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襲撃と殲滅

4/22現在でブックマークを入れて頂いている方へ

グレイ→アッシェに変えました。

他数箇所変更&題名を仮題に……


 明らかに異常な人数が湧き出して来る。

 目視出来るだけで20人、それ以外にも居ると即座に仮定したレノ。


「あー、なんて言うか、そんなに集まったら分け前なんて大した金額にならんだろうに、お前等って馬鹿?」

 これで挑発に乗れば儲け物程度の軽い口調だったが効果は十二分だった。


「ああん? ナニ余裕見せてんだぁ。いい格好したいってか」

 木の棒を担いだ男が棒を振り回しながら威嚇する。もう一人ロープを持った男もその勢いに乗って交渉というよりも、命令を寄越す。

「阿保が、さっさと懐の金を渡して失せやがれや、男なんて面倒なだけだから逃がしてやろうって優しさを有り難く思えってなぁ、グヘヘ」


 非常に簡単な挑発で推察するには十二分な情報が手に入っていた。

 単純な所持金目的の線など在り得ない程の人数。恐らくレノと出逢う前の時点でティアは連中から既に目を付けられていたとレノは会話から読み取る。お金の使用については確認しているのでその線は無いからだ。攫って売る気ならば二人して攫われる筈だとレノは判断した。故に消去法で考えられるのは誘拐目的しかない。


 ――まあ、そりゃそうだ、あの服装で徘徊してりゃな。


 出逢うまでティアが無事というのが幸運だったのだ。もっと早くに誘拐する筈が、そこにレノが加わった事で万全を期す為にと人数を集めたという所だろう。こいつ等の行動は確実に組織的な判断に拠っている。


 一応はレノも自分の簡単な出自も知っているし、自分の“両親”の裏の仕事も理解していた。旧シュミット家諜報機関、正式には既に存在する筈が無い、いや、元から存在していないとされていた機関も流石に10年以上前に主家を亡くした事によって余計な事に回す手を確保は出来ていなかった。ジーク以外の戦闘要員などは別任務についている為に広い王都を全てカバーしきれない、だがこんな三流所が居ると知ったら……


 ――アハハ、暴れるなあコレは。


 この組織の壊滅までの秒読みが始まったとレノは確信した。



 ならば早いか遅いかの違いしか残されていない。恐らく遅くとも今日の夜までに壊滅するのだから。

「仕方が無いよね――」


 レノは自分のベルトの止め具を数本解いて引き抜くと同時に――


 一瞬にして相手の隙間を潜り抜けながら的確に相手の膝の皿を割っていった。

 両手に持ったベルトだったもの……

 少し太い紐のように見えるそれは内部に鋼鉄と先端に刃が仕込まれていた。

 ()()昼日中だから、手加減は忘れていない。

 だが、一瞬で死ぬのと果たして此れから彼等を待ち受ける悲劇を比べると、どちらが幸せか判断しかねるのだがソレは今のレノには関係が無かった。

 兎に角、瞬きをした瞬間に7人の膝が破壊されて、4人の足の腱が切断されていた。


 人が動けなくなる程度の攻撃ならばそう手間ではない。


「あ、ぅあああ」

 切り裂かれた痛み、そして砕かれた膝では動く事もままならない。痛みに悲鳴を上げる者、何が起きたか理解できずに大半の男達は棒立ちとなった。


 だがレノは容赦しない、敵対したら、即ち行動不能にするまで一切の手を抜かない。そう育てられている。

 既に幾度も経験している事だった。

 だから、レノは一度も立ち止まらない。


 一目では判別できない手際で魔術まで併用して次々と行動不能にしていく様は、もしも目に捉えられたならば優雅に写ったかもしれない。


 だが、鉄鞭を振るうレノの姿を視認できた者はこの場には一人を除いて居なかった。


 捨て台詞さえ吐かせず、全員を行動不能へと落としていくレノを呆然としながらも、熱い眼差しで眺めるティアは完全に恋に落ちていた。


 ティアも武器が無くてもギリギリ、いや最初はレノと二人ならば倒せるかも知れないとは考えていた。

 それが結果はどうだろうか、自分が反応すら出来ない間に、たった一人で全員を行動不能へと追い込んだのだ。


 そして何より下手な手加減もせず確実に人体を行動不可能な状態へと破壊までしている。普通の令嬢ならば恐れるのだろうが、ティアは違った。寧ろその的確な手際に羨望すら抱いた。


 ――私以上なんて生易しい腕前じゃない。


 この瞬間に恋と同時にレノを騎士にする彼女の野望もまた生まれていた。


 そして当然のように、路地裏や逃走経路を塞ごうと待ち構えていた連中はレノが相手をしている間に集合した“部隊”によって殲滅され連行されていた。


 その合図を“父親”からレノは受け取った。その子を()()に送り届けろという手話を利用した連絡と共に。

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