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第十九話

来た道を酒呑が急いで走り抜ける。

(呪いが全身に回るまでに、原作では一ヶ月かかった。だが、この世界で本当にそれだけの時間がかかるというか確証は存在していない。)

そう、酒呑がプレイしていた時と今酒呑が生きている時とでは大きくストーリーが異なっているのだ。

『主人よ。』

そう酒呑が焦っていると、茨木童子との戦闘中無言であったアゴニーが酒呑に語りかけてきた。

(なんだ!今はとても急いでいるんだ。手短に頼むぞ!)

酒呑はアゴニーに向かって急かすかのような、口調で言葉を発した。

『わかっている。そもそも、我が戦闘中に話しかけなかったのは主人の記憶を読み取ることに全神経を集中させていたからだ。』

記憶を読み取る。簡単に聞こえるだろうが、それは本来不可能のようなものである。(どこぞの非常食がアイコンのオープンワールドゲームにおいて、十連を回してそれが全て星5の人権キャラだったような不可能だとするのならば読者諸兄にはわかるだろうか?)なぜならば記憶というものは千差万別。どこに、どの様な記憶があるのかと言った点においても変化し続けている。戦闘中とあらば尚更だ。だがそれを可能にしたのが、アゴニーの性能だというのだからとんでもない武器だと改めて思う

(それで、なんの様なんだ?)

酒呑は手短に済ませるために、探っていた目的を聞いた。

『主人が元いた世界には、好きなところに自由に行き来できる鏡の妖がいただろう?その能力を、解析・模倣して使える様になった。だから今からその力を、

使って主人の家へのゲートを作り出す。そこを通るといい』

それを聞いた酒呑は嬉しさのあまり、飛び跳ねる。

(本当か!?ありがとうアゴニー!)

『気にするな。とりあえず急ぐぞ』

酒呑からの礼にそっけなく返すアゴニーだがその声は少し照れていたとここに記述しておこう。

『ブゥゥン』

その瞬間、渦巻く黒い門が現れ酒呑を受け入れる。


「酒呑様はいったいいつお戻りになられるのだろうか。」

(朱音様の話によると、クダンから望むものを得ることはできた様だがいったいいつお戻りになられるのだろうか。時間が経つ毎に朱音様は、傷ついておられる。もしかしたら間に合わないことも・・)

原三郎が最悪の事態を想像した瞬間、原三郎の目前に一つの黒い渦が出現した。

「済まない!原三郎父上に土足で家に上がったことは後で謝るから今は許して母様のところへ行かせてくれ!」

その瞬間、一人の男が駆け抜ける。その姿を見た瞬間原三郎の眼に涙が浮かぶ。

(ああ、よかった!間に合ってくださいましたか酒呑様。)

その頃酒呑は急いで屋敷を駆け抜け、母が眠っている離れへとたどり着いたのであった。

そして、酒呑は寝込んでいる母の側に寄りクダンから教えられた術を詠唱する。

『おん・あ・び・ら・うん・けん・そわか 不動王生霊返し』

その瞬間、朱音の身体が光り苦しそうであった母の表情が和らいだのを確認し、酒呑も倒れこんだ。が床に頭がつくことはなかった。大蛇が受け止めたからである。

すやすやと眠る酒呑の顔を見て、大蛇は「お疲れ様」と一言だけ言葉を発して酒呑を部屋へと連れて行き寝かしつけたのであった。



その頃、ある暗い場所では・・・

「グアアアアー!」

一人の男が叫んでいた。

「痛い痛い痛い痛い痛い!」

(なんで!なんでこんな目に!私はただ《《緑翠家からの依頼》》で赤月朱音を呪っただけなのに!なんでこんな苦しい目に遭っているのだ理解できない何も理解できない、ただ無能を呪っただけただそれだけのことで呪い返しを喰らわなければならないんて!)

彼には、感情が欠如していた。彼には、罪悪感というものが存在していなかった。彼は原作において、主人公たちと戦いそして追い詰め主人公を覚醒させる役目を担う人物であった。だが、この世界での彼は大きく異なる。

不動王生霊返しは《《一般的に》》あらゆる呪いを解く効果がある術と知られているが、世間一般には知られていないもう一つの能力がある。それは、解呪された人物がかかっていた呪いを二倍にして打ち返す呪い返しの効果。その効果により、本来物語が始まるまで死なないはずの男は後3日も持たずに死ぬだろう。

だがこの変化した物語が、どの様な結末を終えるのかは誰にもわからない。



そして、酒呑が茨木童子に勝利した後アゴニーが封印されていた洞窟に一人の男が訪れていた。

「はあ!ふざけんな!なんで、《《神権》》がないんだよ!まさか、あれか?

最悪のシナリオとして考えていた、《《転生者》》が俺以外もいるっていうことか!ふざけるな。いや落ち着け《《聖》》まだ俺には、《《酒呑を倒すための》》三種の神器が残っている。あれさえ手に入れば俺は英雄だ!そのために、

あの男に、《《赤月朱音》》を呪う様に命令したんだからな!」

一人の下劣な男は、自らが立てた計画は一つまた一つと音を立てて崩れていっていることをまだ知らない。


いやはや、今日少し多く描きすぎたかなあと思わないこともないんですが、やっぱり一つの話に収めたい!って感情がありまして普段描かないくらいに書いたんですができることなら一話につき四千文字は言ったほうがいいのかなあとおもいもします。

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