第六十二話
「流石に、これでも殺しきれはしないでしょうね・・」
ユウは、片方の首を落とされても尚自分たちを睨み続けるもう片方の頭に目をやる。次の瞬間、
「■■■■■■■」
その一つの咆哮でユウが先程切り落とした頭が、再生を始めた。
「ねえ、蓮。これって明らかに・・」
「ああ、魔法の領域だな。そもそもお前の剣は高温を有している。それによって切られたのに、火傷を負っても再生する。それは完全に魔法の領域といって過言ではないな。」
「やっぱり?しかもあいつ、見た感じだと知性があるっぽいよ。」
「ああそうみたいだな。だが、心が感じられない。大方心が存在し得ない代わりに、圧倒的な魔法と力妖力量を備えているんだろうな。正直いって、こんなもんよくもまあ作る気になったもんだぜ。馬鹿みたいな考えを持った奴が作ったといっても過言ではないな。」
蓮は、竜の方向を見てユウに指示を出そうとするだが、
「そこまでかな?ありがとう、蓮、ユウそしてクラウシアさん。ここから先は選手交代といったところかな?いかんせん、あれを倒し切るのは流石に覚醒したばかりの二人じゃ難しい。ここは、先達が務めるべきだと思うが違うかな?」
酒呑に止められた。三人は目を見開き、各々驚愕する。
「なっ!? 君先程まで倒れていたのではないのか!?いくら君でも不可能だろう!?」
「流石に、寝起きの人間に助けられるほど弱かないぞ。」
「いくらあなたでも、少しは休んでおくべき。ここは私に任せて寝といてちょうだい。」
言葉は違えど、全ての言葉が酒呑を心配する言葉であった。だが、酒呑は
「甘く見ないでくれ。これでも君たちを守るために死ぬ気で戦ったんだ。あと数分程度、どうってことはないさ。それじゃあ、任せてくれ。」
そういって3人を退けるとアゴニーを手にもち自らが理想を言葉とした。
「僕の理想は、混沌。故に、僕のヤイバは何者にも壊されず自らの理想へ向かって一つの道を歩み続ける。」その刹那、酒呑の纏っていた雰囲気が大きく一転した。
混沌とは、世界が生まれる前から存在していたとされるある種の『原型』という概念そのものであり、創造を意味する。そして、幻想そのものが力を持つとされるこの『平安宴歌』の世界においてその力は神すらも不可能とされる
『神器』の創造も容易とするまさに、最強と呼ぶにふさわしき力である。そして何よりも、酒呑の目的である神を殺し半魔たちを守るということは人間と半魔や半妖が共に暮らすまさに混沌というべき世界を作ることへと直結する。それゆえに、酒呑が定めた理想は酒呑と奇跡とも言えるシナジーを発揮し能力として実現した。
『ギャオオオオオ!』
だが、流石は封印するしかなかった怪物。ジャバウォックは、驚かなかった。何故なら彼にはもとより感情が欠落しているから。
ジャバウォックは再生が完了したふたつの頭で詠唱をする。
『■■■■■■』
その姿に、酒呑は憐れみとも撮れるような表情を向けアゴニーを地に突き刺し指を口元に当て
「シーー」とジェスチャーをした。
その刹那、最大限に改良されたやまびこの能力によって研ぎ済まされた風の刃がジャバウォックの双翼を切り落とした。能力の、誠の名を理解した今酒呑の技や能力はこれまで以上それこそ下手な神業や固有空間すらも凌駕するほどの力を有している。(まあ、それ以上にコストパフォーマンスが悪くなっているわけなのだが・・・)
閑話休題
尚且つ、酒呑の『山本五郎左衛門』によった改良は能力だけに止まることがなかった
そして酒呑は、アゴニーを振りかぶりスッと振り下ろした。流麗、そして極めてなだらかな刃は触れることなくジャバウォックの体を両断した。そして不愉快そうな表情で切った後の姿を見る。
「気分が悪いね。あの圧倒的な、不死身ともとれるような圧倒的な再生能力と双頭による圧倒的なまでの魔法の詠唱速度それらを特化させるため戦いのためだけに作られた哀れだ。実に哀れとしか言いようがない。だが、それだけだと思っていたんだがね・・・・流石に縦に両断されておけばそこは生物として死んでおくべきなんじゃないかい?流石に僕もプライドが少し傷ついたよ・・」
ジャバウォックが斬り伏せられた後その場には、二人の少女が立っていた。
「なるほど、自ら戦闘の中で自己進化を重ね結果としてどんな敵をも上回る。まさに完璧と言ってもいい存在だね。それでいて、非道な考え方だ。まさか、そのためにあの再生能力すらも持っていただなんてね・・・・」
酒呑は余裕の表情を崩さず呟いた。だが、その表情が二人の竜の逆鱗に触れた。
「「Aaaaaaaa!」」
「叫ぶなよ、これでも寝起きなんだからさあ!」
酒呑は大きくアゴニーを振りかぶって二頭へと突撃した。
正直言って、これやっぱオーディンどもクズすぎない?って書いてて思う今日この頃。正直に言いましょう。酒呑、まだ混沌の力使ってないです。いまの酒呑って、無限のエネルギーとアホほどエネルギー必要とする代わりに光速以上の速度で走れる物理法則やら相対性理論やらガン無視の馬鹿みたいなエンジン積んだスーパーカーみたいなもんです。ちなみに酒呑がアゴニー振るだけでスパって切れたのは、今酒呑体中エネルギー回りまくっているんで、アホほど身体能力バケモンになってます。
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