女だからとなめないで
後ろから騎士らが追いかけて来るのが分かり、アマリーは馬を急かすがどんどんと距離が縮まっているのがわかる。
騎士らはアマリーを囲むように陣形をとると剣を引き抜きアマリーに言った。
「止まってください。」
「エミリアーデ様がおよびです。」
馬が驚き、それをどうにか落ち着けようと止めるしかなく、アマリーは囲む騎士五人を見て内心舌打ちをした。
自分が持っているのはいざという時用に持てと言われていた小振りのナイフのみである。これで真っ向から五人を相手にするのは分が悪い。
自分がどれ程戦えるのか、それもアマリーには分からなかった。
鍛練していた相手はセバスのみ。
それでも、易々と捕まる気はアマリーには無かった。
ナイフを取り出し、アマリーは静かに構えた。
すると、騎士らからは失笑が漏れる。
「お嬢様。そんなもので我らに敵うと?」
「危ないですから、さぁ、こちらに渡して。」
「勇ましい、お嬢様だ。」
「大丈夫ですよ。傷つけはしませんから。」
にやにやとした笑みと、体を舐め回すような視線にアマリーに悪寒が走った。
こんな視線を受けたのは初めてであり、意味がわからず眉間にシワを寄せてしまう。
アマリーは小さく息を吐き、心を平静に保つと、今度はゆっくりと息を吸い、吐いていく。
そして、一人の騎士がアマリーに手を伸ばした時であった。
アマリーはその手を弾くと眉間をナイフの柄で殴り、そして騎士の腰にあった短剣を引き抜くと騎士の馬の尻を叩き走らせた。そして反対側にいた騎士に向かってナイフを投げて、よろめいたところで自分の愛馬を走らせた。
すぐに残りの三人が追ってきたので、それを騎上で短剣を使って相手をし、一人、また一人と凪ぎ払う。途中で先ほど殴った一人と、よろめいた騎士らも合流するが、短剣であっても負ける気がしない。
アマリーは少しばかり驚いていた。
この騎士らは弱すぎではないだろうか。相手が女だからと言って嘗めすぎである。
結局アマリーは五人全員を気絶させ、その場を後にした。
アマリーはセバスに言われた通りにロッテンマインとエルドラド、勉強をいつも教えてくれた二人の師匠の元へと馬を走らせた。




