6つの言葉
「辛かったな。」
そう言った九条の顔も苦しそうに歪んでいた。
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《ごめんなさい。もう大丈夫》
泣き止んだ神代はノートに書いて見せた。
「泣かせてしまってすまない。」
《九条さんのせいじゃない。私の問題だから》
「......」
九条が言葉に詰まると神代がノートを見せる。
《続き、お願いしてもいいかな?》
「あぁ、そうだな...さっきの続きだが君の体質はわかったな。だが一つだけ俺でも分からないことがある」
「...?」
「なぜ怪異は神代が話すと寄ってくるのか。それがまだ解明できていないんだ」
うーん。っと二人で考えるが答えは出なかった。
「そこも含めて一緒に解明していきたい」
「...…」
神代は少し困ったような顔をしてノートを見せる。
《迷惑じゃない?》
その言葉に九条は驚いた顔をしたが、すぐに柔らかい笑顔になり神代の方を見た。
「迷惑なんかじゃないよ。昨日も言ったが、俺は君のために来たんだから」
その言葉を聞いて少しずつ顔が赤くなる神代は、ノートで顔を隠しながら身を屈める。
「どうした?どこか痛いところがあるのか?」
心配する九条に神代は雑に文字を書き見せる。
《九条さんのばか》
「!?俺何かしたか?どこが良くなかった?」
《そういうところ!》
真剣に自分の非を考える九条に神代が文字を書いたノートを見せる。
《それで、九条さんの家系って何?》
「俺の家系は代々怪異を払っている事は言ったな」
首を縦に振る神代。
「さっきも言ったよう、怪異にも色々な種類がいるんだ。
幽霊だったり妖怪だったり、現象だったり。
無害なのはそのままでもいいのだが、時に有害なものも出てくる。
それを祓うのが九条家一族なんだ」
《九条さんの家族はみんな怪異を祓えるの?》
「母さん以外は基本的なものは祓える。
ただ、強力な怪異だと父さんと俺にしか祓えない」
《兄弟がいるの?》
「2つ上の兄さんがいるんだ...」
そう言った九条の顔は暗くなる。
「...?」
「俺の家庭はそんなもんだ。君には兄弟はいるのか?」
《私は一人っ子》
「そうか。君は」
話そうとした九条の前にノートが向けられる。
《君じゃなくて名前がいい》
少し恥ずかしそうにノートを見せる神代を見て九条はふっと笑う。
「じゃあ、紡と呼ばせてくれないか?」
「......!!」
苗字で呼んで欲しいと思っていた神代は一気に顔が熱くなった。
「顔が赤いぞ?大丈夫か?」
神代は慌ててノートを顔の前に持っていき、顔を隠しながら文字を書く。
《大丈夫!!そろそろ帰ろう!!》
いつもより崩れた字が神代の感情を映し出していた。
帰りの支度を済ませ、二人で屋上からの階段を降りる。
3階から2階に降りる最中神代は「ナカマさん」の噂を思い出していた。
第2棟の階段の踊り場───鏡に映る真っ黒な人影。
足を止めた神代の目には噂通りの人影が、踊り場の鏡越しに写っていた。
「...!!」
数段先に降りていた九条は神代が着いてきていない事に気づき振り向いた。
鏡に映る神代と隣に映る黒い人影。
«ナカマニ...イレテ......?»
耳元で聞こえた声に驚き神代はその場で硬直する。
クラスの女子が話していた噂が脳裏をよぎるが、話せない神代はそもそも応えることすらできなかった。
«ナカマ...ニ......»
「......っ」
九条が鏡と神代の間に割って入る。
右手を鏡にそっとつけ、呪文のような言葉を唱える。
が、前回とは違い唱え終わっても消えない怪異は、口こそ見えないものの笑って見えた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!!
少しバタバタしていて、5話目を仕上げてから6話目を書くのに期間が空いており試行錯誤しながら書きました...
こんな感じでまったりなので、もしかしたら今後間に合わないこともあると思いますがよろしくお願いします!!




