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sin僟・ザイガ  作者: HEiTO
第三章 地天激動大戰篇
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五十九ノ罪 闇の後継者③

 ――同時刻 東京 上空。


 天界から地上へと続く扉を開き舞い降りた天使――サキエルは、超速度で東京の地へと向かい落ちる。

 空を裂き、雲を裂き、大気を裂きながら地上へと向かうその白磁の身体は一際輝きを放ち、やがて漆黒の闇へと変貌する。

 胸に生えた紫闇色の輝石はサキエルが闇の天使であることを象徴するかのように妖しく光る。

 暗雲立ち込める目下の東京はこれから起こる先頭の予感を感じ震えていた。


 ――地獄。


 異様な気配を感じた亜久良は一瞬自身のsin僟であるルシイドを見やった後、モニターに視線を移す。

 地上《東京》の世界を監視する地獄のカメラには生物の姿は確認されない。

 それでも亜久良はこれから訪れる不穏な気配を感じ取り、いち早くsin僟へと乗り込んだ。


「おい!急にどうしたんだ!」


 白狐が亜久良に問いかける。


「何かイヤな予感がする!もしかしたら、サキエル(ヤツ)はすぐ傍まで来ているかもしれない!」


「だが、警報も鳴っていないし、モニターにも映っていないぞ!本当に天使が来たって言うのか!?」


「ねぇ……。あれ見て……」


 モニターに映った《《ソレ》》に、傑と亜久良を除く全員が驚愕する。

 スカイツリーの上空に現れた一つの靄――。

 黒く闇《くら》い不気味な靄は、徐々に人の象《カタチ》を成し、sin僟隊(彼ら)の前に姿を現す。

 白く美麗な陶器の様な素肌。

 全ての闇を飲み込むかのように輝く白き羽根。

 そして、胸部に怪しく輝く宝石の様な黒闇石。


 その姿を見た時、夢魔と橋姫がそれって声に出す。


「来た……!」


 丁度その時、ガコン……という音と共に、緑色の液体が流れ、それまで傷を癒やしていた傑がポッドから姿を現した。

 戦闘で傷ついた身体は、ポッドの回復機構によって修復され、所々細かい傷跡はあるものの、脳内のダメージや体の内部に受けた損傷などは完治していた。

 

「もう大丈夫なの?」


「あぁ。回復ポッド(コイツ)が開いたってことは俺の疵は完全に回復したってことだろう」


 さらに傑は続ける。


「それより、天使が来たんだろう。早く出撃するぞ!!」


 傑の号令に、sin僟隊一同は素早くそれぞれのsin僟へと乗り込む。

 一足早くsin僟(ルシイド)に乗り込んでいた亜久良は東京の地に降り立ち、これから来る、いや、既に来ているかもしれない敵に備え、ルシイドの堕天使ノ羽根《フォールン・エンジェル》を広げ索敵行動へと移る。


 ‘‘堕天使王ノ探求《ルチフェル・エアフォルシェン》’’


 堕天使が広げた美しき白羽根は超音波を繰り出しその場に居る生命体のエネルギーを感じ取り、居場所を探った。

 

 反応はあった――。


 充分に注意していた筈だった――。


 辺りを警戒し、360度辺りを見回し、それでも発見することが出来なかったから、亜久良はルシイドの索敵能力に頼り、敵であるサキエルを捉えようとしたのだ。

 しかし、敵は自分よりも遥かに上手であることを、亜久良は再認識する。

 彼の操縦するsin僟が位置する東京スカイツリーの頂上約634m付近その背後に、亜久良が探していた存在は姿を晦ましていた。

 徐々にその白き神体を露わにし、左手に持つ神槍を一突きし、不意を突かれたルシイドはそのまま地面へと激突してしまう。


 激しい衝突音が辺りに響き渡り、土煙は衝撃波と共に吹き飛ばされた。

 幸いにも予め展開していた‘‘堕天使王ノ威厳《ルチフェル・ディグニティー》’’により、自身の防御力を上げていたルシイドはサキエルの不意の一撃にも耐え、そこまでの損傷に至る事は無く再度体勢を立て直す為、低空飛行での移動を開始し、距離をとる。

 モニターには敵影とそこからの距離が表示され、影は動く気配がない。

 50m、100mと徐々に離れ、サキエルとの十分な感覚を保ちつつ亜久良はルシイドの態勢を整える為、操縦桿を動かす。

 

 態勢を立て直して尚、サキエルの影はモニターに映り、亜久良はスカイツリーの頂上に注視するが、そこにサキエルの姿は映らない。

 慎重に旋回しながら、亜久良の駆るsin僟‘‘ルシイド’’はそびえたつ634mのタワーを登り、そこに居るであろうサキエルへと近づく。

 明確な攻撃手段を持たないルシイドではあったが、機体に内蔵されているもう一つの能力‘‘堕天使王ノ咆哮(ルチフェル・ローア)’’によって相手の能力を下げることが出来れば、後発の傑達sin僟隊で勝てる可能性があるはずと亜久良は見込んでいた。


 段々とモニターに映された影に近づき、距離を縮めていく。

 その事に気づいているのか、はたまた気づいていないのか、一向に敵影《サキエル》は動こうとしない。

 そこで、亜久良は一つの可能性を考慮した。


(もしや、偽物《ダミー》ではないのか……?)


 一切の挙動も見せないその影に人形の可能性を見出し、より一層周囲に警戒を強化するが、それでも尚、亜久良はルシイドの移動を止めることはしない。

 頂上の影が偽物であろうが本物であろうが、そこに少しでも『いる』という可能性がある以上、向かう他方法は無かった。

 闇雲に‘‘堕天使王ノ咆哮’’を放ったところで実態の無い敵に当たるかどうかも分からず、無駄撃ちになる可能性が高い。

 天使との戦闘でsin僟のエネルギーを無駄にするのは極力避けたいと考えていた亜久良は確実に弱体化させるため、モニターに映る一つの影を頼りに距離を近づけていく。


 辺りに天使の影は見えない。

 ただ頂上に君臨している天使・サキエルに向かってスカイツリーを中心に螺旋状で上昇していくルシイドはもう一度、自身に‘‘堕天使王の威厳’’を発動し、不意の攻撃に備え防御力を上げる。

 モニターに映る数字は段々と感覚が狭まり、頂上が見える。


 ――100m。


 ――50m。


 ――10m。


 ようやく頂上に辿り着いた亜久良の瞳にその姿が映る。

 そこに鎮座していたのはサキエルの姿をしたモノだった。

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