湖畔で乗馬
今日は馬に乗って湖畔を散策に出掛ける予定だったので本当は楽しみにしていたのだが、昨日のルルドの言葉を思い出してしまい、気分が半減してしまう。
しかも昨日は外で運動できない分、夜眠る前に部屋で筋トレを行い、今朝も柔軟をしたのだが、いつもと運動量が違うからなのか節々が痛い。
小さくため息を付きながら乗馬の準備を侍女とともに行い、ハンスの所へと向かった、
ハンスは既に準備を終え待っており、挨拶を済ませると二人は馬に跨った。
予定通りの時間に二人は出立し、ゆっくりとしたテンポで馬を歩かせて散歩をしていく。
「アマリー、今日は元気がないな。大丈夫か?」
そのハンスの言葉に、アマリーは笑みを浮かべると言った。
「ええ。最近、なんだか運動のしすぎなのか、はたまた足りないのか、節々が痛いのです。」
「え?節々が?」
ハンスは目を丸くした。
「ええ。なんでかしらと思うのですが。」
「えーっと、アマリー。もしかしたら身長が伸びているのではないか?」
アマリーは首を傾げ、横に振った。
「測ってはおりませんが、私はずっとこの低い身長のままですわ。」
「そうなのか?いや、まぁ、家に帰ったら両親にいつ頃身長が伸びたのか聞いてみたらどうだ?参考に出来るかもしれないぞ?」
「え?そうでしょうか。」
半信半疑なアマリーではあったが、ハンスは聞くことを勧めてきた。
「まぁ、聞いても損はないからいいだろう?」
「そう、ですわね。」
この低すぎる身長もアマリーにとってはコンプレックスの一つだったので、身長が伸びるならばとても嬉しい。
だが、身長が高くなった自分を想像して少し怖くなった。
デブな上に巨人になったら、嫁の貰い手はもう無いかもしれない。
そう思うと、やはりこのチャンスを逃せないとアマリーは気を引き締めた。
馬の蹄の音を聞きながら湖畔を進んでいくと、美しい花畑が見えてきた。
二人はそこで馬から降り、馬をつなぐと、花畑の中を歩いた。
様々な花が咲き誇っており、ミツバチが忙しなく蜜を集めている。
「ここらは養蜂も盛んらしい。」
「ハチミツですか。ハチミツは美味しいですよね。」
「ああ。ルルドはああ見えてハチミツが好きでな、パンケーキにこれでもかってくらいかけるんだ。」
「そうなのですか?」
「あぁ。あ、そう言えば昨日のアマリーの先生の話なんだが、、、、。」
そこでハンスは言葉を切ると気配を感じて言葉を止めた。
アマリーはにこやかに言った。
「予定通り、お客様が来られたようですよ。」
美しい湖畔には似合わない黒ずくめの者達に、二人は突然取り囲まれたのであった。




