女の見せ方
ロッテンマインとエルドラドの研究所に来たのは久しぶりであり、アマリーは客間に通されると部屋の中を見回した。
客間とはいっても研究所な為にとても簡素であり、おいているものも必要最小限のソファと机のみであった。
執事にしばらくお待ちくださいと声をかけられたアマリーは、出された紅茶を飲みながら小さく息を吐いた。
先程の者達が本当にエミリアーデの手のものであったとするならば、セバスの言うとおり今城に行くのは得策ではないだろう。
その時、ロッテンマインとエルドラドが部屋に入ってきてアマリーはその姿を目にしてほっとした。
だが、部屋に入ってきた二人は目を丸くすると、アマリーの事をじっと疑うような眼差しで見てくる。
「ロッテンマイン先生、エルドラド先生、突然申し訳ありません。」
二人は声を聞きそして目を見開いた。
そして小さな声で何かを言い合っている。
「エルドラドどういう事だ?」
「アマリーが来たと聞いて来たが、、、だが、声はアマリーだ。いや、見た目も、、アマリー?か?」
「ああ。アマリーに、、、違いない。うん。」
「取り合えず聞いてみるか?」
「そうだな。」
自分達を納得させるようにそう言い合うと、二人はアマリーの前に座った。
「アマリー。一体どうしたのだ?」
「本当にな。何があった?」
アマリーは肩から力を抜くと、突然エミリアーデの手の者と思われる騎士らに襲われたことを話した。
するとすぐに二人は執事に言い、アマリーの屋敷へと騎士を送る手はずを整えてくれたのだった。
「セバスや屋敷の皆は大丈夫でしょうか?」
心配げなアマリーに、二人はうなずいてみせた。
「あのジジは普通ではないから死なないよ。」
「とにかく今はそれよりも話をしてくれ。」
「そうだ。気になってたまらんわ!」
「一体何があったのだ?」
「え?」
二人は食い入るようにアマリーの方を見てくるが、アマリーには二人が何をいっているのかがよくわからず首を傾げた。
そんな様子に、しびれを切らしたかのようにロッテンマインが口を開こうとした時であった。
「失礼いたします。大変です。城からの使者を名乗る者らが来ております。」
その言葉に、眉間にシワを寄せるとアマリーに言った。
「何が起こっているのか分からんが、お前さんが目的だろう。非常用の抜け道からここへ向かいなさい。このメモを渡せ。匿ってくれるだろう。いいな?」
ロッテンマインはメモに行き先を記してアマリーに手渡すと、本棚の後ろに隠された隠し通路へとアマリーを押し込んだ。
「先生!?」
「行くのだ。ここすらもすぐに嗅ぎ付けた相手だ。執念を感じる。」
「気を付けていくんだぞ。」
扉を閉められ、アマリーはここからも逃げなければならないのかと拳を強く握りしめると暗い通路の中を進んでいった。
長い通路の出口は意外にも城下町であり、メモを便りにアマリーは一件の店へと入った。
とてもきらびやかで、どこか怪しい雰囲気の店にアマリーは本当にここであっているのか心配になりながらも店の奥へと進んでいった。
すると、奥にはクッションに寝転がる美しい女性がパイプをふかしており、こちらをちらりと見た。
「あら、迷い猫?」
色気のある女性はゆっくりと体を起き上がらせると足を組んだ。
そのなまめかしい様子にアマリーは戸惑いながらも先生からのメモを女性に手渡した。
それを見た女性は、一瞬顔をしかめると溜め息をつき、そのメモを皿の上にのせると燃やしてしまった。
「仕方ないねぇ。預かってあげるわ。ただし、ここで預かるからにはあんたも仕事をしな。」
一体何がどうなっているのかわからなかったが、とにかく今はここで匿ってもらう他ない。
「はい。」
アマリーが頷いたのを見た女性は、口からふーっとパイプの煙を吐くと言った。
「けれどあんた、女の見せ方をわかっていないねぇ。しょうがないから、私が磨いてあげるわ。覚悟しなさいな。」
アマリーはこんな私に女の見せ方もへったくれもないと内心思い、息を吐いた。




