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第199話 恒例行事


アフロディーテの『大水晶(クリスタロス)』でオリンポス神殿に帰還したアシーナ達は、よく分からない光景に直面していた。


「野蛮人じゃねえって言ってんだろ! その辺の凡人と一緒にすんじゃねぇ! てめぇこそアニキの下僕だろうが! 下僕一号の分際でこの俺に指図するんじゃねぇ!」


「下僕になった覚えはないと伝えたはずですが? どうやら、あなたは頭だけでなく耳までまともに機能していないようですね。どうせ機能していないのなら切り落としてあげますよ」


睨み合い火花を散らすテッサとオリオン。


「やめて! 落ち着いてってば!!」


その間に入り必死に仲介役に回るアルテミス。


「その辺の女・・・」


その傍ら、窓から遠くを眺め何かをつぶやき続けるアマルティア。


「我が秘術を見よ!!」


「おおーー!!」


パンドラの瞬間移動にすら見える高速移動に感動の声を上げるピュラ。


「あんもう! ニケ様ったらシャイなんだから♪ 今ならあの温室育ちもいませんし、たっぷり愛し合いましょうよ♪」


「だから、やめろと言っているだろう」


腕に絡みつき、執拗にキスを迫るペルセポネの顔を押しのけるニケ。


王の間は混沌と化していた。


「一体、どうしてこんなことになっちまったんだ・・・」


混沌する王の間の端でため息をつくアレクトとメガイラ。


「アシーナ新王が戻られたらどんな顔をするか・・・」


メガイラは話している最中に言葉を切った。


「ん? どうしたメガイラ。そんな引きつった顔をして・・・ げっ?!」


騒ぎ立てる面々を無視し、ペルセポネの元へ真っすぐ歩いていくアシーナ。


「ほらほら~。私、今はフリーですし遠慮は要らないんですよ。そうだ! ニケ様の眷属にしてくださいな♪ それなら公式にカップル成立ですしって、あら?」


ペルセポネが振り返ると、物凄い形相で腕を掴むアシーナの姿があった。


「何をしているのかしら?」


「あらあら! 見ての通り求愛行動よ♪ ほら、ニケ様って案外押しに弱いじゃない? チャンスかなって♪」


「そこまで開き直られると、怒りを通り越してむしろすがすがしいわね。ニケには私がいるの。他の女が入り込む余地なんてないのよ」


ペルセポネは軽く両手を叩く。


「あらあら! パートナーは一人だけなんて、一体誰が決めたルールなのかしら? 有能な殿方に女性が夢中になるのは自然な事だと思うけど~? 本能ってヤツ? 私はその本能とやらに忠実に従っているまでよ。温室育ちのお嬢様にはお分かりいただけないかしら♪」


小馬鹿にするように高笑いするペルセポネに、アシーナの怒りは頂点に達した。


「へぇ~。面白い事言うわね。欲望のままに生きるなんて、さぞ生きるのが楽なんでしょうね。その辺、私にはどうも理解できないみたいだからご教授願えるかしら? ま、本能に抗おうとしないくらい頭の使えないあなただから、期待なんてしていないけどね」


大きな地響きと共にアシーナの後ろに八首の大蛇が姿を現す。


「カッチーン。言ってくれるじゃない。決められたルールの中でしか生きられないお嬢様には言われたくないわ。これでもタルタロスの学院では主席だったのよ? どうやら、少々刺激的な講義が必要のようね」


ペルセポネの後ろに巨大な真紅の悪魔が姿を現す。


一度だけ乾いた空気を割る音が響き渡る。


アマルティアは目を閉じ合掌していた。


「皆様、その辺にしておきましょうか」


ゆっくりと目を開ける。


その場にいた全員がアマルティアの視線に釘付けになった。


いつになく冷たい視線に息を呑む。


アマルティアはアシーナに視線を送る。


「アシーナ様、場をまとめられるあなた様がそれでは困りますよ」


「だ、だってこのオバサンがニケを・・・ っ?!」


アシーナは鋭利なナイフの先端を首元に突きつけられたような恐怖心で身体を硬直させる。


身体中から冷や汗が噴き出る。


「これは連帯責任です」


アマルティアが囁くと、アフロディーテ達を除く全員がアシーナと同じく直立不動になった。


「な、なんだこりゃあ?」


「う、動けない・・・ いや、怖すぎて()()()()()()?」


アマルティアの神術はエーテルの把握。


そんな、他人のエーテルが手に取るように分かる能力が、ただの観察・捕捉のみにしか利用できないはずはない。


アマルティアの完成された人格が使用を御しているに過ぎない。


一度でも把握したエーテルは、その気になればこうして少し弄るだけでアマルティアに主導権が渡る。


本来、アマルティアにとって相手に行動を促す事や、考えを変えさせる事は容易い事なのだ。


その性質を理解していたゼウスだけは、常に自身に流れるエーテルの質を改変し続けていたため、捕捉されることも主導権を握られる事もなくうまく躱し続けていた。


「このような使い方はあまりしたくないのですが、皆様が言う事を聞きたくないのであれば致し方ありません。あまり聞きわけがないとどうなるか・・・ 分かりますね?」


『ユピテリアで本当に恐ろしいのは、ゼウスではなくアマルティアだ』


アシーナは過去に誰かがそう言っていたのを思い出した。


「申し訳ありません」


その場の全員がアマルティアに平伏した。


アフロディーテは怯え身体を震わせ裾を掴むガイアに目線を合わせる。


「いい? ああなっちゃダメよ」


ガイアは激しく首を縦に振る。


「人が増える度に騒ぎになるのは、もはや恒例だな・・・」


アポロンは一人、ため息交じりに落胆していた。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


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