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sin僟・ザイガ  作者: HEiTO
第三章 地天激動大戰篇
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三十六ノ罪 地天激動大戰⑰ 再起

 目を覚ますと、肉壁の中。


 うねうねと動くその壁に吐き気を感じながらも、彼は民衆の衆に冷静さを取り戻す。


 


(ここで僕がパニックになってしまってはここにいる人間となんも変わらない。僕はコイツらとは違う。僕は僕。周りの弱者を黙らせるためには、それに相応しい力を得るしかないんだ。)




***




『……。』




「……クッ、どうしてだ。どうして動かない!!」




「……。」




「!! 三吉!生きているのか!?返事をしてくれ!」




「……。」




「三吉!返事をしろ!」




「うるっ……さい……。もう……、死にたいんだ……。」




「そういう訳にはいかん!私のsin僟で必ずここから貴様を救い出してみせる……!」




 遠く意識が薄れていく中、亜久良の視界には白き巨影が静かに、冷淡に、神秘に此方へと歩みを進めているのが映った。




「!!」




 彼は夢を見ていた。


 忘れたはずの近く、遠い過去の記憶。


 他人から嫌われ、対等、いやそれ以上に尊敬の念を込めていた兄からも嫌われ、親からも見放された忘れた過去。




 自分は気にしていないと思いながらも実際は心のどこかで綻び始めていたのかもしれない。


 故に抗いたかった。


 見せたくなかった。


 自分よりも劣っているはずの人間が、七人の先頭に立ちその姿を見せる。


 それに、劣等という感情を持っていたことを。




 尊敬もしていた。


 化け物に諦めもせず、立ち向かうその姿に。


 周りをまとめ上げるその精神に。


 負ける自分が悔しかった。


 悲しかった。


 諦める奴が嫌いと謳っていながら、自分が諦めかけていた。




 だから立ち上がる。


 今。


 ここで、諦めたら全てが終わる。


 過去の自分を裏切ることになる。


 未来を掴めなくなる。


 それは嫌だ。




 操縦桿を握るその手は、今まで以上に力が入る。


 


 ‘‘逃げない’’


 


 ‘‘諦めない’’


 


 ‘‘今度は俺が、先頭に立つ’’




「諦めるんじゃない。」




 三吉のコックピットに亜久良の声が入る。




「私は、諦める奴が嫌いだ」




「諦めたら、すぐに楽になると思っている」




「そうじゃない。‘‘諦めた’’その事実が全てを苦しめるんだ」




「これまで積み上げてきた物を壊し、叶うはずだった夢さえも壊す。それが、諦めると言う事。諦めなければ、夢はいつしか叶うだろうし、夢が叶うと思っているからこそ、頑張れる」




「三吉貴様は、‘‘天才は人の心が分からない’’と言ったな。アレは半分は本当だ。しかし、全部が分からないわけじゃない。‘‘諦める奴の気持ち’’が分からないんだ。私は、諦めないからこそ、ここまでこれた。諦めないからこそ、自分の立場に不服と思いながらも、共に戦ってこれたんだ。私は諦めない。」




「私は、神嶌傑のその先に進む」




「だから、貴様も諦めるな。生きろ。生きて、お前をそんな目に合わせた奴らを見返して見せろ。私も同じだったから」




 その言葉に、三吉は耳を疑った。




「君がどんな思いをしてきたのか、流石にそこまでは私にはわからない。だけど、私も諦めた奴等から好き勝手言われてきたからさ。」




「嘘だ……。」




「嘘じゃない。私は、両親にも兄にも、ましてやどこぞの馬の骨とも分からん奴らに負けるわけにはいかない!一緒に頑張るぞ!!」




「うるさいよ!!自分が今までどれだけ苦しい思いをしてきたかもわからないで、好き勝手言っちゃってさ!!だったら助けてよ!救ってよ!!あの時助けてほしかったんだよ!!どうして居なかったんだよ!もっと早く会いたかったよ!本当にいい加減にしてよ!!!」




 動きを止め、神獸の攻撃に耐え続けていた三吉のsin僟は意思を取り戻し、蓄積していた衝撃を一気に開放する。


そこへ、超音波攻撃を抜け出した亜久良のルシイドが攻撃バフでサポートを掛ける。




「ついでにコイツも喰らっておけ!新技だ!」




 それは、D指数70%に到達したルシイドが使える‘‘新機能’’。




      ‘‘堕天王ノ咆哮ルチフェル・ルィチャーニエ’’




 獅子を模したその装飾が激しい雄叫びを上げ、大気を震わす。


 身構える神獸どもは、全員地上へと堕ち動きが止まった。


 同時にアスロトの衝撃波が被さり、全ての神獸は消滅した。




「終わったの……?」




「いや、まだだ。まだ天使がいる。」




 全ての敵を斃したと思われていたが、まだ一体、名も知らぬ天使がそこに立っていた。




「貴様、一体何者だ。貴様の目的は僕たちの抹殺じゃないのか?それとも、僕たちの圧倒的な強さに恐れをなしたか?」




 何も答えない天使に、亜久良は深い溜息を吐く。




「そういう訳でもないだろう。あの天使サキエルもそうだ。あまり、僕を舐めない方がいいぞ。今の僕は、あの男神嶌傑よりも強い。」




「強いって、別に君一人で何かできるわけじゃないでしょう。支援専用っぽいんだから。」




「分かっている。だから、貴様の力を貸せ。貴様のsin僟の力があれば、二機でアイツは仕留められそうだ。」




「え~、やだよ。めんどくさい。」




「いいからやるぞ。」




「はいはい。」




 亜久良は、アスロトに力ヲ与エシ粒子エンパワー・パティクルを付与する。


 そして、天使が攻撃してくることを見越し、防御姿勢をアスロトは取った。




 だが結局、天使は戦闘をすることも無く、蜃気楼のように姿を消した。


 


「やっと終わったの……?他の皆は?」




「神嶌はまだ戦闘中の様だが、何とか全員無事みたいだ。ただ、我喜屋の機体が大分やられてしまったらしい。」




「……だったら、自分の機体の能力でどうにかできないかな?」




「どういうことだ?」




「自分の機体さ、なんか回復ヒール能力が使えるみたいなんだよね」




 八瀬三吉の機体であるアスロトは、先の戦闘でルシイドと同様にD指数の値が70オーバーに達していた。

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