別視点
酒呑が出発してから数時間後、茨木童子と戦い始めた頃赤月家の邸宅では、
原三郎が憤慨した様子で大蛇を問い詰めていた。
「当主様、《《未来視》》とはなんなのですか?」
それを聞いた、大蛇は暫し無言でため息をつきながらも言葉を発した。
「未来視とは、クダンの別称だ。酒呑は《《アレ》》を探しに行ったのであろう。」
それを聞いた原三郎が、叫び出す。
「なんですって!?まさか坊っちゃんはクダンを探しに行ったのですか!?ありえない!自殺志願者もいいところだ!当主様も、わかっておられるのでしょう!クダンが生まれる場所、そこは常に《《大妖》》がいるということを!
それに、坊っちゃんはまだ基礎の妖術すらも使えないのですよ!」
それを聞いた大蛇は、苦虫を噛み潰したような顔で言葉を発する。
「わかっている!わかっているさ!だが、私には止めることができない。」
その一言は原三郎をさらに憤慨させる。
「なぜですか!?当主様の能力を使えば止めることができるはずでしょう!」
それを聞いた大蛇は、手を強く握りしめる。
「法律だ。この国に古くからある太古の法が一つ13条の国法の一つに、クダンを求めるものを止める場合一族郎党死刑に処すという法があるのだ。」
それを聞いた、原三郎はさらに声を荒げて言葉を発する。
「なぜ!なぜそのような法をかつての朝廷は作り出したのですか!?狂っている。全くもって狂っているとしか言いようがない。死人が出る一方ではありませんかそのような法を作って仕舞えば!」
それを聞いた大蛇は、納得したような顔で言葉を発する。
「ああ、確かに狂っているとしか言いようがない。だが、人の欲望や願い愛情というものは人に大きく影響を与える。かつて、西洋の方に伝わる伝承によると、
一人の女がいたそうだ。その女は、殺された夫の仇を打つためにわざわざその男が残した遺産を使い、その頃した張本人と結婚し、10年以上時を待ち男を殺したそうだ。それほどまでに、怒りや愛という感情は人に大きな影響を与える。
朝廷はきっと、その大妖すらも殺すようなものたちでできた軍団を作りたかったのだろう。以前にも、朝廷が何か怪しい実験をしていると小耳に挟んだこともあるからな。だからこそ、その法は残されているのだろう。不愉快なことにな。」
『ウーン』
その瞬間、室内に、朱音の声が響き渡る。
「朱音!無事か?」
その瞬間、すぐさま大蛇は彼女のそばに行き背中をさする。
「ええ、なんとかね。それにしても酒呑はどこに行ったの?あの子の性格からして、ここにいないはずがないのに。」
その言葉を聞き、大蛇は全てを話す覚悟を決める。
「朱音、聞いてくれ」
数分後・・・
「なるほど、確かにそれは一大事ね。仕方ないわ。《《視てみるわね》》」
世間一般には、『赤月朱音』の能力は水を操る能力であると言われているがそれは真実とは大きく異なる。彼女が持つ能力は、『万魔の眼』その能力は千里眼と念力その二つである。
「うん、なるほど。酒呑は今茨木童子と切り合っているわね。」
それを聞いた瞬間、大蛇は激しく動揺する。
「それならそんなに落ち着いている暇はないだろう!すぐに助けに行かなくては!」
そう言って原三郎とともに動き始めようとした、大蛇を朱音が念力で止める。
「待ちなさい。戦っていると言っても酒呑が押しているわ。それに忘れたの?いかに私たちが、最上位の公家だったとしてもクダンを求める人間を止めることはできないわ。」
それを聞いた瞬間、大蛇は焦り言葉を発しようとするだが朱音にとめられる。
「落ち着きなさい、確かに酒呑が心配なのはわかるわ。私だってそうよ。できることなら今すぐ助けに行ってあげたいほどに。だけど、今ここは酒呑を信じましょう。私たちの息子を信じましょう。それが今私たちにできる最善のことよ。」
大蛇は、言葉を発しようとして止める。なぜなら、自らの愛する妻が今誰よりも傷ついているからだ。
(私が、呪いになんてかからなければあの子をあんな危険な場所に行かせる必要もなかった。私がもっと強ければ!私がもっと力を見せつけていたら!本当にごめんね酒呑。こんな不甲斐ない母親で)
朱音が、握りしめていた拳は力を込めすぎていたせいか、血がポタポタと流れていた。まるで今の彼女の心を示すかのように。
はい、どうだったでしょうか?正直言って、少し一つの話に詰め込みすぎたかなあと思わないこともないんですが、この話は一種の母の愛情をテーマとして作成させてもらいました。




