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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第115話

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俺が進化(神化?)を完了させ、異世界から間抜けにも召喚されてきた自称『勇者』(笑)の者たちを、地獄と名高い西部へと放逐してから早一月。


彼らの命運は、既に俺の管轄地域である『冥界』からもたらされた一報によって把握出来たのだが、特別何か気になる事が有った訳でもなかったので、基本的には放置して、刑期が終わり次第元の世界の輪廻に戻してやる予定ではあるけれど。


そして、その一月の間に、俺達がサンテレルを落とした事によって発生した諸々の雑事(誰が統治するのか、どうやって四国間で分割するのか、そもそも統治するのか、政治体系はどうするのか等々)を、


『一層の事殺してくれ』


が口癖になっていたアルヴと共に必死に捌いて捌いて捌きまくった。


そして……



「……これで……ラスト……!」



手元に残った諸々の書類、その最後の一枚へとここ一月の地獄を思い返し、その万感の怨念を込めて判を振り下ろし、発生していた書類仕事に終止符を打つ。


「……嗚呼、やっと……終わった……」


そう呟きながら、今日の今日まで下の木板が見えていなかった実務机へと倒れ込み、進化して肉体を得てしまった事により発生している、酷使した右腕の肘が訴える腱鞘炎の痛みと、ほぼ完徹に近い状態で作業していた事により発生している頭痛を堪えて呻き声を挙げる。


「……陛下……お疲れ様です……」


その声反応して視線を向けると、その先には俺と同じ様な状態にて机に突っ伏しているアルヴの姿が有った。


「……おぅ、アルヴもご苦労さん。そっちも、どうにかなったみたいだな……」


「……ええ、何とか……生きて乗り越える事が出来ました……これも、陛下のお力で進化していたお陰でしょう、か……」


言葉だけを聞くならば、素直に感謝しているのだろう、ともとれたのだが、本人からの視線も加味して考えてみると、どうしても恨み節を聞かされている様にしか思えず、反射的に謝りそうになる。


が、実際には苦笑いを浮かべるのみに抑え、突っ伏していた机から身体を起こすと、固まってしまっていた首やら肩やらをゴキゴキ言わせながら回しつつ、アルヴに向かって声を掛ける。


「……確か、さっきまであった分を終わらせれば、暫くは仕事は無かったハズだから、アルヴも帰って寝ろ。俺はもう帰る!」


「……そうですね……帰ってくるのを待っていてくれる人が居る陛下は、帰ると良いですね……」


まさかの地雷踏み抜きにより、完全に恨み節を貰ってしまったが、そこはあまり気にしない様に自身に言い聞かせつつ、結局寝落ちしたらしいアルヴの呼吸を聞きながら、ガルム達が待っているハズの家を目指して執務室を出るのであった。





******





「そう言えば、式とかはいつ頃にするのが良いんだ?」



書類地獄を切り抜けて、ガルム達が待っている家にて久しぶりの余暇を楽しみ出した翌日。


リビングにてマッタリと寛いで居るときに、ふとした拍子に、そう言えば結婚を約束していたっけ、と言う事を思い出し、俺と同じ様にリビングで寛いでいた彼女らにそう切り出した。


……が、それに対して帰ってきた反応は


「……『式』、でありますか……?」


「あの~、何の『式』でしょうか~?」


「『式』とは一体、何の事でしょうか?旦那様?」


「……『式』、ですか……。すみません、何かの魔法関連の儀式でしょうか?」


と言った感じであった。


それらの返答に対して、逆に俺が『ポカーン』としていると、唯一俺が何を言いたかったのかを理解していたシルフィが『あちゃ~』みたいな顔をしながら口を開く。



「……ジョンさん。確かに、私達は結婚の約束をしていたし、それを真剣に考えていてくれたみたいなのは嬉しいんだけど、この世界には『結婚式』を挙げる習慣が無いから、この娘らに式云々を言っても通じないわよ?」



「……え?まじで?」


「まじで」


「……じゃあ、やらないでも良いか?」


「それとこれとは話が別!って事でやりましょう!」


「……結局やるのね……」


そんな感じでシルフィと話していると、他の面子も興味を持ったのか、視線にて説明を求めて来た。


そんな彼女らに、結婚式とは、俺達が元居た世界における結婚の一形態であり~、と説明してやり、それと同時に各種族での結婚の形態を聞き取りによって調査してみる。


「自分の処では、娘親の処に挨拶に行って、それで認められれば大丈夫でありますよ?まぁ、お祝いとして、両方の家族で狩りに出掛ける事は有るかも知れないでありますが」


「私の故郷でも~、やることと言ったら~、両方の親や家族への報告位だったと思いますよ~?多少はご馳走の類いが出るかも知れないですが~、基本的にはその程度ですね~」


「エルフの場合は確か……、二人で協力して狩った獲物を両家に奉納……だったかな?あんまり興味無かったから、よく覚えていないけど」


「私達竜も、両親への報告位でしょうか?まぁ、基本的に、顔見知り同士でくっつく事が多かったので、あまり意味が有る風習でも無かったですけど。

……ちなみに、私は今回が初めてですからね♪」


「私の所も、王家が伴侶を迎える、と言うある種の行事でもなければ、そこまで大きな騒ぎにはしなかったと思いますね。結婚の定義も、私達は相手に決闘を申し込んで、勝ったら結婚を申し込める、と言う程度のモノでしたから、そこまで話が大きくなる要素が無かったのでしょう」


……フム?なら、全員でほぼ共通している『両親への報告』にでも行くかね?

幸いにも、ここしばらくは時間が空くみたいだし、こう言うのは勢いだから、丁度良いだろうね。


そう提案してみると、案の定皆


『じゃあ、行こうか!』


的なノリで元気よく返事をしてきたので、ある程度手土産的なモノを用意した上で出発し、取り敢えず所在が判明しているウカさん、シルフィ、レオーネの順番で挨拶しに行った。


……まぁ、ウカさんの実家では、ご両親に結婚相手が俺だと紹介したら腰を抜かされ(俺=魔王と認識出来ていたらしい。有名になったモノだね)、ティタルニアに挨拶に行けば


『婿入り以外認めぬ!』


とか戯言を抜かし出したので、久し振りに少々『オハナシ』する事になったり、レオンの所に挨拶に行けば


『なんだ、ようやくなのか?』


と拍子抜けする様な便所と共に、俺と【契約】していた関係で進化した(種族:獅子心王ナラシンハ)為に、変化してしまったステータスに慣れたいから、と模擬戦(と言う名の殴りあい)を申し込まれたり、と色々とあったが、それらは無事に終える事が出来たのであった。


そして、次はガルムとウシュムさんのどちらに行こうか?となった際に、では比較的行き易い自分の処から、と立候補があり、ウシュムさんもそれを承諾した事により、次はガルムの故郷であるフェンリルの郷へと行く事が決定したのであった。

次回、ガルムパパと主人公対面!果たしてどうなる!?(解・子供が聞いてきた昔話)


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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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