871 北には希望だってあるよ。10/11
10月11日 月曜(旧暦初冬、また途中で切れちゃってゴメンネ)
ここはお話しに聞いてて、ずっとこの辺を探していて見つけた土地。
不思議な場所で河があって川もある。
色々と都合が良くて地形がナゾでワクワクする。
未調査の鉱物とか自然の事象とかに興味がすっごくあるんだよ。
極北は生き物がモケモケでフワフワしてそうな毛皮の固有種とかいてステキなんだけど狩人が多過ぎだった。
どうやら人が増えたってことではなくて他では取り尽くして横移動して来た結果ということみたいってことが分かってきた。それまでは南方からの流民としていたんだけど連邦の状況が分かってくるにつれて想定していたよりも危機的な生き物事情とか危機感が甘い住民達とか、それを助長するザルな支援とかが見えてきた。
ハジッコの方に流れて来る事情は分かる。けど生産をしてくれる鬼さん達の生活を何とかするのが一番で元いた住民は正直どうでもいい。
あの辺に地下資源や木材資源があるのは調べて分かっているんだから、それを掘り出すなりする人材は必要ってことだけだった。
狩人専業をやめて、農業や林業や鉱業をしてにした。ただでさえケモノ達が生き残るのに必死なのにそれを狩る人ばかりだと絶滅しかねない。
現にそうされて生き物が過疎っている地域はかなり広くて、その少し南の地域でもかなり少なくなっている。
人は愚かだから欲しがり続けた結末の想像が簡単なのに控えることをしないし、増やそうということはもっとしない。強さに憧れてシンボルとかしているくせに狩りまくったり持ち込んだ犬とかのせいで数を減らしたままにしてる。
なのでコントロールする人とか指導する人やら組織が要るはずなんだけど、甘々思考のが旗振りしても最初だけでブレーキどころかハンドル操作も間違って破滅に突き進むってことになってる。
そういうのを傍観してどこが愚かとかを研究したりする。長い時で自己分析もしているのに同じことを繰り返している記録とかはいっぱいある。
誰も彼も救うっていう慈愛の気持ちなんかないし、そんなのはムリ。
じゃあ頼まないでとは思うんだけど、まとわりついてワケが分からない。
状況で考えれば過密状態なら追い立ててもっと東に行かせればいいはずだけど、反対するんだよ。
全方向にイイコトをしようとしてて矛盾していることを平気で言うの。
そのための南下だし、加工肉とか畑とかも猟をし続けたいってごねている部族とかのためだったりして、なんだかなあなんだけど大事な事らしい。
毛長ウサギの飼育くらいならってしている程度で、もうリアル毛皮や肉の必要はあんまりないというか、ケモノを増やすターンなので狩る人達は減らしたい。
そこで狩りが上手なだけで他部族との荒々しい交渉術が性質的に出来なくて、他にチャレンジする思い切りだってよくないっていうのを3部族だけ、お試しという甘い言葉で連れてきた。
それがあの人達ってことで、別に怯えさせるつもりも焦らせるつもりもなくて置いただけ。選ぶとは言ったけど、もし適性がないのならそれは苦しいことになるから良さそうな所に送るよってだけだったんだけどね。
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極北に比べれば、冬も凍らない大地はずっと耕せる。秋に作付けして越冬だって出来るって事で、あんなに障害だった凍える寒さを雪が覆い隠す。それが大地の毛布のような優しさだって感じた。
河もあって小さい川もある。流れがかなり速いけど、それに負けない元気なサカナや貝があって、海中も外も草が元気、木は緑のと枝だけのがあるんだけど、こっちの寒そうなのは暖かくなると葉を付ける種類らしい。
こんなに土と触れ合ったのは初めての事で、ほぼずっと雪の上にいて土が見えたときも永久凍土だったから、ボロボロと柔らかいことにまず驚いた。
触れてみたら一体何を恐れて、何に拘っていたのかが分からない。
こんな事なら夏に南下して、畑はムリでも採取は出来たはずだし、柔らかい大地や森なんかをウワサではなく体験する事だってできた。
申し出を父祖の土地だからって何でも全面拒否してた長老達は酔い潰れさせて連れて来ていたんだけど目が醒めてからはおとなしい。
だいたい獲物を求めて移ってきたんだから伝統の土地がどうのとかおかしい。夏に獲物を求めての南下を何度提案しても頷いたことなんかないんだけど、いよいよ他部族と取り合い(争い)になりそうだし行くべきだと若手連中で決めた。
ずっと決断ができなかったんだけど、ケモノより言葉の通じる「人」の方が恐ろしいというのは知っている。言い争いしても理由が噛み合わないというのはすごく疲れるし、戦っても小競り合い程度をずっと繰り返さないといけない。
(この言い合いをそばで聞いてる人がもしいたら震え上がっちゃうと思う。だって舌打ち音が入る言葉でクマみたいなのが吠えてるのって怖いことだよね)
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だいたい月ごとに村をサポートしてもらうんだけど、教えるような経験がなくてマニュアルっていうのを(共通語の)字が読めるヤツが読んで、理解できるのがそれをみんなに伝えるという面倒なコトをしてる。
極北では狩猟民族らしく口頭で言葉を覚えて、過去に繋げることが出来る知識は口伝しかない。そうなると伝達できる量は限られるし、容易に変質を起こす。
言葉も例外ではなくて、最初に強行南下した鬼さん達とエンカした時は完全には言葉が分からなくなっていた。それが行商をする部族であっても例外ではない。
カミとかの媒体を介して伝えることをしなくなると使用する言葉が少なくなっていくし変化するし、気持ちを伝えようとする意欲がなくなるみたい。
そうして文化から遠くなる。つまり退化をする。
文化をとか、話したいからとか言っているのはある意味厄介払い。
構成国に昇格した肝は自活ってところで、本体が豊かな頃のままごっちゃん体制でいたら貴族うんぬんがなくても早晩破綻する。というか実質は既にアウト。
みえない負債でいっぱいだったしアチコチ古いのに更新することもできない。
ちょっとの異常気象ですぐ水没してただろうという潜在的なインフラや地形的問題という負債がかなり溜まっていた。
ところが元凶の貴族の達の蓄財が結構あった。寒い土地だからとか文化があんまり進んでいないせいで趣味がそうだったのは都合が良かった。
先ずは王都の無償配給を止めて全員を働くようにって道筋を付けたのに、復興のステップを進めようとしない。
自立したいようだったし、何よりデッカイ国は面倒そうだからお世話したくなくて集まってくる鬼さん達の事が終わったら出て行くつもりだった。
けどこんなんでしょう。仕方ないって受注していったらアレもコレもになっていたんだよ。
通貨変更といっても必要量がたりなかったから、データ通貨ってことにしたのは繋ぎなだけでカッコイイからとかそんなんじゃなかった。
商会本社のある街でやったからってだけで給金の預かり分配(受け渡しの不正が良くある)が成り行きで中央銀行みたいなことになっていたり、お仕事斡旋でギルドとニコイチさせたり、無職を無くしたり、インフラ受注をしてお湯の温度制限とかその検針でお仕事を作ったり、土木工事でもお仕事を作ってお上りしてくる人達に田舎に戻った時に使える技術を身に付けてもらったりね。
あと止まっていたボイラー(暖房のためのお湯インフラ)の設置や更新のを来た人達に講習して派遣とかもしたね。
たくさん集まったってその作業が成り行きで大事な事業になったり、僕の中の決まりみたいなものでイベントをしたことが観光客を呼んで、外との交流のキッカケにもなった。なにが奏功するのかは分からないけど、とにかく何かを始めないと次に繫がらないというのだけは確か。
いつまでも留まって抵抗ばかりしていたら政府も部族も衰退していく。特にこの危機的状況ではね。
残念だけど、うずくまっているものを優しくたっちさせたりとかはしないし、誘うのはたぶん一度だけ。気持ちを察するとかは高度な感情を持っていないと無理なんだから僕には僕の都合で声を(たまたま)掛けただけ。
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どうやらでっかい湾の開発をこの村落でしているらしくて、はみ出しや捨てられらしいし、お世話しているのが尻尾の人達や人魚達ってことらしい。
誘ってくれた子ども(巫女らしい)がいなくて言葉が通じないのに話そうとすると怯えられる。
それがワシらの言葉にある舌打ち音にあるとその中の子が教えてくれた。
少し前から学び始めた共通語というのは伝わる言葉だけど、自分の中にその意味がないとゴニョって聞こえることになるってことで、部族の子どもが熱心に学んでも今までの語彙の少ないままでは意味が一向に伝わらない。
寒さがあって言葉が減ったのかもだし、噛み締めているから舌打ちになった。
あっちでは他との交流はほぼ無くて学ぶというのも出来るのがすればいい程度で平気だったんだけど、話せないことにようやく焦る事態になった。
話してくる相手が(伝わるように)言葉を選んでいるのが情けない。すききらい、美味い不味い、上下とかで、方向はあっちだけだし微妙な表現をされたりすると伏せ語になる。
作業のことは聞き取れないとこばかりになる。用意されていたマニュアル(この語自体が伏せ語)がやたら回りくどい表現だったのは少ない語句で表そうとしているためで、読んでもらったことがちゃんと分かる。
いてくれればとは思うんだけど態度が悪かった。愛想も感謝もなくてっていうのはワシらの普通で、気にしていなかった舌打ちとかして、あんなに準備してすぐ快適に住めるようにされていたのにというのが後で気がついたこと。
色々と分かってくるとまずいことばかりしている。
まあそれであれもこれもが負い目になっていて、適当にしていたことは改めようとしてるし、子どもとか誰かに押し付けていた学びも切実に・・やらないと悪化していくって身に染みている。
他の部族は敵というわけではないし言葉で怯えられることもないので、よく話すようになった。伝わるのは良いのだけれど、間の言葉というか気持ちを表現する語句が少ない。ぶっきらぼうになって、そういうつもりはないのにケンカになる。
今までは必要なことだけ言えば良かったのに、伝えたいし知りたい。そして良く思われたいという新しい気持ち。
ある意味では戦闘だけのコロニーがあって、ナワバリに入ってくるものにキバを剥いていた。それが入れるものを分けて認識するようになったのは愛らしい小鬼と毒気のないオーガだったから。
彼らに毛皮を売り、代わりに内にも服を着たり、灯りやナイフや毛皮をより良く仕上げる知識などと交換する。繰り返して様々なものを手に入れたし、若者の中から新しい言葉というものを学ぶものが出て遠くやってくる人達と話をする。
その時に言っていた「言葉が少ない」というのがようやく自分に降りて、今苦労している。ついつい合間に舌打ちを入れてしまうし笑顔ってなんだっけというのが相変わらずある。
ここに居るオトナ(大きめの子どもも)の焦点が定まっていないような感じで、生活の場所や仕事が分けられている。専ら土を起こしているだけなんだけど、ノルマでは他もあるのにしていないらしい。達成したらとか頑張ったらおかずが付くそうなので主食と副菜だけでサカナの切り身がポツリ。子ども達や手伝い達には1尾だし、甘味とか果実とかに乳とかジュースまである。
かつての割り当て、食事は分かりやすいからって獲物を獲る者が多くだったり良い部位を得てた。ここではそうではなくてみんなが一緒で特別になるのは分かりやすい成果があったって事だけで、それは不足なくみんなもらえるもの。
普通の事をしているだけで尻尾の人達は褒めていて、可愛がりすぎ与えすぎって人魚たちに注意されているくらい。
食事は静かに食うモノのはずで、食事中に話していたり、がんばったことを褒めたりは年寄りが怒る。それが何だったのかはもう分からない。
ここに来てからは大人しくなっていて年寄り(長老)にも仕事はあってやらないとおかずが寂しくなるのは変わらない。そういうルール。
それが部族に戻っても続いていて全員が何かしらの仕事をするようになった。
子どもは共通語が多めなっていて、それに釣られて(学んで)共通語と今までのと話すんだけど細かい部分になると単語が混ざっておかしいって笑われる。
極北の言葉は短い単語だけをポツポツ言うもので繋ぎの語句がない。そこに長めの語句が繋ぎの言葉を伴って入ってくる、そりゃ変だろう。
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元が言葉の少ない言語体系で変質してさらに短く、単語まで減っていて最初は未知の言語かって思ったくらい。
位置的に使われている言葉をアレンジしてお話しは出来たけど、こんなんじゃ複雑なお仕事を伝えきれない。マニュアルはそれをかきあつめて作ってみたものの、やたら回りくどくなってしまった。
子ども達は少し共通語を話せるようになっていたし読んであげてねってして、説明や解説はそこにいる東雲の人達に丸投げ。
そうしたこととか成果で分類したことや負担だろうって代わり番こだったこととかで、そうとうビビったらしいということは後で分かった。
それでも土地やサカナや暖かい気候に希望を持ったと思うし、もう戻さないって事情というか都合もある。何とか仲良くしてくれないかなあって人任せしてる。
好かれてないって思うと丸投げにも遠慮はなくなるものだよね。
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ワシらから見ても怠慢と思うし、ボンヤリしているのが不思議だった。その分けられた集団に明らかな子どもはいて、けれど老人はいない。
何度かの湾滞在でポツリと話し始めて事情が分かった。
分けられているのは性病というのに罹っていて、それが代々受け継がれて短命だったそうだし、前は粗末な家とも言えないような場所で寝起きしていた。
冬を越えることで取捨選択をされて病が生死を分ける。聞いた話では確実に罹るというものではないらしいけど何度もしていれば漏れは起きない。
極北には病らしきモノはないから、そういう話を聞いたってだけで実際に見たのは初めてで、それがこんなにいる。
全てが発症して中期らしいのだけれど、クスリを開発できたとかで病気の進行は止まっている。それで春早々に見切りを付けられるところだったのが経過を見るという理由で滞在を延ばされていて・・要は改心を期待されていた。
夏の忙しい時期でも態度は変わることがなくて、とうとう夏に集落のある所の近くに放たれた。仕事にはやる気がなくてもそっちの方は長い間分けられていたから、そういうことで村に入り込めるかもしれない。
一応は症状が止まっているけど、そういうのが罹りやすいかどうかは知らないと言っていた。もう終わったこと。
この春で村の一員として「合格」だったらしく、3部族とも加わってそれそれに拠点というのを造ってもらったのだけれど混ぜられている。
離れてはいるけれど大変というほどではないので行き来はあり、幼馴染みというのがそれぞれにいて行きやすい。
畑を重点的にしているところ、サカナを育てるところ、貝や草を育てているというように分かれてはいるけど、きっとまた混ぜるし役割も変わってくる。
良くも悪くもアイツはコマのように考えているんだろうって笑っていた。
俺たちも長く森に住んでいて助けを求めて来たらクジで振り分けられて家族親戚がバラバラになったのもいる。家族仲が悪くてとか良くてとかが不思議と分かっているような振り分けでって話は長くなる。作付けが済んで冬だし時間はある。
思い出話でも未来の話しでもヒマはいくらでもある。言葉が分からない時の辞書というのをチラチラ見ながら夜長を楽しむとしよう。
病気だらけとか、カニしかないとか、子どもだけで何すんのって
たぶんみんな思っているよねえ。
今のところ東雲で消費しているだけだし、そう思われるのも仕方ない。
部族を丸ごと連れてきたって効果は来年からかなあ。
本生産はその先だからお楽しみにしててね。
次は火曜の夜10時、もうじき梅雨だけどゆううつじゃなかったらいいな。




