第100話 巻物探妖其の拾参
『こちら漣。敵を倒したよ』
『こちら笹舟。相手チームの一人を撃破して、巻物を手に入れたよ』
『こちら折霜。こっちも敵を倒したぜ。あと、おれも巻物を一つ入手済みだ』
(漣蒼茉、笹舟喩能、折霜涼が、それぞれ一人ずつ倒したらしいな。俺もギリギリで村上を倒せたから……)
俺、穂月錬次は無線から流れる報告を聞きながら、状況を整理する。
「これで、残りは君一人だけだな」
槌屋堆志が、黒髪の少年――刑部へ槍の穂先を向ける。
「戦えるんは、もうあっしだけか。こりゃ、だいぶ形勢が悪いんかな?」
そう言いながら、刑部は懐へ手を入れた。
「でも、忘れとらん?」
刑部の口元が、僅かに吊り上がる。
「この巻物探妖の勝利条件は、相手より多く巻物を集めることなんよ」
その手には、二巻の巻物が握られていた。
「「!!」」
「刑部、わしの巻物も預けるけぇ」
俺と槌屋の驚愕をよそに、地面へ伏していた村上が、自分の持っていた巻物を刑部へ投げ渡す。
刑部はそれを片手で受け取った。
「これで三つ」
刑部が三巻の巻物を見せつける。
「巻物は全部で五つやけん、これを守り切ればあっしらの勝ちよ。もうじき時間も終わるけんね」
「土波突天!」
状況を理解した槌屋が、即座に動いた。
土を纏って質量を増した槍が、刑部へ襲い掛かる。
「土塗壁」
刑部の目前で地面が隆起し、分厚い土壁となる。
槌屋の土槍が激突するが、壁を貫くには至らない。
「手練れの君を倒すんは難しいけど――」
土壁の向こうから、刑部の声が聞こえる。
「あっしがあと数分耐えるくらい、どうってことないんよ」
崩れた土壁の隙間から、刑部が不敵に笑った。




