第五十九話
一方、その頃ユウの方では・・・
「ふむ、百目鬼が逝ったか・・・随分と長い時を過ごしたものよな、友よ。目覚めるがいい。新たな時代の可能性よ。」
「ここ、はどこ?」
ユウの目の前には、巨大な黄金の鱗を纏い6枚の翼をもち天使の輪のような王冠をかぶった竜が座していた。
「ふむ当然といえば当然か。早数万年。光陰矢の如しとはこのことか。いかに竜種が、長生きといえどもこの年月を過ぎれば記録もなくなると言うもの。改めて名乗りを上げるとしよう。我が名は、『バハムート』かつてティアマト神たちとともに空から来たものたちと激戦を繰り広げ敗れてしまったものである。そして汝の先祖と言える。」
「ティアマト?神?どう言うこと?」
「まあ、これ以上の話はあの外にいる男に聞くといい。さて、何時にひとつ問おう。力が欲しくはないか?何者にも害されず大切なものを守り抜くそういった力が。」
「欲しい!」
その言葉を聞いたバハムートは、笑みを浮かべて言う。
「即断即決か。実にいいな。我ら竜種は、長生きなゆえ頑固者でもあり臆病者でもある。それゆえ、汝のようなものと関わるのは初めてだ。実に面白い。よかろう。汝に力を渡してやろう。そのために、汝は何故力を欲する?」
「私が、力を欲する理由・・・」
(何でなんだろう。私にはわからない。)
元々ユウは、自己主張というものが苦手であった。それゆえに、この質問はユウにとって最も難しい問題と言っても過言ではないものだった。
「力には大きな責任がつきものだ。そして我が汝に与える力は実に強力だそれゆえ、自らの力を振るう理由を明確にするといい。さすれば、汝の力は我以上のものになると断言できよう。」
(いくら何でも難しすぎる。そういえば、前に酒呑に似たようなこと聞いたことあったっけ)
その瞬間、ユウは酒呑が以前言っていたことを思い出す
『僕は僕がやりたかったから君を助けた。僕は僕が君に死んでほしくなかったから君を助けた。いうなれば一種の独善なんだろうね。だが、その小さなされど大きな独善こそが、人を人たらしめて人を常に喜びや優しさに溢れた生涯を送らせてくれるものなのだと僕は思うよ。だから僕は君を助けるんだ。それが、僕にとっての生き方だからね。』
(ああ、そうだね。そうだったよね。確かに必要じゃなかった。いつからだったけ、そのことを忘れてしまったのは。母さんたちが殺された時?あの男に拾われた時?どっちもだったな。)
「私は、私のために力を振るう。」
「なぜだ?大抵汝ら人間は他人のために力を使うものが一番強いというだろう?なのになぜ、力を自らのために振るうのだ?」
「確かに。よく物語ではそう言った風に語られる。だけど、私はこうも思う。他人のために力を振るうことしかできないなんて、なんて『不自由なんだろう』と。だからこそ、私は私のために酒呑や親方たちを守れるほどに強くなりたい。だから、私に力を貸して!」
ユウがそう言うと、バハムートは笑った。大きく笑った。
「ハハハ!そうか、いいだろう。新たな時代の可能性よ、汝であれば我らにはできなかったことをなすことができるだろう。ゆえに、汝に『天使竜』の名を授ける。精進し続け、他者を自らのために守り抜いて見せるといい。それこそが汝の正義なのだろう?そして、忘れるな!若き可能性よ、汝が諦めない限り汝が他者とある限り我ら竜の血と汝のその名は、誰にも壊されることなく誰にも傷をつけさせることなく争いを収めることができるであろう。」
「ありがとう。バハムートあなたには感謝しても仕切れない。」
「何、礼を言うのならばこちらの方だ。汝のおかげで我も友たちがいる場所へ行くことができる。感謝するぞ。何時の未来に幸があらんことを。では、我が消滅した後残されるものは全て使ってもらって構わん。汝の力であればそれが可能であろうからな。さらばだ我ら竜種の未来よs。」
そう言い終えると、バハムートは消滅し一つの鍵が残された。
「ああ、本当にありがとうバハムート私のご先祖様。」
今、ここに一つの神話の祖が消滅した。
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