第4話|その求人、本当に“その内容”ですか?――思っていたのと違った話
求人は、信じてはいけない。
……そう思うようになった。
最近の就職活動で、何度か同じことがあったからだ。
■ 「事務」のはずだった
ある求人に、こう書かれていた。
「一般事務」
勤務時間も条件も、悪くない。
これはいいかもしれない。
そう思って、応募前に確認してもらった。
返ってきた答えは、あっさりしていた。
「事務は最初の2ヶ月だけで、その後は工場のライン作業になります」
……2ヶ月だけ?
その瞬間、
求人票の「一般事務」の文字が、
頭の中で静かに崩れた。
もし面接に行ってから知っていたら、
私はきっと、言葉を失っていただろう。
■ 曖昧な言葉
別の求人では、こう書かれていた。
「事務兼補助」
一見、よくある組み合わせだ。
けれど実際には、こう言われた。
「人によっては、思っていたのと違うと言って辞めることもあります」
だから私は聞いた。
「割合は、どのくらいですか?」
少しの間のあと、返ってきた答え。
「……それは何とも言えません」
割合が分からない仕事。
それを選べと言われても、
何を基準に決めればいいのか分からない。
■ 書かれていないもの
求人は、
嘘をついているわけではない。
ただ、
全部は書いていない。
■ 見るべきもの
これまでの私は、
条件ばかりを見ていた。
勤務時間、時給、通勤距離。
でも本当に大事なのは、そこではなかった。
その職場で、
自分がどう使われるのか。
それが分からないままでは、
どんな条件も意味を持たない。
■ 62歳の働き方
私はもう、
たくさんの我慢をする働き方はしたくない。
だからこれからは、
「自分に合うかどうか」で選ぶ。
それだけを大切にしたい。
そして思う。
最初から、教えてほしい。
そうすれば、
無駄に傷つくことも、迷うことも減るのに。
そして私は、ようやく気づいた。
求人票に書かれているのは、
“募集”だった。
でも本当に見るべきだったのは――
その職場が、
人をどう使う場所なのか。
だった。




