第78話 集団戦其の肆
僕、風見宙飛は、深林坊と共に涼の紙玉をすべて割り終え、軽く息を吐いた。
「……まだ相手は四人いる、早くみんなに加勢しないと」
そう呟いた瞬間、背後に気配を感じ、僕は慌てて振り向く。
「……っ!」
高速で迫る木製の飛去来器を、僕は辛うじて忍者刀で防いだ。
「流石だね、宙飛。不意打ちなんて効かないか」
そこに立っていたのは僕の幼馴染、漣蒼茉だった。
「深林坊くん、支援よろしく」
「任されたよ。その刀の真価を見せてやれ」
僕の言葉に深林坊は木刀の峰で肩を軽く叩きながら返答する。
「……了解。蒼茉、夏休みのようにはいかないよ」
僕は蒼茉に視線を戻すと、忍者刀を低く構えた。
「そう来なくっちゃな。いくぜ、宙飛!」
蒼茉の乾いた呼気と共に二つの飛去来器が空を斬る。
「そんなんじゃ通じないぞ」
だが僕と深林坊はそれらを一つずつ自らの刀で弾く。
僕の声に蒼茉は笑みを深め、次の一投を準備した。
「まだまだこれからだよ!」
彼の掛け声と同時に、周囲の空気が一瞬ざわつき、蒼茉の姿がぶれる。
蒼茉は驚異の瞬発力で僕の弾いた飛去来器を回収、その勢いのまま僕に突進してくる。
「くっ......」
僕はなんとかそれを目で追い、忍者刀と飛去来器が交錯する。
蒼茉の攻撃は僕同様、鋭さはあるが重さはそれほどでも無い。
だが同系統の相手だから、このままでは単純な実力差で押し切られる。
「させるかよ!」
そこに深林坊が木刀を振り翳し割り込む。
「邪魔だなぁ、あんだ」
すると蒼茉は苛立たしげな表情で後退する。
「団体戦だからね。宙飛くんばかりに構わせないよ」
そんな蒼茉を深林坊は睨み返していた。




