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第200話 意外な共鳴


「コホン。アースで何があったのか説明して頂けますか? 明らかにガイア様のエーテルが変質しています。その様子に違和感を覚えますが・・・」


アマルティアはアシーナに目配せする。


「そう言えば、何かガイアの雰囲気変わったなぁ。前より子供っぽくなったような・・・?」


「そうですね。どこか威厳がなくなられた感じがしますね」


テッサとパンドラは、小さく震えアフロディーテの後ろに隠れるガイアを不思議そうに眺める。


アシーナは、アフロディーテが頷くと一歩前に出た。


「実は―――」




アシーナは話し終えると、胸に手を当て深く息を吐いた。


「なるほどな」


アシーナの話が本当ならガイアのしていた事は人智を越えている。


その代償として人格の変容、あるいは記憶の喪失が起きた。


「それは分かったんだけど、エトナのエーテルが奪われた事と、ガイア様の記憶が無くなってしまった事には何か関係があるの?」


アルテミスは怯えるガイアに笑顔で手を振る。


「そこはまだ推測の域を出ないが、恐らく精神的な負荷が掛かりすぎた事が原因の一つと見ている」


「厚かましいお願いである事は承知の上で、アマルティア学院長に見て頂けないかと」


アポロンが付け加える。


「分かりました。必ず解明できるという保証はありませんが、最善を尽くしましょう」


アマルティアが優しく微笑みかけると、笑顔に引き込まれるようにガイアの目はキラキラと輝いた。


「結果的にゼウスの思惑通りになってしまった。タナトスの召喚はもうすぐそこまで迫っている。何か策を考えないと。彼の居場所も探らなければならないし・・・」


アシーナが考え込んでいると、アマルティアが前に立った。


「ゼウスの潜伏場所は特定できました」


「ほ、本当ですか?!」


「はい。ただ、潜伏先の異空間周辺は空間の歪みがひどく、こちらからゲートを繋ぐことができない状態です。デロス島と似た状態と言えば分かりやすいかもしれませんね。歪みの修正を試みてはいますが、遠隔操作ゆえにまだしばらく時間が掛かると思います・・・」


「凄い事しますね。私もエーテル感知は得意な方ですが、歪みの修正なんて発想すらありませんでした。それもこんな遠距離から」


ペルセポネはアマルティアの力に改めて感心する。


「アマルティア学院長と、あなたのような脳無しを一緒にしないでくれるかしら? 愚かにも比べようなんて、おこがましい事この上ないわ」


「何よ脳無しって! 脳も、能もあります~!」


「あら。『頭』の方だって、よく気付いたわね。それじゃ、『能』無しに昇格してあげるわ」


「ほんと、駄々をこねて泣き散らかしていただけの王女様が、随分口が回るようになったわね~♪」


アシーナとペルセポネは睨み合う。


「そろそろやめておいた方がいいと思うぞ」


俺は二人の肩に手を置き、顎で前方を指す。


「え?」


アマルティアが静かに微笑んでいる。白く長い髪が怪しく揺らめいていた。


二人は互いに距離を取り姿勢を正した。


「フン。ユピテリアの新王がどんな奴か興味があったが、なるほど。確かにゼウスの野郎とは違うようだな」


「あ! あなたが巨星(リゲル)のリーダーね。こうして対話が実現した事、嬉しく思うわ。私はアシーナ。これからは互いにうまく連携していきましょう。よろしくね」


アシーナは右手を差し出す。


「・・・オリオンだ。フッ。父親の事を言われて激怒すると思ったんだがな。なるほど、ユピテリアの雰囲気が変わるわけだ」


二人は固く握手を交わす。


「だが、勘違いするなよ。俺はアニキや姫の為にここに立っているに過ぎん。ユピテリアを認めたわけじゃねえ」


「アニキ? 姫?」


「ニケさんに負けて以来、アニキと言って勝手に慕っています。姫とはアルテミスさんの事で、彼女を見るや否やこれもまた勝手に恋に落ち、そう呼んでいるのです。無視でいいと思いますよ」


キョトンとするアシーナにテッサは耳打ちする。


「へぇ~。そういう事」


「俺は負けてねぇ! 兄貴の風格に惚れ込んだだけだ!」


ふと、アシーナは恥ずかしそうに頬を赤らめおろおろするアルテミスを見た。


そして何かを察し意地悪な笑みを浮かべる。


「頑張ってねオリオン! 応援しているわ! 私で良ければいつでも相談に乗るから♪」


「なにっ?! 本当かアシーナ?! お前話の分かるヤツだな!!」


二人は再び熱い握手を交わす。


先程よりお互いの思いが伝わっているようだ。


「決めた!! これより巨星(リゲル)は全面的にユピテリアに協力する!!」


「は・・・?」


ニケとテッサは唖然とし、開いた口が塞がらなかった。


「そんな短絡的な・・・ 長年の恨みとやらはどこに行ったのですか? まぁ、争わずに済むのならそれに越したことはありませんが、組織のトップが一時の感情に振り回されるなんてあり得ません。ついていく方はたまったものではありませんね。私ならそんなリーダーは即刻切り捨てます」


「同感だ。全く。どこかの誰かとよく似ているな」


アシーナに目配せする。


「な、何よ。言いたい事があるなら言ってよ」


むくれるアシーナを見てため息をつく。


「これでも彼女と私はお互い一番の理解者なのよ。彼女の事なら何でも聞いて♪」


アシーナはオリオンに向かいウインクする。


「ちょ、ちょっとアシーナ!! 止めてよ! 恥ずかしい!」


「いいじゃない♪ ついにあなたにも春が訪れたのね。親友として嬉しく思うわ♪」


「そんなんじゃないからっ!!」


「そういえば、アシーナさんもこの手の話は好きでしたね。忘れていました」


もみくちゃする二人を見てテッサは苦笑いする。


突然、王の間の扉が勢いよく開かれた。


「アマルティア学院長っ!! アマルティア学院長はおられますか?! すぐにゲートを繋いでくださいまし!! テッサにお伝えしたい事が!!」


汗を流し、息を切らすエリスとデイモスの姿があった。


「エリスさん?」


「テッサ! 戻っていたのね! ちょうど良かったですわ!」


「エ、エリス待って・・・」


ヘロヘロになったデイモスはふらつきながら駆けていくエリスを追う。


「はぁ。はぁ。少し時間を下さい・・・」


エリスは何度も深呼吸し、何とか息を整える。


「えーとですね、実は・・・ あら?」


テッサは倒れそうになるエリスの身体を支えた。


「どうされたのですか? いえ、それよりもその目のクマ・・・ 酷く疲労が溜まっています」


「そんなことより、見つけましたの! エリュシオンへ行く方法を!!」


「え?」


その言葉を聞いた瞬間、紫水晶の瞳は大きく開かれた。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


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