第73話 雷鳴受け止める氷山
第四試合は折霜涼と真神雷哉の対決だった。
二人が校庭中央へと進み出る。
僕、風見宙飛を含む周囲は興味津々でその展開を見守った。
真神は玉髄を手に持ち、そこから淡い光を放ち、子犬の式神を召喚した。子犬は元気よく真神の足元で跳ね回る。
涼はその光景を見て一瞬怪訝な表情を浮かべたが、すぐに表情を引き締め、地面に左手をつけ集中を高める。
「氷床の術!」
涼がそう叫ぶとともに、真神と涼を中心に広がる地面が瞬く間に薄い氷で覆われる。
涼は氷上を巧みに滑り始め、まるでスケート選手のような俊敏な動きで真神に接近する。手にした手裏剣を使い、真神の死角を付くように攻め立てる。
「くっ……! 電光石火っ!」
真神は慌てて双剣を抜き、涼の手裏剣を寸前で捌き続ける。
その反応速度と剣技は見事なものだが、涼の連続攻撃は止むことなく続き、真神を徐々に追い詰めていく。
(なるほど、涼はあまり優れていなかった機動力を、この術で補っているのか。......しかしあいつ、真神が雷属性だということを忘れていないか?)
僕の思考に応えるように真神は双剣を地面に突き刺して叫ぶ。
「雷撃波!」
式神により増幅されたのだろう、強力な雷撃が剣から迸る。それは氷面を伝って広範囲に撒き散らされた。
「なっ!?」
その衝撃は涼の足元を直撃し、身体に電流が流れたのか涼は氷上に倒れ込む。
「ぐっ!?」
しかし、同時に真神自身もバランスを崩し、そのまま氷面へと倒れ込んだ。
「電光石火と雷撃の使い分けには気をつけろと言っただろう。制御を誤れば、このように自分も巻き込むことになると」
しばらく静まり返った後、笹舟理界が言いながらゆっくりと二人の元へ歩み寄った。
「さすがに無茶をしすぎたかな……」
真神がぽつりと呟くと、涼もまた静かに頷いた。
「やるじゃん、真神くん……」
倒れ込んだ二人は、痛みに顔をしかめながらも、互いに苦笑いを浮かべていた。
「第四試合は、引き分けとする」
風切のそんな声が冷え切った氷上に響き渡った。




