第五十三話
「ああ、ようやくつきました。」
ユウを捕まえようとした騎士達を率いた女が、坑道の入り口に歩いてきた。
「如何やってきた?あの少年や街に何をした!」
「別に、何もしていませんよ。ただ、火を放ったりしただけですがね。」
「ふざけるな!なんでお前は、なんでお前らは半妖というだけで人を殺そうとする!」
そういうと、女は声をあげて笑った
「何がそんなにおかしい!」
「いやはや失礼。獣如きに人と表現することすらも烏滸がましいというのに、まさか我々に立ち塞がるものがいるとは全く持って傑作だ!」
突如として、目前にいた聖女と言われた女は豹変した。そう、まるで人格が変わったかのように。
(如何なっている?これじゃあ明らかに変人いや、狂人の類だ。それどころか二重人格持ちかよ。)
「いやはやしかし、貴様邪魔だな。」
その瞬間俺は壁にぶつかっていた。
(なんだ?何が起きた!意味がわからねえ。正直言って理解することができねえ。長いこと生きてきて、色々なことは知っているがこんな奴のことはわからない!)
「おや、まだ息があるのか。では、おとなしく死ぬといい!これこそが神の天啓!人には到達出来ぬ位階よ!」
その瞬間、俺の頭上にたくさんの大岩が出現した。
「さあ、これでチェックメイトだ。愚かな男だ。半妖を庇ったことを後悔しながら、息絶えるといい。」
『クイッ』女は、上に掲げた手のひらを下げた。そのとき、頭上にあった岩が俺の頭に降り注ぐ。
はずだった。
「誰かのためにある人の言葉のなんと美しきことか。彼らのことを獣などと叫び抜くことができるというのならば、貴様らは一体なんだ?餓鬼か何かか?だが、それはもはや如何でもいいこと。かつて貴様ら教会が迫害された所以それは、貴様らが他者を尊重できず貶めることしかできなかったことに起因する。復讐は望むまい。だが、僕がこれからなすのはただの。憂さ晴らしにすぎない。」
「貴様、何をした?そしてクラウシアはどこに行っているのだ?」
「とうの昔に切り捨てた。そして、随分と愚かしいな。いきていたこと。その程度の失態で、随分と気分が悪くなったようだ。口調が変わっているぞ。聖女アリスいや、枢機卿グロッサリア!」
その瞬間、女の顔が大きく歪む。
「なぜ、なぜ知っている!その名を知っているはずがない!」
「いいや、これは真実だ。そう永遠に変わることがない真実に過ぎない。さて、断罪の時間だ。おとなしく死ぬといい。」
そう言って、少年は剣を構えた。




