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僕たちの物語  作者: 鎧
旭編

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13/40

十三節 空想

その頃、旭はオリジナルキャラクターを生み出すことに夢中になっていた。

幼馴染と一緒にたくさんのキャラクターを考案し、自分たちだけの物語を作った。

本屋に行っては『名付け辞書』を買い、

キャラクターに「こうなってほしい」という願いや思いを込めて名前を付けた。


そしてこの時期、旭は「好き」の先にある「萌え」という感情を知る。

大好きなアニメのキャラクターに思いを馳せては萌え、

その背後にあるストーリーや関係性を想像しては胸を躍らせた。

何より、友達に貸してもらった同人誌との出会いが、彼女の人生をさらに豊かに彩っていく。


(もともとあるキャラクターを、こんな風に自由に動かしていいんだ……!)


オリジナルしか知らなかった旭にとって、

完成された作品から新たな物語を生み出す「二次創作」の可能性は、雷に打たれたような衝撃だった。

パロディやアンソロジーの面白さにどっぷりとハマり、

「薔薇」や「百合」といった新たな世界の扉も開いた。

色々な人が紡ぐ自由な想像力に触れるのが、楽しくて仕方がなかった。


もし、このキャラクターがこんな風に思っていたら――。

もし、実はこんな背景があったとしたら――。

もし、あの時こうしていたら――。


「もしも」を重ねるたびに、視界が一気にひらけていく。

空想することによって、自分の中の世界はどこまでも無限に広がっていった。

現実がどれほど苦しくても、ここでは自由になれる。

何かを生み出せる。

ただそれだけで、旭の心は救われ、満たされていった。


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