無意識の殺気
アマリーはルルドに何度も放すように懇願するが、ルルドはアマリーを片腕で抱き上げたまま、騎士らとの剣を交えていく。
その間に仮面の男は隠し扉から騎士に連れられて逃げていってしまう。
人一人を抱えているのにもかかわらずルルドは身軽なものであり、アマリーはこんなにもルルドが強かったのかと驚いていた。
だが、やはり自分はあきらかに邪魔である。
「ルルド様!戦えますから!」
その言葉に、ちらりとアマリーに視線を向けたルルドは言った。
「先ほど顔色を悪くしていたではないか。」
「え?あー、あれはあの人の手が撫で回すのが気持ちが悪くて、、、ひっ!」
ルルドから殺気が感じられてアマリーは身を強張らせた。
「撫で、、、回されたのか。、、、っち。」
怖い。
何故そんなにも殺気を放つのだとアマリーは逃げたくなるのを必死に堪えていた。
「あの、肉を揉まれても気持ち悪いだけですから心配せずとも、、、、ひっ!何故また殺気をはなつのですか!!」
「え?、、殺気を、、放っているか?」
「ええ!」
「いや、、、アマリーに怒っているのではない。ただ、何故だか無性に腹が立つ。」
さり気なく名前を呼び捨てにされたのですが、なんですかね!?
しかも殺気は無意識ですか?!
アマリーはそのルルドの姿に動揺しながらも、心配して貰えたことに喜びを感じている自分に恥ずかしくなった。
殺気は怖いが、心配は嬉しい。
だがその時、騎士らに人数で押され始め、ルルドは眉間にシワを寄せた。
「ルルド!お前勝手に突入するな!」
テイラーが部屋に入ってくるとルルドの加勢にはいり敵を倒していく。
その体は身軽であり、敵の数は一気に減っていく。
「アマリー嬢も待たせてすみませんでした!さっと片付けますから、しばしお待ちを!!」
さすがはハンスの護衛につくだけはある。ルルドと共にテイラーは敵をなぎ倒すと、数分でその部屋にいた全員を倒してしまった。
そして、やっと降ろされたアマリーもほっと息をついた。
その様子を見たテイラーはにやにやとしているが、アマリーは無視をしてルルドにお礼を告げた。
「ルルド様、本当にありがとうございます。」
「いや、こちらこそ助け出すのが遅くなってすまない。」
二人はしばらく見つめ合っていたのだが、テイラーは部屋の騎士らを物色した後に言った。
「他の加勢に行きます。ルルドはアマリー孃の事を頼む。」
そう言ってテイラーは走り出すと行ってしまった。
「あいつも仕事ではかなり優秀なんだかな。」
「はい。見ていて、驚きました。」
その言葉に、ルルドはアマリーをじっと見つめた。
アマリーは何かと首を傾げると、ルルドは何かを言おうと口を開けて、そして何も言わずに閉じた。
「あの、、、何か?」
「いえ、では、行きましょう。」
そう言うとルルドはまたアマリーを抱き上げようとしたのだが、アマリーは慌ててそれを避けた。
「大丈夫です。歩けますから。」
少し不服そうな表情を浮かべたルルドではあったがアマリーは抱き上げられずほっとしたのであった。




