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僕たちの物語  作者: 鎧
旭編

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12/40

十二節 嫉み

旭は、先輩や先生たちからは好かれていた。

言われたことをまっすぐにこなし、人に親切で、

いつも周囲の空気を読んで動いていたからだ。

だが、大人や先輩に認められれば認められるほど、同級生たちの間での孤立は深まっていった。


「なんなの、あいつ」

「先輩に可愛がられちゃってさ」

「先生に媚び売って、良い子ぶってるだけでしょ」


ざわざわと騒がしい教室の片隅で、

部活の同級生たちが自分を愚痴のネタにしているのを、旭は黙って耳にしていた。

その中のひとりが、イライラした様子で声を荒らげる。


「うち、家で弟たちの世話ばっかりさせられてるんだよね! もうストレス溜まってしょうがないんだけど!」


その言葉を聞いた瞬間、旭の胸の中にすっと腑に落ちるものがあった。


(……あぁ、だから私で発散してるんだ。あの子にも、そうする理由があったんだ)


意地悪をされる理由を知り、怒りは湧いてこなかった。

私に当たって彼女の気が晴れるのなら、まぁ、いいか――

そう思えてしまったのだ。

怒るどころか、どこかで彼女を可哀想だとさえ感じていた。

そうやって誰かを攻撃しなければやっていけない彼女が、不憫に思えたのだ。


(家でそんなに大変なら、少しぐらい当たられてもしょうがないか)


旭が思ったのは、ただそれだけだった。


(私にはシノがいるけれど、きっとあの子には、自分の気持ちを吐き出せる場所がないんだ……)


旭はそう自分に言い聞かせ、また静かに怒りを押し殺した。


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