


ゆっくり振り向く。


「……なんだ」


声が低い。でも、


「……少しだけ、聞こえてる」


ほんの少しだけ、元の黒瀬が、残ってる。


「……雫か」


名前を呼ぶ。


「……黒瀬」


一歩近づく。


「……戻って」


「……無理」


即答。


「……でも」


少しだけ首を傾ける。


「……なんでだろうな」


一瞬、迷う。

その隙に


「――今だ!!」


城崎の合図。複数の拘束具が飛ぶ。

鎖のような光。


黒瀬を包む。


「……っ」


一瞬、動きが止まる。


「……捕らえた!!」


隊員の声。だが、


「……甘い」


黒瀬が呟く。

次の瞬間、拘束が裂けた。


「――な!?」


「……だから言ったろ」


軽く腕を振るだけで、拘束が弾ける。


「……無理だって」




「……黒瀬」


一ノ瀬が前に出る。止めるように。


「……やめて」


「……やめてるだろ」


「……違う」


首を振る。


「……これ以上」


声が震える。


「……壊れないで」


「……」


その言葉に、黒瀬が少しだけ黙る。


「……壊れてるよ、もう」


小さく返す。


「……でも」


一歩近づく。


「……まだ残ってる」


「……何が」


「……あなた」


その一言。


「……」


黒瀬の目が、わずかに揺れる。


「……黒瀬」


さらに一歩。距離が縮まる。


「……戻って」


手を伸ばす。触れようとする。


「……っ」


その瞬間、黒瀬の体が、強く揺れる。


「……うるせぇな」


低い声。


「……邪魔すんな」


その奥に、別の声が混ざる。


「……消えろ」


刀を振り上げる。一ノ瀬に向かって。


「……っ」


動かない。避けられない距離。

でも、


「……黒瀬」


目を逸らさない。


「……止まって」


振り下ろされる――直前、


「――ッ!!」


刃が、止まる。

一ノ瀬の目の前で。数センチ。


「……ぐっ」


黒瀬の腕が震える。


「……やめろ」


低い声。

今度は、完全に元の黒瀬。


「……出てくんな」


自分に言ってる。


「……黒瀬!」


一ノ瀬が叫ぶ。


「……雫」


少しだけ、笑う。


「……悪い」


その目は、少しだけ優しい。

でも、


「……無理だ」


次の瞬間、再び目が変わる。


「……チッ」


舌打ち。


「……邪魔すんなって」


そのまま、一ノ瀬を弾き飛ばす。


「――っ!!」


地面に叩きつけられる。


「……雫!!」


誰かが叫ぶ。


「……あーあ」


黒瀬が首を鳴らす。


「……ほんと面倒だな」


周りを見る。倒れた隊員。

崩れた陣形。


「……全部壊すか?」


その一言で、空気が凍る。


「――やめろ」


城崎が前に出る。

一人で。


「……ほう」


黒瀬が目を細める。


「……まだ立つか」


「……任務だ」


「……真面目だな」


軽く笑う。


「……だが」


城崎が構える。


「ここで止める」


「……無理だろ」


即答。


「……試してみろ」



ぶつかる。黒瀬と城崎。

速い。重い。


「……っ!」


城崎が押される。明らかに劣勢。


「……足りねぇな」


黒瀬が呟く。


「……人間じゃ、無理だ」


そのまま、一撃。城崎が吹き飛ぶ。



「……はぁ」


黒瀬が息を吐く。


「……終わりか?」


その時、


「……まだ」


小さな声。振り向く。

一ノ瀬が立っている。ふらつきながら。


「……雫」


「……まだ終わってない」


刀を構える。震えてる。

でも、


「……止める」


「……」


黒瀬が少しだけ黙る。


「……ほんと」


小さく笑う。


「……面倒だな、お前」


でも、


「……嫌いじゃねぇ」


その言葉は、どっちの黒瀬か分からない。



夜は、まだ終わらない。


もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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