4つの言葉
《私のためって、どういうこと?》
神代は少し怪しむような顔でノートを見せる。
少し考えて九条が応える。
「それはそのうち分かるから大丈夫。それよりも君は自分の心配をした方がいい」
「……」
「最近君の周りで不思議なことが起こってるだろ?そうだな……事故、とか」
「……」
「でもそれらは単なる事故じゃない、それは君が1番分かってるはずだ」
「……」
表情を暗くした神代はノートに文字を書く。
《私に関わらない方がいいよ》
文字は先程より少し小さく弱く書かれていた。
それを読んだ九条は続けて話す。
「だから俺が怪異から君を助けよう」
暗かった表情が驚きに変わる。
「さっきの怪異を消しても信用ないなら、今後は君の傍について近づく怪異を消し続けよう。
もし君が大丈夫と言っても、俺は家系のルールに従い怪異を消し続ける。」
ポカーンとした顔を見せる神代はハッと我に返り文字を書く。
《私はどうしたらいいの?》
「そうだな………君がもし危険な目にあった時、助けを呼んで欲しい」
「……?」
「助けて、と言葉にしてほしい」
声を出すことをしてこなかった神代にとって「言葉にする」ことは簡単なことではなかった。
《私が話すと怪異が寄ってくると思う》
「だろうな、君は自分のことを詳しくは知らないね」
「……」
「詳しい話は明日しよう。今日はもう帰って休もうか」
カバンを手に取り、帰ろうと立ち上がる九条に神代がノートを見せる。
《助けてくれてありがとう》
恥ずかしそうに見せる神代を見て九条も頬を赤らめる。
「こちらこそ、会えてよかったよ…」
神代がノートとペンをカバンに戻し立ち上がると、思い出したかのように九条が話す。
「きっと分からないことが沢山あるだろう。明日答えられる範囲で教えるから、聞きたいことがあればノートに書き出しておいてくれ」
うんうんと首を縦に振る神代。
「じゃあまた明日、放課後ここで話そう」
初めて言われた家族以外の「話そう」という言葉が、神代にとってはこの上なく嬉しい言葉だった。
―――――――――
学校から帰った神代を、母方の祖母が出迎える。
「あら帰ったのね〜おかえり〜」
《おばあちゃん、ただいま》
「ご飯できてるから食べちゃいなさい〜」
靴を脱ぐ神代を見て、祖母は微笑みながら話す。
「つむちゃん、今日嬉しいことでもあったのかい?」
「!?」
焦った神代はノートに書こうとしたが、祖母はそれを遮る。
「いいのよ〜また話せる時に教えてね〜」
ニコニコしながら台所に戻っていく祖母を視線で見送るが、見えなくなると一息ついた。
2階に上がり荷物を置き、1階のリビングで一人ご飯を食べる。
お風呂に入り今日の事を思い出す。
彼が助けてくれたこと。
自分の誰にも言えない秘密を知っていたこと。
助けを求めること。
神代にとっては濃い1日はもうすぐ幕を閉じる。
お風呂から上がり、2階の自室へこもる。
ノートとペンを出しゆっくりと文字を並べる。
• 怪異って何?
• 何で私はこんな体質なの?
• 九条さんの家系について
ペンを止めノートを閉じてベッドに潜る。
神代は静かな寝室で一人ゆっくりと目を閉じた。
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
前回からそこまで時間が空いてませんが投稿させていただきました!
次回は21日17時投稿させていただきます
ゆっくりと書かせていただきますので、しばらくお待ちください




