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第195話 選ばれし少女


「これだけのエーテルが奪われたとなると、タナトスの召喚はそう遠くないだろうな。万が一に備える必要がありそうだ」


「そうですね。アレクトとメガイラも待っていますし、早くニュクス城へ戻って対策を練らないと」


ペルセポネは悲し気に頷いた。


「クロノスと今後の事も話さないといけないな」


ニケの一言にペルセポネは口を堅く結び首を振る。


「クロノス様は・・・ もういません」


「何だと?」


ペルセポネの発言に言葉を失う。


ペルセポネは峡谷の先端で大地に突き刺さる大鎌を振り返った。


「クロノス様は、その身を挺してネメシスの襲撃を退けたそうです。アレクト達から聞きました」


「そんな・・・ あのクロノスさんが・・・」


テッサは不安を露わにし、ニケの顔色を伺う。


大鎌の柄を握る。


「確かにクロノスのエーテルを感じる・・・」


「クロノス様のエーテルは大鎌の中にあります。『死の大鎌(アダマス)』を使用したのでしょう。黒海に溶け込んだ高密度のエーテルも感じますから」


「『死の大鎌(アダマス)』?」


「はい。この鎌の名前です。全てを刈り取る鎌だそうです。私も一度聞いた事があるくらいで、詳しく知らないのですが、その名を口にすると本来の力を取り戻し、エーテルを鎌に集約する事ができるみたいです。黒海のエーテルが奪い尽くされる前にこの鎌に取り込んだのでしょう」


「そうか・・・ 息子に挨拶もなく、こんなにあっさりいなくなるとはな・・・」


鎌の柄を強く握る。


「・・・・・」


鎌を引き抜こうと試みるがびくともしない。


「抜けないですよね。私も持ち帰ろうと試したのですが、全く動きませんでした」


ペルセポネの角にぶら下がっていたピュラは、飛び降り大地に刺さる鎌を凝視する。


何かに呼ばれるように鎌の元へと向かった。


ニケを押しのけ鎌の前に立つ。


「お前な・・・ 食べ物ではないんだぞ? 下手に触ると危険だ。こっちに・・・」


ピュラが鎌の柄を握ると、赤い紋様が浮かび上がりピュラと鎌を巡り始めた。


「これって・・・?!」


ペルセポネは驚いた様子でピュラを見守る。


やがて紋様の光は弱まり鎌へ治まった。


そしてピュラは何事もなかったかのように軽々と鎌を引き抜いた。


「えぇ?!」


「信じられん・・・ 俺の力でも微動だにしなかった鎌が」


俺とペルセポネは呆けた顔で互いを見つめる。


「すごいじゃないかピュラ! 一体何をしたって言うんだい?」


パンドラはピュラを抱え上げ問いかけるが、当の本人は首を傾げている。


「ピュラさんは巨神族。という事は、巨神族の血を引く者にしか扱えないという事でしょうか?」


テッサは顎に手を当てる。


「いや、仮にそうだとしたら俺にも引き抜くことはできたはずだ。これでも一応クロノスの息子らしいからな」


「ニケ様は巨神族と人間のハーフですよね。もしかしたら、純粋な血族だけに使用が許されるのかもしれません」


「なるほどな。それなら頷けるか」


納得する面々を尻目に、ピュラは嬉しそうに鎌を振り回す。


「かるくてきもちいい!! たのしい!!」


反射的にピュラの腕を押さえつける。


「落ち着け。相当量のエーテルが凝縮した鎌だ。むやみに振り回すな。そんなもので斬られたら一溜まりもない」


「わかった!!」


ピュラが頷くと大鎌は瞬時にその姿を消した。


「あ! いたいた!! お~い、ペルさん!!」


いつになっても戻ってこないペルセポネを探し回っていたアレクトとメガイラがやって来る。


「ふ~! 何ともないみたいだな。良かった。頼むぜペルさん」


「ずっと待っていても戻られなかったので心配していたのですよ? また具合が悪くなられたかと思いました」


二人は安堵の息を漏らす。


「あらあら。心配かけてごめんなさいね。散歩していたら、ちょうどニケ様達に会ったのよ」


「あれ? 大鎌がなくなってる?」


「ああ。それなら・・・」


ペルセポネが説明しようとした時、ピュラは笑顔で腕を振り上げた。


アレクトとメガイラを隔てるように一本の線が目の前を横切る。


二人の前髪がはらりと舞う。


「へ・・・?」


大地が紙切れのように真っ二つに割れ、遥か遠くの森林を両断していった。


二人はその様子に腰を抜かし、その場に座り込む。


「えへへ!!」


ピュラは再び鎌を振るおうとする。


「ひっ?!」


アレクトとメガイラは涙目で互いに強く抱き合う。


「やめろと言っているだろう」


ピュラの頭に拳骨をくれる。


「ぴぎゃっ?!」


ピュラはたまらず両手で頭を押さえる。


「いたい・・・」


「調子に乗るお前が悪い」


「ところで二人ともどうしたの? 少し慌てた様子だったけど」


ペルセポネは座り込む二人に目線を合わせる。


アレクトとメガイラは思い出したように立ち上がり埃を払う。


「そうだった! アマルティア様から連絡があって、話したい事があるって言ってたぜ!」


「ちょうど俺達も一度ユピテリアへ戻るつもりだった。一緒に行くか?」


「そうさせてもらいます。一度ニュクス城へ戻りましょう」


俺達はユピテリアに向かうべく、急ぎニュクス城へ戻った。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


ご意見等ありましたら感想も頂ければ幸いです!



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