第十五話
「おん?珍しいなぁ貴族の子供が野山を駆けているなんてとても珍しい。
貴族って美味いんだろうか?是非とも食ってみたいもんだなぁ。」
山奥にて、真っ赤に染まった服を着た頭から角が生えている高さは2メートルはありそうな男が、山を駆ける酒呑を見つける。彼こそが、茨木童子。
数多くいる鬼の中でも、数千年前から生き続け朝廷から『魔王』の称号を付与された数多くいる妖の中でも最も殺人を好む猟奇的な趣味の持ち主でもある。
「面白くなってきたなぁ」
今、その悪鬼が動かんとしていた。
(時間がない。いかに酒呑が妖術などの才能に溢れているといっても、不動王生霊返しは妖術の中でもトップクラスの術!それを使うには、数時間は必要だが、このまま手をこまねいているわけにもいかない!急いで向かわな
「ほう、その剣面白いな」
考えながら走っている酒呑に、突如現れた男が殴りかかる。が、それを易々と受けるような酒呑ではない。アゴニーを間に入れなんとか男の拳を防ぐ。
「おお、やるじゃねえか!避けるのならまだしも防がれたのは玉藻前のババアとやり合った時以来だな!」
服が血に染まったように真っ赤な男、それを酒呑は知っていた。
(くそ、こんなところで茨木童子に会うなんて最悪だ!お前が戦うべきなのは主人公だろうが!)
「よそ見をする暇があるのか?」
その瞬間、まさに神速とも言えるかの如き速度で茨木童子は地面を踏み込み酒店の目前へと突入した。
「くそっ、早い!」
「それだけじゃあねえんだよなあコレが。おら、喰らえよ『電電太鼓』」
その瞬間、酒呑の体に焼きつくような痛みが走った。そして次の瞬間、酒呑は大樹まで飛ばされていた。常人ならばもうとっくに気絶していてもおかしくない激痛だが、酒呑の矜持が気絶することを許さない。
その瞬間、酒呑はやまびこの能力で空気中に足場を作りそこを強化した足で踏みつけた。
茨木童子による『電電太鼓』の衝撃それを反動として使用した踏み込みに、
やまびこの能力により極限まで振動させたアゴニーの刃を合わせたヤイバそれをもってして、酒呑は数多の武士たちが傷つけることなく倒れていった茨木童子の皮膚に傷をつけるのであった。だが、その中途半端な一撃は茨木童子の命には届くことがなかった。
「やるじゃねえか、久しぶりに血を見たぜ。自分の血をな。俺の身体に傷をつけるに至ったんだ。認めるぜてめえは強い。だからこそ、鬼の戦士として食い物ではなく、敵として葬らせてもらおうか!」
その言葉を聞いた瞬間、酒呑も全力を出すことを決意する。
「いいぜ、基本人を見下しているお前たち鬼族が、わざわざ人間を認めるなんて滅多にないことだろう?だからこそ、ぼくもお前に対しては、出し惜しみなく全力でやり合ってやろうじゃねえか『能力反転 源頼光』《《幻想槍術》》第一型」
その瞬間、酒呑が持っていたアゴニーが大きく変化し漆黒の槍へと変貌を遂げた。
「グングニル」
かつて北欧神話において、最上の槍と呼ばれた槍の技が今こうして現在へと甦らんとしていた。
ちなみに、以前も説明したでしょうがここで詳しく説明しておくと、『源頼光』の能力は端的に言えば英雄たちの能力や技を行使できるといった形です。もしかしたら本人よりも威力が高まることもあるかもしれませんがね。
まあ、その能力にとってアゴニーほど適合している能力はありませんね。あれは自由自在に変形できるし。あと、アゴニーの会話が無かったのはしゃべった瞬間酒呑が死ぬということを理解しているからですね。アゴニーは空気の読める子ですから!




