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幸せな10年でしたが、なかったことに致します。〜だから私に関わらないでください〜【第二章スタート】  作者: 織子
第二章

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第23話ー嫉妬と再会


一向に戻ってこない婚約者を探しに、会場へ降りて来た。赤銅色の頭をすぐに見つけたものの、声をかけずにいる。御婦人達に囲まれているからだ。中には若い令嬢もいる。


回帰前にはなかったことだが、ノクティスが爵位を継承する少し前に、ヴァルグレイス大公領の鉱山から良質のルビーが発見された。もともとサファイアはよく産出されていたが、ルビーは希少だった。

それから大公領で力を入れ始めた宝飾事業を、ノクティスがそのまま引き継いだのだ。

もともとの大公家が行っていた事業と、新たな宝飾事業でノクティスは多忙だった。


夫人達や令嬢達の中には、宝飾事業について聞きたい人もいるかもしれない。大変そうなノクティスを知っていたので、邪魔はしたくなかった。


しかし嫉妬をするなと言うのも無理なことなので、ロワナはくるりと向きを変え、ノクティスの反対側へ向かった。


ヒールの音を響かせ、まっすぐバルコニーに向かう。途中でグラスを一つ取った。


バルコニーに誰もいないか確認し、扉を開いて外へ出た。涼しい風がふわりと頬をなでる。ロワナはそのまま進み、バルコニーの柵に手を置くとグラスをグイッと飲み干した。

「うっ?」

お酒だ。喉が少しひりつく。

(気付かなかったわ。まあいいか。成人してるし)


「まったく〜!ノクスめ!にやにやしちゃって」

にやにやはしてなかったけど。無表情のままだったけど。少しくらい悪態をつきたくもなる。

悪態をついたからか、お酒の力か、少し気分が良くなってきた。


(ふむ。そうよね。めでたい日だもの。少しくらい飲んでも良いかも)

回帰前、成人を迎えてから一時期浴びる様に呑んでいた時期がある。アデラジャでの苦痛の日々に、何度お酒を頼ったことだろう。回帰してからはあまり口にしていなかった。


ロワナは近くにいた侍従を手招きし、グラスを持ってくるように頼んだ。



◇◇


「姉上、ここにいらしたのですか」

バルコニーに入ってくるなり、シオンの顔色が曇る。ふわふわした頭でロワナはその理由を考えようとしたが、考えは纏まらない。


「シオン〜!いつアカデミーから戻ったの?」

「つい先ほど。姉上、お酒を飲まれたのですか?」

シオンは眉を顰める。久しぶりに会うのだが、シオンはロワナと話す時に眉間の皺がいつもあるなぁとぼんやり考える。


「少しよ。少し。2杯くらいしか飲んでいないわ」

「へえ。2杯ですか」

腕を組み、ロワナのテーブルの上を睨む。おや?空のグラスが5杯はある。いつの間に?


「いいのよ。姉様はもう成人してるんだから!それに姉様はこのくらいでは酔いません!」

小言を言われる気配を感じたので、ロワナな先手を打った。


「――はぁ、おい何をしている。水を持ってこい。それと大公も呼んで来てくれ」

「えっ!駄目よ。ノクスは呼ばないで!怒られちゃうじゃない」


シオンは呆れている。

「姉様、怒られる事をしている自覚はあるのですね

。全く。兄様に護衛をぴったりと張り付けておくように言わなければ」

オーガストにまで言われてしまっては、もうお酒が飲めなくなるのでは。ロワナはシオンを口止めしようとしたが、シオンはシオンで静かに怒っている。昔のようにロワナに言いくるめられはしないだろう。


家族と婚約者からの愛情に、窮屈さを感じる。贅沢な悩みだ。


「あら?」

ロワナがバルコニーから逃げようかと考えていると、隣のバルコニーに見知った顔が見えた。懐かしい顔だ。藍色の髪に、猫の様なツリ目の栗色の瞳。

「ネルサン?」

お酒で回らない頭でも、忘れることはなかった。


回帰前、アデラジャの王妃時代。交流のあったロワナの友人、ネルサン・カスティヤ。カスティヤ王国の第二王子だ。


ロワナは久しぶりに会う友人に、笑顔で駆け寄った。

「えっ!姉上?!」

シオンは慌てた。

ロワナは柵に手をかけ、軽々と柵を飛び越えた。ドレスのままで。そして隣のバルコニーにひらりと降りた。


「――ッ!?」

隣のバルコニーからいきなり人が移ってきたので、風を浴びていたネルサンは警戒して飛び退いた。

ロワナは警戒している栗色の瞳を見て、気持ちが沈む。

「そっか。······違うのね。もう一緒に弓は引けないんだわ···」

ここにいるのは、ロワナの友人だったネルサン・カスティヤではない。

沈んだ気持ちのままに、その場にペタリと座りこんだ。

「姉様?!」

慌てて飛び移ったシオンがロワナに駆け寄る。身体を支えると、ロワナはすぅすぅと寝息を立てていた。





読んでいただきありがとうございます。

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