第二十三話
(最悪だ!これだから、慣れないことなんてするもんじゃないな。)
僕は、完全に人格が変わり切っている立烏帽子の方を見た。
今から3年後彼女は山を降り、都にいる人間達を鏖殺していく。それを止めるためにこの場に来たんだけど・・・
(彼女にすっかり絆されているな。あまりにも、刃を向けるには不向きがすぎる。)
だが僕も一人の人間のようで、たとえここで殺さなくては沢山の人が死ぬ訳だが殺したくないと思う自分もいる。
するとその瞬間、立烏帽子いやこの場においては大嶽丸と言ったほうがいいだろう《《あれ》》は完全に優しく人懐っこい彼女とは別物だ。
大嶽丸が動いた
「ああ?また抵抗するのかよいつもいつも御苦労なこった。それで人が怯えて殺されかけるっていうのが世の常なのによお。」
その言葉を聞いた瞬間、僕の脇腹に衝撃が走る。
「ガハッ」
(嘘だろおい、こいつ明らかに茨木童子よりも早くて強い!しかも・・)
僕は大嶽丸のそばに浮遊している三本の剣に目をみはる。
(三明の剣まであんのかよ!こいつ明らかに、茨木童子みたく正面から戦ってみたところで負ける!)
三明の剣それは酒呑がいた世界の原典によると、第六天魔王が配下の鬼に与えたとされる一振りで1000人二振りで二千人の首をたつとされる宝剣。
だがこの世界において、三明の剣とは大嶽丸が作り出すとされる一本一本が特殊な能力を持つとされる神器。例えるのならば、あれ一本一本が封印されていない状態のアゴニーと同程度の性能を持ったイカれた武器である。
(『平安宴歌』において彼女が裏ボスを務めたのもあれがあるというのが一つ目の理由。そしてその能力は・・)
その瞬間、酒呑の目の前に突如として狼が現れる!だが酒呑は間一髪でその狼の突撃を避ける。だが地面に足をつけたその時酒呑の足が岩でできた棘で突き刺される。
(痛い!やっぱり使ってきたか!《《顕明連》》の能力物質創造!)
大嶽丸がいま行使した能力は顕明連が能力物質創造その能力は短時間であれば、意思を持った石像の創造など使い方は多岐にわたる。
「どうした?防戦一方じゃねえか。もっと足掻いて見せろよじゃねえと、死ぬぞ?」
その瞬間、大嶽丸が七十二に分裂した。
(最悪だ!まさか大嶽丸としての能力も既に使えるようになっているなんて!)
大嶽丸の能力、それはかつて大嶽丸が改心し72の犬となったことに関係する、端的にいうとするのならば大嶽丸の能力それは、
『力や能力などはそのままに、七十二体の分身を作り出す』というガタキリバも真っ青なくらいにぶっ飛んでいる。
(正直いうのならばあれ使わせる前に倒し切りたかった!)
だが、酒呑はすぐさま考えを置き換える。
(正直言って、立烏帽子を傷つけずに大嶽丸を殺す事それは可能と言えば可能だ。だがあれは本当に奥の手みたいなものだ本当に使っていいのか?あれを使えば最悪の場合、《《二人の魂を焼き尽くしてしまう》》そうなると絶対に後悔するだろう。)
その瞬間、大嶽丸がうめきだすそして言葉を発する。
「お願い、殺して頂戴。今まで沢山の人を傷つけた私じゃないって嘘を吐きながら自分の罪を有耶無耶にし続けた自分は悪くないって否定し続けた。そんな毎日はもう嫌なの。沢山の人に怖がられ沢山の人を傷つけるそんな毎日はもう嫌なの!お願い、どうか私を殺して。」
その瞬間、酒呑は自分の先程までの考えを後悔した。なぜなら彼女に哀れみを与える事それは自我が乗っ取られながらもずっと人を殺さなかった彼女の覚悟に対する最大の侮辱であり人として、彼女の短い今日だけの関わりであろうともこの生の中で初めてできた《《友》》に対する最大の無礼であったからである。
故に酒呑は、自らにとっての最大限の力を持って彼女の覚悟に報いると決意を固める。
今ここに、《《嵐を討った雷》》が甦らんとしていた!
(僕はバカだ!彼女の覚悟がどれだけすごいのかわかっていたはずだろう!自我が薄れていくことがどれだけ怖かっただろうどれだけ悲しんだだろうその覚悟に報いなければ僕は一生後悔する!)
「さあ、大嶽丸覚悟を決めたよ。僕も僕の友に対する最大限の敬意を持って僕が持てる最高の技を持って君を討つ!」
その瞬間、酒呑はアゴニーを地面に突き刺す。
「能力発動・派生『空間模倣』『雷霆燻りし天が山脈』」
その瞬間、周囲の光景が変化する。
森の中から草木も一本もない荒野へとそして雲一つない雷轟く碧天の空へと。
能力発動・派生『空間模倣』それは酒呑がこの世界から生まれ落ちた時から構想していた空間を模倣するある意味酒呑の『百鬼夜行』の『能力、技術を模倣する』という能力の極地とも言える業であり通常の酒呑であるのならば、まず思いつくことのない力技
本来、妖術と結界術を極めた者のみが行うことができるその二つを組み合わせた奥義とも言える技『固有空間』それは本来自らが法を定めた空間にて相手を追い詰める技
本来酒呑はまだ結界術を使えないだが酒呑は、空気中に漂う妖力を吸収できる。そして、空間を操ることができる『神権』たるアゴニーを結界として使用する事。
そのことによって力技だが『固有空間』を作り出すことに成功したのである。
その固有空間が名は『無銘』だが、その法は存在しない。
酒呑は自らの『固有空間』に一切の法を定めなかった。その代わりに、酒呑は自らの『固有空間』に自らが模倣した『能力と歴史』を組み込む『空き容量』のようなものを確保したのである。
そして今回酒呑が組み込んだのは茨木童子の能力『雷神』本来であれば、
雷を降らせるようなことは練度が低い酒呑には不可能である。だが酒呑は自らの固有空間に組み込むことによって《《雷を降らせることを可能とした》》
そのことによって、本体以外の大嶽丸に的確に雷を降らせた。それにより、大嶽丸の分身体は数を減らしていった。
そして酒呑の固有空間はそれだけにとどまらない。
酒呑が結界として使用したのは、酒呑の記憶を覗き見ることができるアゴニー。
酒呑は多対一が特別苦手である。なぜならば、主点の能力は基本的にアゴニーに纏わせて戦ったり自らに纏わせたりなど一対一の白兵戦がメインとなる戦術を元にしている。
だが、酒呑は歴史を組み込むことを可能にしたことにより固有空間にその土地にあったものたちを《《生み出すこと》》を可能としたのである。
その瞬間、大嶽丸たちの前に一人の神話の獣が出現した。
それはかつて、『ギリシャの主神』に一度勝利したもの
ガイアの最高傑作と呼ばれた怪物名を『テュフォン』今ここに神話の怪物が降誕した
(なんとか、勝利条件は整った。だが問題は時間だな。)
そう、酒呑が固有空間これまでを使わなかった理由それは固有空間は外の世界から隔絶されている。よって、空気中から妖力を吸収する方法は使えない。
(だが、デメリットよりもメリットの方が勝つ。このままいけば勝てるが・・)
その瞬間、テュフォンが真っ二つに切られた。
(やっぱり使ってくるよな。大通連・小通連)
その二振りは二対一刀の剣であり神に連なるもの・人に連なるものに対する特攻を持った神器
(しょうがない、これ以上やってもジリ貧だな。)
その瞬間、酒呑は『雷霆燻りし天が山脈』を解除した。
「ああ?なんで解除した。あのままやっていれば勝っていたのによお。」
そう、大通連・小通連にはもう一つ能力がある。それは刃で切ったものの力を自らのものとする。その能力が故に教会も出てきたのだ。
「もう、終わりにしよう。立烏帽子のために僕は全力で君を焼き尽くす。
『能力封印・解除』『羅刹王・閻魔』」
その能力は、あまりにも有名で酒呑が目にしたことがなくても使えるほどの強大な力であり使い方を誤れば輪廻の輪すらも破壊しかねない強大さを兼ね備えた、
地獄に存在するとされる『炎』『氷』『鋼』『砂』『雷』『影』『精神』
『鎖』『岩』『風』それ等十の力を引き出せる力であると同時に審判の力でもある。以前酒呑が使用した『戒炎』はその力の一割すらも引き出せていない。
その本質は邪なる魂を焼き尽くす『浄火』の力
その力を今、酒呑はアゴニーに纏わせた。
「いいや、終わらない!我はまだ人間を食う人間を殺す!永遠に殺し続けるんだ!」
その言葉を聞いた酒呑は、大嶽丸を優しい目で見る。
「大嶽丸、お前だってもうわかっているんだろう。時代は変わった。今でも妖は恐怖されている。確かに《《夫を人間に殺された》》ことは哀れだと思うだが、それは1000年以上前の話だ!なぜ子孫に乗り移ってまで復讐を続ける!復讐を悪だとは言わないだが、だが!なぜ今を生きるものたちを苦しめる!なぜ今を呪わんとする!それだけは許せない。ただ人と友に生きたいと願う少女を苦しめるというのならばここで殺すただ、それだけだ!」
その瞬間、酒呑の背後に燃える日の輪が出現する。そして酒呑は詠唱をする。
『我が刃は地獄の炎。我が刃は悪を滅し善を生かす浄火の刃。三千世界見渡せど我が刃に勝るものなし!驚天動地の一振りなり。羅生門を過ぎ去らんとなせ。
』その瞬間アゴニーが赤く光る。
その時、大嶽丸も詠唱する。
『我が刃は人を恨む我が意思は人を恨む人類全て殺し尽くす我が刃は霊長の殺戮者なり』その瞬間、大嶽丸の周りに浮かんでいた大通連、小通連が顕明連に重なり合う。
『羅生門・抜刀紅一線』
『三つ重ね・殺戮者』
二つの奥義が重なり合う。
本当に疲れた!多分三千八百文字も書いたのは初めてだと思います。それでどうだったでしょうか?大通連・顕明連・小通連これ等の能力少し盛りすぎたかなって思うんですが・・(あと、テュフォンもかませになったし・・)
あと如何にかここまで走り抜けたかったてのもあるんですけど。
何気にテュフォンが今回の功労者でもあります。何せバケモンじみた能力そのままの大嶽丸大量に消しとばしましたからね。
あと、コピー系統の能力持っている人書いている人に対して毎度思っていたんですよね。なんで、土地とかコピーしないんだろってたとえんならケルトとかの神話の戦場コピーしようもんならそこにいた戦士たちとかコピーできるわけだし・・・(クーフーリンとか・・)
まあちょっとネタバレしそうなんでここまでで。




