4回表(2)
「そらあんたらから見たら所詮女子やなて思うかもしれへんけど、それでも世界一やで? そして選手もちゃんとこうやってスカウトしてる。外井君はうちのシニア知ってる?」
「東荻ブルースやろ? さすがに世界一のチームやから、シニアでも知ってるわ」
流石にボーイズの選手でも知ってるわな。うちはシニアでも世界一になったし、年齢制限のない女子硬式野球でも世界一になった。後者は選手兼監督。優勝チームの出場選手としては史上最年少。優勝チーム以外の選手の中にはにはうちより年下もひとりいたけどな。監督としては史上最年少監督で優勝した。もちろん野球やからチームプレイの勝利やけど。
「ブルースからうち含めてレギュラー5人が川添に行く。その中には大貫もおるよ」
外井君の顔つきが変わった。トモカズは有名人やなあ。
「それから他のシニアにも協力してくれる子がいるし、ボーイズだと星野君と楠君がその漫画みたいなことを一緒にやってみたいて言うてくれた」
「えっ、星野と楠って榎田の?」
榎田ボーイズは大阪でもなかなかの強豪。星野君と楠君は1年生からあそこの中心選手として既に活躍している。星野君は傑出したアンダースローで、楠君は足の速い二遊間。どちらも喉から手が出る程欲しい人材やけど、意外と話が早かった。北堂シニアの黒木君と笹沢君もそうだけど、ちょっと突き抜けている選手の方がちゃんと説明したら興味を持って、私の計画に乗って来てくれる。黒木君と笹沢君は来年(中3)シニアではまだ敵だけど、高校に入ったらとても心強い味方になってくれるはずだ。
そして今うちの前におる外井君もそうやと思う。黒木、大貫、外井。うちが手を入れなくても将来プロで大活躍するこの3人のクリーンナップを見るだけでもお金払う価値がある思うで。
「そう、みんなで伝説を作ろうって言うたら乗り気になってくれたわ」
当然受験はあるけれど、川添高校なら根性入れたら大丈夫やろ。野球を続けていても来年の秋あたりから頑張れば受かると思う。ヤバそうな奴にはうちが家庭教師してもいい。こう見えてもうちは高校教師のスキルも持ってるんよ。まあ目の前の外井君の成績は知らないからこいつが1番不安やねんけど、口には出さない。プロ野球で活躍できる地頭があっても、成績はそれに比例してくれへんし、もともと野球で進学しようと考えている奴らが多いからなあ。
「マジか……そう言われるとちょっと気になってくんなあ。絶対強豪私立行った方がええのはわかってるんやけど、星野と楠もか。マジか。これ絶対付いて行ったらあかん奴やのにメチャ気になるやん」
そうやって口に出してくれるところは好感度高い。ここでうちが下手に口にだしたら逆効果やから内心でだけそう思っとく。
「別に今すぐ結論出せとは言わへんで」
外井君は黙って少し時間を置いてから口を開いた。
「ちょっと考えてみるわ」
外井君がそう言ったのでそこで別れたけど、連絡先も聞いたし十分脈ありやろ。あと2週間あれば首を縦に振らせられる。もし川添に来ると言ってくれたら野手転向を勧めて、なんならアドバイスしてもいい。高校入学まで1年半あるからその間に少しは伸びてくれるやろ。
次の日同じクラスの鷲尾君に話しかけられた。
「どうなんスカウト。順調?」
鷲尾君は中学に入ってからも順調に育ってくれていて、東荻ブルースでも2年生でレギュラーに定着している。
「まーね。とりあえず声をかけたメンバーは全員川添を受験してくれそう。でも全員受かってもうち入れて10人やからギリギリやね。せやけど同じ学年でこれ以上増やしても面倒やしなあ。多分声かけて無い中にも野球やってた子のひとりやふたりはおるやろうし」
もちろん鷲尾君は10人の中に入っている。だが10人の中にはひとりふたり受験で落ちる奴もおるやろ。かといって全体のレベルを下げたくもないんよね。あと数人声掛けして結果12人ぐらいになるのがベストかな。
「滝沢は女子代表にも呼ばれるやん。そのあたり大丈夫なん?」
それは一応考えてる。
「んー。次の世界大会はうちが高校に入ってからやしな。中学卒業したら高校野球に専念するってチームメイトにもお偉いさんにも伝えてるねん」
日本女子代表監督、それは野球界だったりスポンサーの意向できまる。うちはセクハラ前監督を引きずり落した。それからアマチュア女子硬式野球界の掃除をして、さらにスポンサーにもいっぱいサービスした。だってせっかくの女子初の世界大会なのに、役に立たない監督という重しのせいで負けたら嫌やろ?
中学生が日本代表に選ばれるなんてことは男子ではありえないけどうちの場合は十分その資格がある。実際監督としての立場で見ても女子代表の中で、一番頼りになったのはうち自身やからな。
「まあそっちは全然心配せーへんでええよ。もともと甲子園に行くための指導者としての腕試しみたいなもんやったし。あと心配なんは本職のシニアやね」
うちがそういうと鷲尾君は呆れた顔をした。鷲尾君はうちの周りの人間の中では常識人やからな。
「まあトモカズがすごいやる気だしとるから、なんとかしてくれるんちゃう?」
鷲尾君の言葉にうちは曖昧にうなずいた。
みなさま拙作ご愛読いただき大変ありがとうございます。
20話に達したのでそろそろまた宣伝をしておきますね。
【連載中:本作連載中は休載】
みんなで私の背中を推して
連載開始当初の予定:100話目途⇒現在:307話 6,510pt
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現代を舞台にした女主人公最強系のお話。芸能界+将棋です。そろそろ終わりが見えかけてきましたが、それでも350話ぐらいになりそうですね……
Stay Here
連載開始当初の予定: 30話目途⇒現在:41話 1,266pt
競馬ものです。現在は北海道からJRAに遠征して1勝したところです。50話でも話がたためそうにないですね。
【完結済】
音楽室と体育館 全169話 1,282pt
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バレーボールをこよなく愛する音楽教師の主人公最強もの
この作品がポイントが一番伸びているのでは?
ありがとうございます。
夏の潜水艦 全23話 814pt
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アンダースローに転向した高校球児のお話
こちらもポイントが伸びてますね。ありがとうございます。
ミスターフルベース 全16話 696pt
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高校球児が甲子園で起こす奇跡のワンプレーのお話
こうやって旧作をご評価いただけるのはありがたいことです。
音楽性の違い 短編 302pt
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人気デュオが「音楽性」の違いから解散するお話
こちらもありがとうございます。
宰相の失脚 全17話 296pt
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ナーロッパの成り上がり系のお話
本当にありがとうございます。
リージア顛末記 全14話 196pt
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ナーロッパ世界で国王が4人の王女のうち、最も王配として優れた婚約者を連れてきた娘を後継者にしようとするが……
ありがとうございます。
桜の下の彼女 全12話 142pt
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毎晩、幼馴染の女の子に酷いことをしてしまう夢を見る男の話。
個人的にはお気に入りですがポイントは伸びないのは何故?
以上です。今後も定期的に宣伝する予定です。本作ともどもよろしくお願いいたします。




