3つの言葉
《病気じゃないなら放課後屋上に来い》
神代の頭の中にループするように響く言葉。
「起立。礼!!」
バタバタと部活に向かう人達が大半の中、神代と数人のクラスメイトが教室に残っていた。
本をカバンに入れ教室を出ようとした時、クラスの女子がドアの前に立ち塞がった。
「今日さ、昼休み九条くんから何か貰ってたよね?」
「うちらにも見せてよ〜」
手のひらを出して距離を詰めてくるが、神代はカバンを握りしめて俯くことしかできなかった。
「あのさぁ、調子乗ってるよね?」
「イケメンくんに紙切れ渡されて嬉しかったんだね〜」
バカにしたような言い方で距離を詰め神代からカバンを奪う。
「……っ!!」
「どれどれ〜あ、あった!!」
「私も見たい〜」
「返して」
―――――――――
屋上に設置されたベンチに座る九条は、神代が来るのを待っていた。
ガチャン
無機質にドアノブが鳴り神代が覗き込んでいるが、何かが異様だった。
泣きそうな顔の神代と、後ろに黒いモヤのようなものが見える。
黒いモヤの中に白いお面のような顔が浮かんでいた。
«欲しいな……欲しい…それ…ちょ、…ちょうだい»
掠れた声のそれは神代の首に手のようなものを巻きつけながら喋っている。
九条は現状を確認すると、すぐに神代の元に走り左手でそれに触れる。
「────。」
何かを口にすると黒いモヤのそれは、煙のように悲鳴のようなものをあげて消えていった。
「…………」
緊張の糸が解けたようにその場にへたり込んだ神代の手は小刻みに震え、大きな目からポロポロと涙が溢れだしていた。
「気づくのが遅くなってすまない…」
「…………」
「大丈夫か?立てるか?」
九条が右手を差し出すが、それを見た神代は少し考えてから自分で立ち上がった。
「……とりあえずベンチにでも座って話そうか」
ふたりで屋上のベンチに座り、神代の涙が止まると九条は話し始めた。
「さっきのは怪異とでも言っておこう。やつらは話が通じないから俺が強制的に消滅させたから安心して欲しい」
「……」
九条を見ていた神代は視線を落とし、何かに気づいたように自分のカバンに手を入れるとノートとペンを出して書き始めた。
《あなたは、なにもの?》
九条がその文字を読むとぽつりと応える。
「俺は怪異を祓う家系に生まれた……ただの男だよ」
少し悲しそうに、でも優しく微笑む九条。
《何で私の病気のこと。》
「長谷川から病気の事は聞いたんだ。勝手にごめん。
でも君が病気じゃなくて話せることも知ってる。」
驚いた顔を一瞬見せる神代だが、すぐに表情は辛そうに戻る。
「君は、話した事が現実になるんだろ?」
「……!」
神代はノートに興奮したように書きはじめる。
《何でそこまで知ってるの》
「俺は……」
言葉に詰まった九条は少し間を考えてから目を見て話す。
「俺は、君のためにここに来たんだ。」
最後まで読んでくださりありがとうございます!!
週1ペースでは絶対に出したいと思うので、お待ちいただけたらと思います
毎度初心者な文ですがここまで読んでくださり、とっても嬉しいです!!




