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理想

ーー半年前

ローテリアル大学の一室

学生が頭を抱えて座っている。

足音に気づき顔を上げる。


エイドリアン

 「君が転落事故の目撃者だね。」

学生

 「俺そうしたら

  まさか人が本当に落ちたなんて

  思ってなかったんです。

  だから、俺何もしなかった。

  ・・・どうしよう。

  その人死んじゃったて聞きました。」

エイドリアンが学生の肩に手を置く

 「大丈夫だ。君は何も悪くない。」

学生

 「でも。俺が通報してたら

  その人助かったかも。。。」

エイドリアン

 「事故被害者は転落後

  すぐに発見されてる。

  だから彼の死は君の責任ではないよ。」

学生

 「本当ですか。教授!」

エイドリアンがうなずく。

エイドリアン

 「警察がこれから

  君に事故のことで聞きにくる。

  君は何を見たんだね。」

学生

 「俺、あの日は、バーで飲んでて

  その帰りだったんです。

  珍しく月が綺麗に見えて

  普段見上げない空をたまたま見上げたら

  そしたら屋上から何か落ちたように見えて

  一瞬だたし、酔ってたから見間違いだと思って」

エイドリアン

 「その屋上からは落ちたのは何人だった」

学生

 「ええと。白い服と黒い服だったから

  二人?」

エイドリアン

 「・・・。私の目を見てくれるかい。」

学生

 「?」

学生がエイドリアンの目を見る

エイドリアンの瞳に黄金の魔法式が静かに浮かぶ。

挿絵(By みてみん)

 「君が見たのは一人だよ。

  黒い服の人物が屋上から落ちたんだ。」

学生

 「・・・」

学生の瞳から力が抜けていく。

 「ああ。そうだ。

  俺が見たのは黒い服の人一人でした。」

エイドリアン

 「いろいろ警察に聞かれるかもしれないが

  見たままを証言するといい。

  君は何も悪くないのだから

  すぐに終わるよ。」

学生

 「はい。教授」

エイドリアンはドアを開けると

歩き出す。

ーー廊下

エイドリアンと前から歩いてきた

警察官がすれ違う。

すれ違う瞬間

エイドリアンが呟く

 「アルフレッドの転落事故の

  死亡時刻を改ざんしろ。」

警察官

 「はい。」


ーーヴォルフ伯爵 邸

エイドリアン

部下に指示を出す。

 「量産拠点の封鎖は進んでいるか」

部下

 「はい。3拠点のうち2拠点が完了し

  残り1拠点が人工魔法石の魔道具の停止に

  時間がかかっています。」

エイドリアン

 「急げ、警察が拠点にたどり着く前に

  証拠を消すんだ。」

部下

 「はい。」

エイドリアンはそばに控えていた研究者を見る。

 「君は拠点に行き処理を手伝ってくれたまえ。

  いいね。ジェイミー。」

ジェイミー

 「・・・はい。教授」

 


ーーアシュフォード 郊外

複数の警察車両が施設を取り囲んでいる。

カイル

 「魔道具の納品先は3か所、

  既に2か所はもぬけの殻だった。

  ここが最後だ。急ごうぜ。」

ゼノ

 「ああ。」

ルシアンが心配そうにゼノを見る。

ゼノは視線に気づき

安心させるように微笑む。

 「ルシアン。俺は大丈夫だよ。」

ルシアン

 「・・・。無理しないでください。

  最近あまり眠れていないんでしょ」

  

ルシアンはゼノから聞いた

ジェイミー兄妹のおきた悲劇、

兄が最後に願ったこと。

そして兄のゼノへの思いを考えると

胸がつまる思いだった。

  

ゼノ

 「・・・。

  それでも前に進むしかないさ。

  行こう。証拠を消される前に。」

  

ルシアン達は研究施設に突入する。

施設は大きな施設だが人影がない。

ただ他の2拠点とは違い急いでいたためか

残留物が多い。


ーー施設内の一室

3人は残された残留物を確認していく。


ルシアンは古代術式の解析資料の断片を見つける

ルシアン

 「ここまで古代術式の解析ができているなんてすごい。

  これなら現代魔法の祖である古代術式を

  本来の威力で発動できるぞ。」

カイル

 「二人ともこっちに来てくれ。

  人工魔法石のサンプルがあった。」

ルシアンが人工魔法石を手に取る。

 「・・・。二層になってる。

  それぞれに異なる魔法式が書かれている

  一つは古代術式でもう一つは何だ?」

ゼノ

 「もう一つは恐らく魔法改変式だ。」

ゼノが魔法改変式の資料を広げる。

  

残された研究資料から

組織が研究目的がわかる。


ルシアン

 「古代術式を人工魔法石に組み込む。」

ゼノ

 「さらに魔法改変式を加える」

ルシアン

 「魔法理論を知らなくても

  誰でも魔法を使えるようになる。」

  

カイル

 「おい。おい。

  そんなことが可能になったら世界が変わるぞ。」

ゼノ

 「変わるどころか。

  アステリアだけじゃない世界がひっくり返る。」

ルシアン

 「・・・研究は最終段階まで来てるみたいです。」

ルシアンが資料を広げる。

 「被験者が人工魔法石で初めて魔法を使った

  実験結果がまとめられている。」


ギイ。ドアが開く音

警察官

 「ゼノさん。奥のプラントの鍵が開きました。

  一緒に来てください。」


3人は奥に急ぐ。

大がかりな魔道具が並ぶ。

その奥に見知った人物が一人立っていた。

 「やっと来たね。待っていたよ。」

ゼノ

 「・・・。ジェイミー。

  なぜここにいる」

ジェイミー

 「君たちにあの方の理想を知ってもらうためだよ」

ルシアン

 「人工魔法石に古代術式と

  魔法改変式を埋め込むことが出来れば

  世界を変える発明を何に使うつもりですか」

ジェイミー

 「さすが、アルフレッドの弟だね

  もうそこまでたどり着いたんだね。」

ゼノ

 「確かにこの発明は世界的大発明だろうな。

  だがそれ以外のも目的があるんじゃないか」

ジェイミー

 「そうさ。それは人々の日常を変えるだけじゃない。

  今の既得権益の仕組みを壊すことができる。」

ゼノ

 「狙てるのは貴族たちの利権消失か・・・」

ジェイミー

 「そうだよ。この技術があれば

  この国の腐敗した貴族社会を終わらせられる。」

ゼノ

 「・・・」

カイル

 「そのためには犠牲者を出してもいいのかよ。」

カイルが持っていた研究資料をルシアンの前に投げる

 「その資料では人工魔法石の研究課程で

  大規模な被害が出て入いるじゃないか」

ジェイミーは3人から目をそらし。

 「・・・。理想のために多少の犠牲は仕方ない。」

ルシアン

 「ジェイミーさん、

  人工魔法石の危険性に

  本当はわかってるんですよね。」

ジェイミー

 「この研究は完成したことを証明する!」

ジェイミーは人工魔法石を取り出すと発動しようとした。

だが人工魔法石に亀裂が入り、光を放つ。

ジェイミーに魔力が大量に流れ込み爆風が襲う。

ジェイミーが倒れる。

カイル

 「まずい。暴走だ。」

ゼノがジェイミーに走り寄るとジェイミーの手から

人工魔法石を放そうとする。

ゼノ

 「く。」

ジェイミー

 「辞めるんだゼノ。

  君まで暴走に巻き込まれぞ。」

ゼノ

 「それはできないな。

  あいつにお願いされたからな君を助けてほしいって」

ジェイミーは困惑する。

 「・・・アルフレッド」

カイルはルシアンの前に立ち

防壁魔法を展開している。

 「くそ。近づけない。

  何か暴走を止める方法は・・・」

ルシアン

 「カイルどいてくれ。

  俺が止める。」

ルシアンは魔導書を開き

右手で魔法式(術式破砕魔法)を展開

魔法がゼノ、ジェイミーを包む。


だが人工魔法石が紫から白へ変色し、光が強くなる。

溢れた魔力で施設全体が揺れる


ルシアンは押し負けそうになる。

 「だめだ。押し負ける・・・」

ガシ!

カイルが後ろからルシアンを抱きかかえ

ルシアンの右手を両腕で支える。

ルシアン

 「カイル!」

カイル

 「しっかりしろ。

  お前ならできる。」

ルシアン

 「わかってる」

ごおおおお

バリン、

人工魔法石が砕け散る。

カイル

 「やったか。」

ルシアン達は二人のもとへ走る。

ルシアン

 「大丈夫ですか!」

ゼノ

 「ああ、何とかな」

ジェイミー

 「どうして君は

  僕のためにここまでしてくれるんだい。。。

  全てなにもかも遅いんだよ。」

ジェイミー

 「僕は君のお兄さんを。。。」


・・・


ルシアンが手をジェイミーに差し出す。

 「まだ遅くなんてありません。

  一緒に変えましょうよ。」

ジェイミーはルシアンを見る。

その姿はアルフレッドに面影が重なる

ジェイミー

 「うう。。。」

挿絵(By みてみん)

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