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二十六節 帰路
部活やスクール、バイトのない時間には、
後輩たちとカラオケへ行ったり、互いの家でゲームを遊んだりもした。
夏には、夏祭りにも出かけた。
芝居ばかりの毎日ではあったけれど、それだけではない。
旭なりに、高校生活を楽しんでいた。
それでも、記憶の飛んでいる時間は確かに存在していた。
覚えていないことも多い。
それでも自分は生きている。
それだけでも十分だった。
ゲームや読書、ネットでのSNSなども取り入れながら、
自分の居場所を少しずつ構築していった。
けれど高校時代、先輩や後輩たちと過ごす時間が楽しければ楽しいほど、
旭は家に帰りたくないと感じていた。
家の中では何もできない無力な自分が、嫌でたまらなかった。
家ではもう、泣くことすらできなくなっていた。
友達や後輩の前で散々語り、涙を流していても、
家の敷地に入った途端、スゥッと感情が消え去るのだった。
心が、身体が、はっきりと覚えていた。
ここは、安心できる場所ではない、と――。
家に入るまでの間、公園のブランコに揺られながら、
よくシノと話したことだけは覚えていた。




