2つの言葉
昼食後の昼休み、学校案内ということで長谷川と九条は屋上に来ていた。
「ここが屋上な!授業中は閉めてるみたいで、忘れ物したら取りにいけないから気をつけろよ〜」
「屋上解放してる高校って珍しいな」
「だろ〜?人気はないけどな」
誰もいない屋上のベンチに長谷川が座る。
その隣に九条も座る。
「あのさ、」
「ん?」
九条は通路を挟んで隣に座っていた「クチナシ」と呼ばれていた少女を思い出す。
「俺の左隣の子って、なにかあったりする?」
「クチナ…神代さんのことか?」
「神代…」
「そう、神代 紡」
クチナシと呼ばれていた少女の名前は神代紡。
それは九条の記憶と結びつく遠い記憶の名前。
「神代さんは関わらない方がいいよー」
「どうしてだ?」
「彼女呪われてるから。今日も彼女の近所で事故あったんだって。今月でー5回目、だっけ?」
真面目に話を聞く九条を見て長谷川は少し考えたあとにんまりして聞く。
「さては九条、神代が気になるんだな〜?」
「あぁ、気になるからもう少し情報が欲しい」
「!??」
思いもよらない回答に驚く長谷川だったが、九条の真剣な眼差しはおふざけや恋愛ではないものを感じ取り、真面目な顔に戻す。
「本当はこんな噂、本人の前じゃ絶対言えないけど……神代さんの声は誰も聞いたことがないって噂らしいぜ」
「声を聞いたことがない?」
「そうそう、同中のやつもないんだって!病気とかなんとか」
「病気……」
考える素振りを見せる九条。
「……。」
「そんな気になるなら本人に聞いてみればいいんじゃね?」
「そうだな。長谷川、ありがとう」
悩み事が晴れたかのような顔をして屋上から出ていく九条を長谷川は座ったまま見送った。
そしてそのまま一人屋上で空を仰ぐ。
「あいつ変わってんなぁ」
―――――――――
神代は教室の自分の席で一人小説を読んでいた。
「あ!九条くんだ、やっぱイケメン〜!!」
教室に帰ってきた九条に向かって、女子の猫なで声が出迎える。
神代の隣の席で何か書いたと思えばビリッと紙を破る音がした。
本を読んでいた神代の視界にルーズリーフの切れ端が映る。
視界をあげると九条が紙切れを差し出していた。
「………」
「……。」
無言のまま神代がそれを受け取り、文字を見る
《病気じゃないなら放課後屋上に来い》
紙切れを握ったまま、ゆっくりと九条へ視線を向ける。
藍色の瞳には、目を丸くした神代の姿が映っていた。
今回も読んでくださりありがとうございます!!
次回は8月13日17時に投稿予定です
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