第二十四話
二人が繰り出した技はほぼ同時に炸裂した。『三つ重ね・殺戮者』の方が先んじて酒呑の目前までせまらんとしただがその刃は酒呑に当たることなく左の森へと直進していった。
酒呑は、やまびこの能力を使用して空気中の大気圧のベクトルを変えたのだ。
端的にいうのならば、大気圧が向く方向を変えて『三つ重ね・殺戮者』に左方向から1㎡あたり10.13トンほどの重さをかけたのだ。
だが、無防備な大嶽丸を酒呑が放った『羅生門・抜刀紅一閃』が傷つけることはなかった。酒呑が放った技は先ほども言った通り浄火の力すなわち焼かれた相手の恩讐を焼き尽くし輪廻の輪へとかえす『慈悲』の刃であったのだ。
そして、焼かれた大嶽丸は走馬灯のように自らの人生を振り返る。
(ああ、暖かい。思い返せば、変わる機会は二つあった。あいつと出会った時と、我が子孫に憑依した時。思い返せば恵まれた生であったのかも知れない感謝もしない礼もしないだが、覚えておくぞ人間。人もまだ捨てたものではないと気づかせてくれた男がいたことを)
そうして、大嶽丸は安らかに冥府へと送られたのであった。
その瞬間酒呑もどっと疲れが出た。
(ああ、本当に疲れたこんなに疲れたのは茨木童子と戦った時以来だな。いやそれよりもっとひどいかも知れない。あ、ダメだ。だんだん意識が薄れて・・・)
その瞬間、酒呑は倒れ伏して眠り始めた。
そして、立烏帽子も眠りだした。
その光景を見ていて、少し悲しげにするものがいた。
アゴニーである。
『毎度思うが、眠ることができない我のことを考えてもらいたいものだな。
あれ?待ってこれ我、主人が起きるまでひとりぼっちってこと!? そんなの嫌だ〜!』
彼女は普段から酒呑と一緒にいるからか、寂しがりやをこじらせていたのだ。
起きた瞬間、酒呑が目に映ったのは美味しそうな朝食であった。
「あ!起きたんだね。ちょっと待っていてね。今卵焼き作るから。」
それに気づいた割烹着を着た、立烏帽子が慌てた様子でとどめておく。
「それにしても、本当にありがとう。君にあの人もとても感謝していたよ。私からしたら人を傷つける原因になった人だけど、それでも生まれた頃から一緒にいたからいなくなっちゃうと少し悲しく思うこともあるな。」
そう立烏帽子は食器を並べながら、言葉を発した。
「立烏帽子、君の家計の真実を知りたくないかい?」
そう酒呑は真剣そうな表情で、言葉を発した。
それを聞いた立烏帽子は不思議そうな表情で酒呑を見たが、酒呑の真剣な表情を見て、真面目な顔になって「聞かせて」と言った。
「本来であれば、この世界では半妖などの亜人種と人間たちのような純正種が仲良く暮らしていたんだ。ほんの2000年前まではね。だけど2000年前にあった、
元々この世界を納めていたティアマトと十一人の子供たちとオリュンポスの神々と後からこの世界に来た『別天神』、『オーディン』らの戦争においてティアマトたちが敗北したことによりこの世界は差別主義者に収められることになった。そして彼らの影響で、人間たち純正種にも影響が出てね。
彼らは君たちのような亜人種を忌避するようになった。そうして今があるんだ。
だから、立烏帽子君も力を貸してくれないかい?あのクソッタレな神々を殺す手伝いをして欲しいんだ。」
それを聞いた立烏帽子は何かを決意するような目で僕を見て、
「うん、いいよ。君にはとても大きな音があるそれに私だってあんなのに負けるわけにはいかないからね。だから私は君に忠誠を誓うよ」
その瞬間、酒呑の脳裏に一つの考えが湧く。
(あれ?これなんか選択肢間違えたかなあなんだか、立烏帽子の目のハイライトが消えているんだけど・・・)
酒呑は気づいていなかった。酒呑が命懸けで助けたことで、立烏帽子の主点への好感度は例えるのならば限界突破していると言うことに。
「それじゃあまずは、世界征服もしてみようか。そうすれば封印されてる神々も見つかるだろうし。だからそのためには人材を集めるのが優先だね。これから頑張ろう。」
酒呑は、一つ新たな目標を立てた。




