第五十六話
(ここはどこだ?)
僕が目を覚ますと、なぜか海岸にいた。
『ザァザァザァ』
「やあ、初めましてだね。もしもの世界の僕。」
「おいおい、幾ら何でも夢にしては現実味があると思ったがこれは確実に夢だな。ああ確かに。初めましてだな。僕。」
僕の目の前にいたのは、10年後の赤月酒呑すなわちラスボスとなった僕だった。
「いや〜しっかし君を呼ぶのにもすごく苦労したんだよ?何せ、現実世界の君基本的に眠らないじゃん。しかも気絶したかと思えばなんか三途の川渡りかけてるし。ほんともしもの世界とは言え、衝撃しかないよ。」
「こちらも驚いているよ。何も守れなかった僕が、目の前にいるんだからね。」
「ハハ、当たりが強いなあ。まあ当然かな。確かに僕は守ることができなかった。だからこそ、君を今こうして呼んでいるわけなんだけれどね。」
「読んでいるとはどう言うことだ?そして何のために?」
「まあ、魂を僕が作り出したこの空間に召喚したんだよ。結構大変だったんだからね。まあ理由をいうのならば、君力を与えるためかな?」
「力を与える?どういう意味だ。」
「もちろんそのままの意味さ。このままでは、父上も母上もみんな死んでしまう。僕の予想が正しければね。だからこそ君には強くなってもらわなくてはならないだから僕は君に力を渡すんだ。」
その言葉を聞き僕はため息を吐く。
「いくら僕と言えども、あれに勝てるような能力を渡せるわけがないだろ?」
「ああ、そうだね。あれはオーディンのバカが作り出して、あいつのいうことを聞かずに逃げ出したじゃじゃ馬だ。そんなやつを殺すとなると、少々手間がかかる。今の僕でもね。」
「よくそんなこと言えるな。白宮に負けた奴が。」
「いくら何でも辛辣じゃない?一応僕は、君何だけど・・・」
「母さんたちを守れなかった奴に敬意払う必要あるのか?」
その言葉を聞いた大人の僕は、俯きため息を吐きながら言った。
「そうだね。僕は母さんたちを守れなかった。だけど君はなぜ力を求めるんだ?君の本質は、赤月酒呑なのかい?
それとも、月並蓮なのかい?その答えが僕は一番知りたい。」
「・・・・・そうだな。僕は赤月酒呑という人間の中に、月並蓮という人間の精神が入っている。ある意味特殊だ。いや特殊すぎる。そこに区切りをつける必要も、確かに必要だな。」
「ああ、だから答えてくれないか?君はどちら側なんだ?」
その言葉に、僕は数分考え込み自分の考えを言う。
「僕は僕だ。月並蓮ではない。そして赤月酒呑でもない。その考えは決して変わらないよ。」
「呆れたな。だったらどうして、母さんたちを助けようとする?意味がわからない。お前が赤月酒呑ではないのなら守る必要なんてないだろ?」
「ああ・・そうだな。確かに必要がないだけど、僕はあの人たちのおかげで生きる意味を見出せた。あの人たちのおかげで今の僕がある。あの人たちのおかげで、後悔せずに生きて来れている。だから守るんだ。必要に駆られてじゃない。僕が、自分で守りたいと思うから守るんだ。」
その言葉を聞いた大人の僕は、笑っていう。
「正解だ。見事君は僕が求めた答えを見出した。君に僕の能力の全てを渡そう。それが、最善であると信じてね。」
「正気か?いくらあんたでも、他人に力を渡すことなんてできない筈だ。百鬼夜行の能力にはそんなものは含まれていない。」
「ああ、そうだな。百鬼夜行では不可能だ。さて、今から僕たちの能力の誠の名前を教える。」
「はい?誠の名前ってどう言うことだよ!?」
「そのままの意味さ。僕たちの能力は、厳密に言うのならば百鬼夜行じゃない。そのことに僕は死の間際に気づきこうして君に教えている。さあ、覚悟しておくことだ。とてつもない情報量が頭に流れ込んでくるからね。僕たちの能力の誠の名前それは『山本五郎左衛門』」
大人の僕が言った一言で、僕の頭にはとてつもない量の知識が流れ込んでくる。
「大変だろうな。だが、それもすぐに慣れる。僕がそうだったようにね。さあ、わかっただろ?僕たちの能力の本質について。」
「ああ、わかったよ。僕は今まで技術と能力の模倣だと思っていた。だが、それは違うんだろ?」
「ああその通りさ。まあ、僕の場合は能力の模倣だけだと思っていたけれどね。僕たちの能力『山本五郎左衛門』の本質。それは、能力の模倣に留まらない。『山本五郎左衛門』の本質は能力の改良と
「理想の実現だろ?」正解だ。」
その言葉を聞いた僕は笑った。
「前よりもっと強力になったな。まあ能力反転の時点で予兆はあったが・・それよりも何で、神業解放とかまで解放されてるんだ?」
「ああそれは僕のものだな。」
「お前のかよ!」
すると、大人の僕の体が崩壊を始めた。
「おい、何でお前崩壊しているんだ?」
「この空間を作るのに条件付けたのが、君に能力を渡すことだったからね。それが終了した今、僕はもう生きていられない。」
「そう言うものか。なあ一つ聞いていいか?」
「何だい?」
「あんたは世界を、人を恨んでいたはずだ。なのになんで、僕を手伝う?僕に力を与える?あの化け物だったら、それこそ国を壊すことだってできるはずだ。」
その言葉を聞いた大人の僕は、少し腕を組み考えていった。
「強いて言うのなら、母さんたちが悲しむからかな?君だって知ってるだろ?子供が悪いことをした場合、母さんたちはすごく怒るんだそして、母さんたちの性格からしてあの怪物に必ず戦いを挑み、そして負ける。そこまでが、僕の予測ではセットだった。なあ、もしもの世界の僕頼んでもいいか?」
「なんだ?」
「オーディンのクソ野郎どもを、必ず倒してくれ。」
「任せろ。」
その言葉を聞いた僕は即答する。すると大人の僕は、満ち足りたような表情で粒子状になっていく。
「ああ、よかった!どうか願うことなら、君のこれからの未来に幸があらんことを。ああ、もう数分ほどしたら、元の肉体に戻るから安心しておいてくれ。それと外の方は心配ないよ。君が連れていた化け物が、今あいつの相手をしているから。それじゃあ、頑張ってくれ!」
そう言って大人の僕は、消滅した。
「はあ、何から何まで僕らしいや。しっかしまあ、使うことになったかできることならなってほしくなかった、予想だったんだけどなー頑張れよ?蓮もう数分したら、僕もそっちに戻れるからな。」
酒呑強化イベントでした!(正直言って、ジャバウォックに関してはあれこれ大丈夫か?て思うくらいにはとんでも性能していますから・・・まあジャバウォックの戦闘描写見れるの、後二話ぐらい後なんですけどね(笑))
さて、お次は蓮の視点です。
(ちなみに酒呑の前世と蓮の名前が一緒なのは、設定忘れていたからです。はい、すみません)
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