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ブラックなネコ  作者: 椿 雅香
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夏のイベント(2)

少し短いですが、キリが良いのでアップします。

 武史さんはと言いますと、喫茶『花梨』の看板娘のリカちゃんが好ましく思えましたので、ときどきデートするようになりました。


 でも、女の子って、どうしてこんなに身勝手なんでしょう。こっちが忙しくてもお構いなしに、遊びに行こうと誘いに来るのです。

 特に、ブラックなネコの捜索は、リカちゃんのあずかり知らないことですから、武史さんが、日課の散歩(捜索)に出かけるのに、同行したいと言われて、どうすれば良いのか分からなくなりました。


 公子さんに相談したら、公子さんは楽しそうに笑って言いました。

「一緒に探してもらえば良いんや」

「探すって。そんな、僕たちの秘密を打ち明けるんですか?」

「まさか、事実を言わんでも手伝ってくれるもんや。ウチなんかトオルくんやケイジくんと一緒に探したこともあるんやで」


 トオルくんだけじゃなくケイジくんまで手玉に取ったのです。武史さんは、冷や汗が流れました。


「なんて言って探してもらったんですか?」

「可愛がってたネコがおらんようになったって近所のおばさんに頼まれたから探しとるって言うたら、向こうが積極的に手伝ってくれたんや」

「頼まれたって?」

「アルバイトみたいなもんやって言うのがミソや。見つけたら、謝礼が出るって言うんや」

「謝礼って?それって詐欺じゃないですか」

「大丈夫。見つけてもろたら、ウチが謝礼出すし。

 多分、これから、次世代の会のみんな、出かけるとき、普通に探してくれると思うわ」

「金で釣ったんですか?」

「人聞きの悪いこと言わんといて、自発的に手伝ってくれてるだけや」

 

 とんでもないことを聞いて固まってしまった武史さんに公子さんが言いました。


「そんなことより、リカちゃんがしっくり来いひんなら……そや、試しに、八百屋のミヨちゃんを映画に誘ってみ?ちょうど、『マイ フェア レディ』やってるし。スペインの雨は平野に降る、ってあれや」


「そんな二股かけるみたいなこと」

 武史さんが憤慨すると、公子さんは肩を竦めました。


「良いんや。別にステディな関係やないんやろ?グループ交際の一環や。いろんな女の子がいるってこと勉強して、帰ってからの参考にするんや。

 それとも何?あんた、リカちゃん、元の世界へ連れてく気?」


 あり得ないって。

 

 武史さんは、へどもどしました。


「そうやろ?悪いこと言わへん。いろんな子とデートしぃ。そんでもって、どういう性格の子と相性良いか見極めるんや。せっかくのチャンスや、活用せな」

 

 その建設的な指導に、絶句しました。

 

 武史さんは、公子さんと会ってから、恋をするために必要なことを少しずつ学びました。そして、公子さんと出会うまで、どんなに時間を無駄にしていたか痛感したのです。

 

 公子さんが言うのは、こういうことでした。

 

 好きになった女の子を元の世界へ連れて行くことはできません。でも、向こうの世界では忙しくてできないこと、例えば恋愛を経験することはできるのです。つまり、経験値を上げて、恋愛のスキルを持って帰ることはできるのです。


 実際、ミヨちゃんとデートしてみて気付きました。

 

 女の子にもいろんな性格の子がいるのです。リカちゃんは、美人で性格がはっきりしていることもあって、男の子と対等に付き合いたいタイプですし、ミヨちゃんは、内弁慶で人見知りなこともあって他人に心を開きにくいのですが、仲良くなってしまえば側にいるのが居心地良いタイプです。ただ、遠慮深さが高じて、必要以上に遠慮し過ぎて本人もこちらも疲れることがあるようで、そういう場合は気遣ってあげた方が良いようです。

 

 こうして、武史さんは、公子さんというインストラクターを得て、恋愛の経験値を上げるべく日々研鑽に励みました。

 

 もちろん、ブラックなネコを探しながらのことです。



公子さんのおかげで武史さんの恋愛スキルは、徐々にアップします。

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