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カエルが潰れたような声 

 アマリーは静かに首を横に振った。


「私は物ではありませんし、こんなデブ趣味ではないでしょう?」


「あぁ。だが、話をしていると面白い。それに、その腹をずっと揉むのも楽しそうだ。」


「揉む!?はぁ?!」


「よし、ではこちらへこい。」


 アマリーは部屋の隅まで下がるとぶんぶんと首を横に振った。


 全力で遠慮する。


「ハンスがどうなってもいいのか?」


 アマリーはその言葉に、確かに今は言う事を聞かざるを得ないと、ため息と共に覚悟を決めた。


 横に控えていた騎士が牢の鍵を開けアマリーの腕を掴むと外へと出した。


 アマリーは腰に手を回され、仮面の男に連れられて外へと出た。


 そこはかなり古い屋敷であり、アマリーは幽霊がでそうだなと考えながらも仮面の男に連れられていく。


 男に連れられて入った部屋は古いながらもしっかりとした調度品が並べられていた。 


 アマリーは男の膝の上に乗せられソファに腰掛ける。


 本当は早く殴って逃げ出したいのだが、ハンスの無事が確認できていない以上は頑張って耐えるしかない。


「思っていたよりも軽いな。身長が低いから見た目よりも太って見えるのか。」


 あまりの恥ずかしさにアマリーは硬直し、今にも仮面の男を殴ってしまいそうで、必死に自分の腕を抑えていた。


 すると、仮面の男の手が微かにアマリーの脇腹の肉をふにふにとし始め、アマリーはあまりの気持ちの悪さに顔を青ざめさせた。


「はっ。可愛らしい所もあるじゃないか。怖いのか?」


 違う。怖いのではなく、非常に気持ちが悪いので、今すぐにでも殴り倒したいのを我慢しているのである。


 仮面の男はにやにやと下世話な笑みを浮かべるとすっと手をすべらせる。


 全身にぞわぞわとした気持ちの悪さが走り、もう限界だと思った時であった。


 部屋の外が騒がしくなり、騎士が慌てた表情で部屋に入ってきた。


「お逃げください!この場所が見つかりました!」


「なんだと?!何故!?」


 バンッ


 扉が蹴破られ、アマリーは目を丸くしてそちらへと目を向けた。


 すると、そこにいたのは鬼の形相をしたルルドであり、仮面の男だけでなく、アマリーまでもがその威圧感に恐怖した。


 ルルドはアマリーの姿を捉えると一瞬ホッとしたような表情を見せたのだが、次の瞬間、目をカッと見開き、こちらへとずんずんと向かってきた。


「ひっ!」


「と、止まれ!」


 アマリーはその顔の恐ろしさに驚き、仮面の男はアマリーにぐっと力を入れて慄いている。ウェストを締め付けられてアマリーは思わずカエルの潰れたような声を出した。


「ぐぇっ!」


「その手を離せ。」


 ルルドはそう言うと斬りかかってきた騎士の剣を受けると薙ぎ払い、駆け出すと仮面の男の顔を剣の柄で殴りつけるとアマリーを引き寄せ抱き上げた。


「きゃっ!」


「じっとしていてくれ。」


 次の瞬間部屋の中に騎士達が流れ込んできて囲まれてしまい、アマリーは焦ったように言った。


「ルルド様!離して下さいませ。私も戦います。」


 多勢に無勢、助太刀する気持ちでそう言ったのだが、ルルドは小さな声で言った。


「嫌だ。」


 嫌だ?!どういう事ですかルルド様!!


 アマリーが混乱している間に戦いは始まった。



 

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