第75話 集団戦其の壱
「昨日の模擬戦で、代表に選ばれた貴様らが一対一では、充分な実力を持っているのはよく分かった」
「だが、学園対抗戦は集団戦だ。一対一の勝負で抜きん出ていても、集団での連携を欠けば勝利には届かない」
「よって昨晩に言った通り、代表の五人と補欠の五人で集団戦を行なう。貴様らにはこの紙玉を、身体のどこか見える所に三つ付けて闘ってもらう」
「相手チームの紙玉を互いに割り合う。紙玉が全て割られた者は脱落。全員が脱落したチームが敗北となる」
笹舟先輩はそう語った。
10月9日、日曜日の朝。俺、穂月錬次たち代表の五人は演習林の西側にいた。
「さて模擬戦が始まるぞ。相手チームには宙飛がいるからな、何か仕掛けてくるかもしれない。気を引き締めよう」
「宙飛……風見のことか? 当方に何もできず敗れた者を、そこまで警戒する理由が分からないね」
俺の台詞に槌屋が反論する。
「あんな真っ向勝負で宙飛の真価は測れないぜ」
「ふん、まあ穂月くん程度には脅威なんだろうね」
「何だと!」
「おいおい、始まる前に仲間割れするなよ」
俺と槌屋が言い合っていると涼が割り込んできた。
「らしくないぜ、錬次。宙飛を馬鹿にされたのは癪に触るけど、今はそんな時じゃないだろ」
「そうそう、宙飛の凄さは分かる人にしか分からねぇんだから」
「あん? 漣、テメェには言ってねえよ」
そんな涼も、漣に対して険悪な雰囲気だった。
「こんなんで大丈夫なのかなぁ……笹舟さんはどう思う?」
「わたしには関係ない。頭の中がうるさいから黙って欲しいと思うだけ」
嘆息して言う漣に、笹舟喩能は連れない返事だ。
「時間です、演習林に入りなさい」
していると緋鞠先輩がそう告げる。
こうして連帯感など欠片も無いまま、俺たちは森へ足を踏み入れたのだった。




