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仮面舞踏会

 王城にて、今宵行われるのは仮面舞踏会。


 主催する国王アドロフは、今だ罪をのらりくらりとかわし続け、その席にとどまるエミリアーデと共に仮面をかぶり、皆に挨拶をする。


 第二王子は療養中ということにされてしまい、ハンスは現行犯で捕まえたというのにエミリアーデのしぶとさと、父親の愚かさに苛立ちを覚えていた。


 だがそれも後少しの辛抱である。


 エミリアーデ自身が今宵、自らを貶める愚考を巡らせていることは、ハンスやルルドの耳にも入っている。


 ルルドは最後まで反対したが、もうエミリアーデの罪を問える機会は今宵しかないであろう。


 憮然とした表情のルルドにハンスは大きくため息をつくと言った。


「最善は尽くしてある。それに、、、お前の願いも聞き入れているだろう?」


 ルルドは当たり前とばかりにハンスを睨み付けた。


「女性を危険にさらすことは、本来であればあってはならない。」


「はぁ?五人の騎士を相手に揚々と逃げおおせるほどの力を持っているのにか?」


「彼女自身の力は関係ない。」


「いや、関係あるだろう。出来るならばうちの騎士団に入ってほしいほどだ。」


 するとルルドの視線がさらに鋭くなる。


 ハンスはすかさず両手をあげて降参のポーズをとると言った。


「冗談だ。本気にするな。お前に睨まれると身が竦むからやめてくれ。」


「はぁ。アマリーは、大丈夫だろうか?」


「いや、そこは心配ないだろう。マダムの所でも元気だって連絡を受けたしな。それに、今日は久しぶりにお前も会えるんだ、楽しみだろう?」


 にやにやとしながらハンスが言うと、ルルドは至極当たり前かのように頷いた。


「ああ。こんな場でなければな。」


「からかいがいのない男だ。」


 その時であった。


 会場が薄暗くなり、舞台のように明かりがともる。


 赤く、妖艶な雰囲気の舞台に、仮面舞踏会に来ていた客人方は出し物が始まるのだとワインを片手に楽しそうにそちらへと視線を向けた。


 エミリアーデも美しい笑みで、自身の狂気を覆い隠して舞台を見つめる。



 舞台に現れたのは一人の妖艶な雰囲気を持つ女性であった。


 両腕の袖は長く、まるで蝶のような衣装を身に纏い、胸元の大きく開いたそのドレスは、女性のしなやかでいて肉付きのよい体を最大限に美しく見せる。


 肌を大きく見せているのは胸元だけなのにもかかわらず、男性陣がごくりと喉をならしてしまうのは、美しい舞のせいであろう。


 しなやかでいて、まるで天女さながらの美しさに皆がほうと息をのんだ。


 ハンスはその踊り子に目を奪われた。


「あれは、美しいな。」


 すると、後ろにいたハンスを護衛していたテイラーは目を見開いて喉をならした。


「あんなにも美しい女性は見たことがないですよ。マダムの踊り子達は大舞台に立つことが多いですから殿下の護衛として何度も見ていますが、、、初めてみる方ですね。」


 ルルドは拳を握りしめると口惜しげに言った。


「だから、嫌だったんだ。」


 小さく呟いたルルドの熱い視線は、まっすぐにその女性に向いていた。









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