第63話 宴の始末
僕、風見宙飛が目を覚ますと、まず目に入ったのは白い天井だった。
今年に入って、もう何度目だろうか。気絶から目覚めるこの感覚に、僕はうんざりする。
「しかし、ここは保健室じゃないな……」
消毒液の匂いはするが、机を壁際へ寄せ寝台を無理やり並べたような、間に合わせの気配があった。
僕はゆっくりと辺りを見回す。
「あ、かざみん、起きた?」
寝台の脇に、白と黒が混じるまだら髪の少年が座っていた。
千峩白牙だ。
「千峩くん……? ここはどこ?」
混乱したまま尋ねると、彼はいつもの調子で笑った。
「白虎寮の自習室。今だけ臨時の保健室になってるけど。怪我人、多すぎるからね」
部屋には、僕らの他にも何人かの生徒が寝かされていた。
破竹灯も寝台に横たわっている。包帯でぐるぐる巻きにされているが、その寝息から無事なのが伺える。
あっ、その少し向こうに涼も居る。魘されているけど、負けたのか? あいつを倒せるなんて……二、三年生の誰かだろうか?
「で、僕は何でここに?」
「家庭科室で倒れていたかざみんを、俺っちがここまで運んできたんだ」
「そう。ありがとう、千峩くん」
そう言ってから、少しずつ記憶が戻ってくる。
破竹灯と戦って、どうにか倒した。
その後、御影さんが現れて――。
「しっかし、かざみんもやるな。はっちを倒したみたいじゃないか!」
はっち、とは破竹灯のことだろう。
あれを倒したと言えるのかは微妙だが。
「でも、その後で御影さんにやられたし……」
「まあ、御影さんはうちの組じゃ、りょーちんの次に強いからね。でも前は勝ててたじゃん?」
「あの時は、御影さんが冷静じゃなかったからだよ」
それに、風見屍這を十全に発揮できなかったことも大きい。
あれは一度見せた相手には、極端に効きが悪くなる。
(強く、なりたいなぁ……)
風見屍這は、初見殺しに近い。
虚実皮膜も、使える場面が限られる。
僕には、正面から押し返す力が足りない。
「聞いてる、かざみん? 俺っち今、けっこう良いこと言ってるんだけど?」
何やら千峩が喚いているが、僕は聞き流した。
今回の戦いのこと。これからのこと。
考えなければならないことは、山ほどあった。
「攻城戦線」結果。
一位:朱雀組 確保大将数二名(玄冬氷筍・緋鞠杜燃)
同率二位:青龍組 確保大将数一名(真神光夜)
同率二位:玄武組 確保大将数一名(真神雷哉)
四位:白虎組 確保大将数零名




