別視点:蓮
『なんだこいつは』それが俺が酒呑と出会った時に最初に思ったことだった。
まあ当然だろう。俺と一、二歳くらいしか変わらないであろう男が何をとち狂ったか牢屋の中にいた何もできない子供に向かって自分の従者になれとか言ってそして生きる意味なんてものはないとか言ったら意味や理由なんてものは後から生まれてくるものだとか言ってくるし。
(でも、面白い人物であるということは変わらないんだよな。)
酒呑が話た『美波』という人物の話はとても興味深かった。誰かのために12年を捧げた少女の終幕それはとても感慨深いものだった。
(彼女のように、誰かのために生きることはできるのだろうか。それができたとしたら、一体)
どれだけ悲しむのだろうか、どれだけ怒るのだろうか、どれだけ苦しむのだろうかそして、どれだけ嬉しいのだろうか。
それは俺には決してわからないことだろうな。なにせ俺は、俺は、
(誰かを守ることから、真実から最も離れた人間なのだから。)
目を閉じれば、いつでも思い出せる。俺のせいで死んでしまった父さん母さんの最後の表情が。
あの時父さん達は何を言おうとしたのだろうか。
「ねえ父さん、いつになったら鉱山町へつくの?」
あの時俺は父さん達と一緒に鉱山町へ向かう馬車に向かっていた。
「ふむ。後数日といった所だね。それほどまでに楽しみなのかい蓮?」
「あらあら、お父さんも意地悪ねぇ。当然でしょ蓮にとっては初めての町なんだからね。友達ができるといいわね。
キャー!」
その瞬間、突如として馬車が揺れた。
「何!何が起きたの!?」
「落ち着け!いいか、蓮決して出てくるんじゃないよ。ここにいなさい。」
そうして父達は、外に出て行ってしまった。
「どういうつもりですか!?なぜ私たちを!私たちには何も持っていないというのに!」
「うるせえ!」
「グワァ!」
「あなた!」
そうして、外が静かになった後馬車の扉が開いた。そして、その瞬間俺の目に入ったのは血まみれになった両親の姿だった。
「どうして!どうしてこんなひどいことを!いくらなんでも酷すぎるよ!」
「すまないなれん、お前をおいていく父さん達を許してくれ。」
「私たちはずっとずっと・・・・」
そう言って、父さん達は静かに息を引き取った。
「残念だったな。恨むんなら神様を恨みな。」
そうして、僕は山賊達に攫われた。そして、そこでの日々はまさに地獄のような日々だった。僕は一際端正な顔達をしていたからか、売られる事がなかったが他の捕まっている人々はどこかに売られたりしていった。そして一番苦しかったのは父さん達を殺した山賊達を常に見ていなければいけないことだった。それはとても辛い日々だった。
(今思い出しても不愉快だな。力もない自分自身も。)
そう思いながら、また一つ夜が明けていった。




