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第二十八話

改めて本当に驚いたな。まさか自分がゲームで見ていた、青玉美波が今ここにいる。まあ正確に言うと、僕が知っている彼女の中身は青玉白狐であったけれど。

彼女は、本来天真爛漫で優しく領民からも慕われている素晴らしい次期当主候補だったけれど、ある日を境にとても狡猾で計算高いまるで狐のような人物になったとある使用人の日記に綴られていたけれど本当のようだな。

僕の目の前にいる少女には、ゲーム中にあった狡猾な人物の影は一切なかった。

「ねえねえ、君は一体どこからきたの?赤月家?緑翠家?雷聖家?それとも都から?」

まさに純真その一言が似合う少女であった。

「赤月家の領地からですよ。それにしても、青玉毛の次期当主候補様にご案内していただけるとは。これだけでも、旅をしてきた価値があったと言うものです。」

そう、彼女は次期当主候補なのだ。本来ならば当主交代は当主が老いたりして祭事ができなくなった場合のみ行われるのが慣例だが、彼女にはそのようなことは意味をなさなかった。なぜなら彼女の能力があまりに強すぎるからだ。

彼女の能力は『氷の帝国アイスハート』使い方によっては氷河期を起こすことすら可能となる、雪女などの氷雪系統の能力を持った妖や『ロキとアングルボザの長男フェンリル』などのような神話の獣などと比べても勝利する可能性すら持った能力だ。(まあそれが原因で借体形成の儀にかけられたと言うのだから皮肉なものだ。)

「美波様は何故このような場所に、来られたのですか?」

僕が、世間話にここにいる理由を聞くと彼女は先ほどまでの笑顔とは異なり、深刻そうな雰囲気でいった。

「強くなるためだよ。そう、強くあの女に負けないくらいに強くなるために。」

なるほど。どうやら彼女は自らの運命を知っているいや当主交代の儀と言うものがどういったものかを知っていると言えばいいのだろう。

青玉白狐は元々青玉家3代目当主だった。だが、不老を求め元の体を捨て借体形成の儀を行う為に子孫を犠牲にしようと言うのだから全くもって愚かとしか言いようがないな。

「強くなるためですか、それは確かに理解できますよ。何せ僕にも守りたいと思えるものが存在していますから。だけど、焦ることそれは良くないと思いますよ。急げば急ぐほど、自らの力の本質を見極めることができずに物事の表面だけを見てしまうそういった方の方がこの世界には多いですから。」

僕は、当たり障りのない言葉を言うと彼女は感心したように溜息をつきいった。

「物事の表面だけを見てしまう。か、確かにあなたの言う通りかもしれないね。だけど私には時間がないの。提案してくれてありがとうだけどごめんね。」

やっぱりそうか、僕が知っている彼女はこのようなことであきらめるような性格はしていない。

(母さんに一応頼んでおいてよかったな。)

「そうですか、しからば平民の言葉にお付き合いしてくださったお礼にこちらをどうぞ。」

そうして僕が差し出したのは、氷でできた沈丁花であった。


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