↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちの物語  作者: 鎧
旭編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/40

十節 変化

数年後、旭は中学生になった。

あれほど嫌い、頑なに拒み続けていたはずの、スカートの制服を身にまとって。

不思議なことだった。

あれだけ女を嫌悪していたはずなのに、いざその制服を着て鏡の前に立つと、

なぜだか胸の奥がほんの少しだけ、くすぐったいように浮き足立つ感覚があった。


(……なんでだろう。ボクは、スカートなんて大嫌いなはずなのに)


自分の感覚なのに、どこか他人のそれを見ているような奇妙なちぐはぐさ。

でも、旭はその違和感を深く考えず、ただ頭の隅へと追いやった。


「ねぇ、シノ。部活ってどんなことするんだろう。私の行く中学、演劇部がないんだって。本当に残念だな……」


旭は、自分の部屋でシノの大きな身体にそっと寄りかかりながら、ぽつりぽつりと話しかける。


「どうせ入るなら、大好きなあの声優さんが『好きだ』って言っていた、テニスをやってみようかな。シノはどう思う?」


シノは、何も言わずに鼻をぴくぴくとさせた。


「そうだよね。やってみて、もし嫌だったら辞めればいいもんね! それにね、部活をがんばって入ってた方が、高校に入りやすいらしいんだよ」


旭の言葉に、シノは大きな耳をぴくりと動かす。


「私、いろいろ調べたんだ。あの憧れの専門学校に行くにはね、ちゃんと高校を卒業してなきゃいけないんだって!」


旭は、未来の自分に言い聞かせるように勢いよく立ち上がると、拳をぎゅっと握りしめて言った。


「あの声優さんが通っていた、あの専門学校に、私は絶対に行きたいの。ちょっとでも、あの人に近づけるといいな……」


いつも短く切り揃えていた髪が、いつの間にか、少しだけ首筋にかかるくらいに伸びていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
第10話まで拝読しました! 理不尽な環境で育った旭が、お芝居やシノとの出会いを通じて自分自身を形作っていく過程が印象的でした。特に、別の誰かを演じることで初めて認められるという経験には、喜びと同時に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。