第102話 巻物探妖其の拾伍
学園対抗戦一年の部「巻物探妖」
戸隠学園:五巻
甲賀学園:零巻
勝者:戸隠学園一年
競技を終え、俺、穂月錬次は未申訓練場へ戻ってきた。
「よう、勝ったみたいじゃん。しかも完勝とはね。あたしも姉として誇らしいぜ」
「……姉貴」
そこで俺に声を掛けてきたのは、穂月燐峯。俺の一つ年上の姉だった。
「あたしも負けてらんないね。次も圧勝してやるよ」
そう言い残し、姉貴は次の競技へ向かっていった。
(完勝ね……結果だけ見れば、そうなんだけどな)
俺は、ここへ戻る前に槌屋と交わした会話を思い出す。
「お疲れ様、槌屋くん。自分の能力を使う相手とは、やりづらかっただろうね」
「穂月。刑部が使っていた土の術は、当方から模倣したものではないよ」
「そうなのか? でも、土を操っていたじゃないか」
「当方自身のことだから気づける微妙な違いだけどね。おそらく刑部は、事前に別の土使いから似た術を模倣していたんだろう」
「なるほど。この場で槌屋くんの術を模倣したわけじゃないと」
俺は少し安堵する。
「さすがに、そこまで便利な術ではないってことか。安心したよ」
「それが逆に恐ろしいけどね」
「え?」
「当方と刑部は、今回が初対面だ」
槌屋は淡々と続ける。
「それにもかかわらず、君たちを騙せるほど当方の姿や振る舞いを再現していた。戦慄するほどの情報収集力だよ」
確かに、俺たちはほとんど刑部の術に手玉に取られていた。
俺は偽物の槌屋に不意を突かれ、漣も序盤から騙されて巻物を奪われていた。
最後も、もう少し漣が到着するのが遅ければ、こちらが負けていたのは間違いない。
五対零。結果だけを見れば完勝。
だが実際は、最後の最後までどちらへ転ぶか分からない勝負だった。
(勝てたことは喜ばしい。でも、これで満足しちゃいけないな)
その後、甲賀学園の一年たちが何やら絡んできた。
特に狭山が騒がしかったが、疲れていたので適当にいなしておいた。
学園対抗戦二年の部
勝者:甲賀学園
学園対抗戦三年の部
勝者:戸隠学園
戸隠学園 二勝
甲賀学園 一勝
総合優勝:戸隠学園
学園対抗戦編、終。




