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僕たちの物語  作者: 鎧
旭編

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26/42

二十六節 帰路

部活やスクール、バイトのない時間には、

後輩たちとカラオケへ行ったり、互いの家でゲームを遊んだりもした。

夏には、夏祭りにも出かけた。

芝居ばかりの毎日ではあったけれど、それだけではない。

旭なりに、高校生活を楽しんでいた。

それでも、記憶の飛んでいる時間は確かに存在していた。

覚えていないことも多い。

それでも自分は生きている。

それだけでも十分だった。

ゲームや読書、ネットでのSNSなども取り入れながら、

自分の居場所を少しずつ構築していった。



けれど高校時代、先輩や後輩たちと過ごす時間が楽しければ楽しいほど、

旭は家に帰りたくないと感じていた。

家の中では何もできない無力な自分が、嫌でたまらなかった。

家ではもう、泣くことすらできなくなっていた。



友達や後輩の前で散々語り、涙を流していても、

家の敷地に入った途端、スゥッと感情が消え去るのだった。



心が、身体が、はっきりと覚えていた。



ここは、安心できる場所ではない、と――。



家に入るまでの間、公園のブランコに揺られながら、

よくシノと話したことだけは覚えていた。


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