第80話 集団戦其の陸
俺、穂月錬次は破竹灯篝と相対していた。
木や叢で姿を隠し、拳銃で涼を狙っていた破竹灯を追い詰めた所で、彼の態度から補欠チームの目的は、俺達の分断だったと悟る。
(しかし、こうなっては彼を速やかに撃破して、涼と合流するのが最適手だ)
俺は最初の特攻で、破竹灯の左肩の紙玉を割ることには成功した。このまま押し切ってやる。
「……しぶといな」
だがその後、彼は弾幕で牽制して、俺を寄せ付けない。
「代表選手と言っても案外大したことないなぁ」
破竹灯は嘲るように口元を歪ませる。
「余裕を見せていられるのも、ここまでだ!」
俺は手にしている日本刀『昼行燈』の刀身を油で満たし、それを振りかぶる。
「鬼灯炎波!」
昼行燈から放たれた炎は大きな波となって破竹灯に襲い掛かる。
「火属性の俺様に、こんな見掛け倒しが通じるかよ。目くらまし程度にしかなんねぇぞ!」
「その通り、目眩しだよ!」
俺は炎の波とともに破竹灯に突進する。
日本刀を手放して炎越しに破竹灯の胸倉を掴むと、そのまま合気道の投げ技に移行した。
「舐めるな!」
投げられた衝撃で破竹灯の右肩の紙玉が割れる。
だが、彼はそれに怯むこと無く拳銃を手放した。空いた手で受け身を取ったかと思うと、そのまま右手を軸にして左脚で回し蹴りを放ってきた。
その蹴りの衝撃で、俺の右肩に付いていた紙玉が割れる。
「拳銃を使っているから、接近戦が苦手だとでも思ったかよ?」
体勢を立て直した破竹灯が威嚇するように笑う。
「やるじゃん。面白い、ここからはステゴロといこうか!」
しかし、俺の言葉に応えたのは破竹灯では無かった。
「いいや、もうお終いだよ」
背後から忍び寄ってきた宙飛がそう言うと同時に、俺の左肩に付いていた紙玉が割れる。
「なっ、宙飛!」
それに気を取られていると、俺の右半身に木の枝葉が纏わりついて来た。
「これは深林坊の術か!」
樹木の拘束から抜け出そうと藻掻いていると正面に気配を感じた。
「タイマンで倒せなかったのは残念だが、こいつでとどめだ」
拳銃を拾い直した破竹灯がそう告げる。
彼の放った弾丸が、俺の頭に付いていた紙玉を貫いた。




