姉さん方
女性は自分の事をマダムと呼ぶようにと言うと、アマリーを二階へと連れて上がった。
そこには、きらびやかな衣装を身に纏った女性らが美しく化粧を施している。
「ここはね、踊り子の店さ。私らは身体は売らないが美しさは売る。さあ、こっちにおいで。私がじきじきにあんたを磨いてやる。」
アマリーはそれからというものの、マダ厶に毎日のようにマッサージを施され、そして、踊り子の姉さん方に可愛がられては化粧のしかたや自分に似合う色や衣装について学んでいった。
はっきりいって匿われているという意識がなくなるほどに、アマリーはここでの生活を楽しんでいた。
掃除や雑用もあったが、それらもアマリーにしてみればはじめての経験ばかりで、懇切丁寧に教えてくれる姉さん方に感謝した。
「あんた本当に働き者さねぇ。」
「アマリーこっちにおいで。髪を結ってあげるよ。」
女ばかりの生活は、今までのように自分をばかにするような男の人に会うこともなく、アマリーにとってはとても居心地の良いものであった。
「姉さん方は本当に綺麗ねぇ。」
アマリーが惚れ惚れするようにそう言うと、姉さん方はこぞってアマリーのことを誉めてくれた。
「あんたは本当にかわいいねぇ。」
「もっと自信をお持ちよ。あんたはかわいい。」
「いや、でも男からしたら美しいにはいるのかしら?」
「はは!どうだろうねぇ。でも、アマリーあんたは自己評価がうんと低すぎる。なんでだい?」
姉さん方はとても不思議そうにアマリーを見つめ、アマリーはうつむくと言った。
「私はデブだし、、、前の婚約者にも、、、ポチャッ娘って言われて婚約破棄されたの。これでも痩せようと努力はしたつもりなんだけど、、皆からもデブって言われて、、、」
ぼそぼそとしたアマリーの言葉に、姉さん方が黙りこんだのに、アマリーは怖くなってそろりと顔をあげた。
すると、姉さん方の表情には怒りが浮かんでいた。
「アマリー。あんた、今から今後一切自分を卑下した言い方はしなさんな。」
「あんたの周りにいた、あんたを傷つけてきたやつらなんて相手にすることはないよ。」
「そうさ。あんたは、とっても良い娘だ。」
「私らはあんたが好きだし、あんたの味方だ。」
アマリーはその言葉に瞳一杯に涙をためると、自分をこんなにも肯定してもらえるとは思わず涙がこぼれた。
そんなアマリーを姉さん方はそれからそうとう甘やかし、美しくなる術をとことん教えていった。
マダムはそんな様子を見て嬉しげに笑った。
とんだ面倒事を昔のよしみで押し付けられたかと思ったが、そんなことはなかった。
ここにいる娘らは色々な理由でここに身をおいている。だからこそ、他人には厳しいし、人を甘やかすなんてことはしない。
だが、それが今覆されていた。
「こりゃあずっと居て欲しいくらいだよ。でも、そろそろみたいだね。」
手紙を読みながらマダ厶は笑みを浮かべた。
せっかくならばあんなに良い娘だ。
自分の全力をもって咲かせてあげよう。




