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第二十九話

「これは・・沈丁花?随分と珍しいわね。しかも季節外れもいいところだよ。何せ今、秋だし。」

そう、僕が渡した沈丁花が咲き誇るのは本来ならば春。二つほど季節を過ぎている。だが僕がこれを渡したのには理由がある。

(美波は自分の能力の本質。正確に言えば極地を誤解していた。そこを正しく見つめ直すことができさえすれば、白狐には決して負けない・・筈だ。だがそこに至ると言う確証はない。だからこそ、こうして一つのヒントを渡したけど・・

理解できるかは彼女次第最悪の場合としては・・・・)

彼女はボクがわたした沈丁花を不思議そうに見つめながら言った。

「確かにとても面白いものをありがとう。お礼として街を案内してあげたいところなんだけど、残念ながらあまり時間がなさそうだからここまで。

それと、ここをまっすぐ行けば街へと辿り着くことができるわよ。気をつけてね。」

そういうと、彼女は森の奥へ向かっていった。

『主人、手助けしなくてよかったのか?ここへきた目的はあの女だろう?』

アゴニーが不思議そうに、言う。

(確かにここへきた理由の一つが彼女への借体形成の儀を防ぐことだ。だが、いくらボクと言えども四大貴族の屋敷に忍び込むのは少々難しい。何せ入り込むには一流の武士たちを相手にする必要があるからね。だからこそ、あんな回りくどい方法を使った訳だけど場合によっては、ここで彼女を殺すという手もあったけどここは信条よりも信念を優先するべきだと思ったからね。

さて、もう一つの目的である『鍛治士《《ドワーフ》》』の元へいくとしよう。)

そうして、ぼくは街へ向かって歩き出した。





圧巻その一言に尽きる光景だった。ボクが青玉家の領地についてまず目にしたものそれはとても美しい水上都市であった。

『なあ主人なぜこいつらは、湖の上にまちをつくっているんだ?』

アゴニーが不思議がる当然だろう。彼女には戦争などの知識はない。

(湖の上に作ることで、攻められにくくしているんだ基本今の時代では敵となる妖には空を飛べる天狗などの妖は基本緑翠家の方に行っているからね。

だから貿易などもしやすいんだ。それに青玉家などの三家は『赤月家《僕ら》』と違ってそれら三つの色に対応した能力が多い。だから湖に作ったんだろうね。)

そう内心でアゴニート喋りながら目的地へと向かう。

今ボクが向かっているのは、『火男の家』という場所でそこには特別な装備や武器などを作ることができるおとなしい少女がいるからスカウトしにきたんだ。

その瞬間、ボクの目の前に緑色の髪の毛をしたボクと同じくらいの歳の少年が横から吹っ飛んできて近くの家の壁にぶつかる。

彼が吹っ飛んできた方向を見ると、「なんだ!見せ物じゃねえぞ!」という銀髪に火に焼けた肌というゲームでよく見た少女が目に入る。

(本編が開始する数年ほど前に性格が劇的に変化したとは聞いていたけど、本編からかなり性格変わってるなあ)

その少女こそが、ボクがスカウトするために来た凄腕の鍛治士『鋼野宮 ホムラ』主人公たちのお助け役であった。


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