霧の向こうに残された真実
ルシアンとカイルは椅子に座わって
組織について話している。
カイル
「組織の目的いや教授の目的は
世界の法則改変により
腐敗した貴族社会を終わらせることか?」
ルシアン
「そうだろうな。。。」
ルシアンが考え込む
カイル
「どうした?」
ルシアン
「いや。
教授をそこまで思わせたのは
何があるんだろうと思ってな」
カイル
「確かに
地位も名誉もあるし
名門貴族の爵位持ちだしな・
普通なら特権の恩恵を受ける側だからな」
カイル
「まあ。真意は直接聞くしかないな。」
ルシアン
「ゼノさんが家宅捜索、逮捕の令状を申請してる。
ただ上は難色を示してるらしい。」
せっかくジェイミーさんの証言も得られてたのにな。」
カイル
「これだけの証拠が出てきてもだめなのかよ。
教授が嫌悪していた貴族特権が防壁に
なってなんて皮肉だな。」
ガチャ。ドアが開く
ゼノ
「二人とも待たせたな。
やっと上が家宅捜索を認めた。」
カイル
「よし。」
ゼノ
「今から、エイドリアン教授の屋敷に向かう。
二人とも準備はいいか。」
ルシアン
「大丈夫です。」
カイル
「いつでも行けますよ」
ーーヴォルフ伯爵 邸
ルシエド
「エイドリアン様。
もうすぐ警察がこちらに来ます。
いかがなされますか?」
エイドリアン
「・・・。歓迎しようじゃないか。
お迎えする準備をするように」
ルシエド
「かしこまりました。」
ルシエドが部屋を出ていく。
エイドリアンが人物画見る。
男性が4人描かれている。
幼いころの記憶がよみがえる。
ーー30年前
幼いエイドリアンが花を手に持って廊下を走っている。
今日は大好きなあの人の家に遊びに来ていた。
エイドリアン
「このお花をあの人と父様に見せてあげなくっちゃ」
エイドリアンは父たちがいる中庭に急ぐ
エイドリアン
「父様!、〇〇様」
ベンチに座っている
エイドリアンの父が顔を上げる。
エイドリアンの父
「エイドリアン。
どうしたんだい。そんなに急いで」
エイドリアン
「父様。あのね。
綺麗なお花が咲いていたので
〇〇様と父様に見せたくて」
エイドリアンの父は少し悲しそうに
「そうか。それはありがとう。」
エイドリアンの父はそういうと
膝に頭を載せている人物の髪の毛をなでる。
その人物は燃えるような赤毛の男性だった。
エイドリアン
「〇〇様。寝ちゃってるの?」
エイドリアンの父
「・・・。
そうなんだ。たくさん頑張ったからね。
少し眠ってるんだよ。」
エイドリアンが残念そうに。
「そうかあ。お話したかったなあ」
エイドリアンの父は
エイドリアンの頭をなでる。
「エイドリアン。
お願いがあるんだ。
〇〇が起きた時に彼が好きな
コテージパイを一緒に食べたいから
ハンナのところに行って
準備してくれるように言ってくれるかな。」
エイドリアン
「うん。わかった!」
エイドリアンの父
「ハンナは屋敷の外で庭の手入れをしているからね。」
エイドリアンは父に手を振り
屋敷の外に向かう。
屋敷の外では使用人たちが集待っていた。
その中にハンナを見つけると
駆け寄る。
エイドリアン
「ハンナ!」
ハンナ
「エイドリアン坊ちゃん。
どうされました」
エイドリアン
「父様がコテージパイと
お茶の準備をお願いするようにって」
ハンナが戸惑いの表情を見せる
「?おかしいですね。
私たち使用人全員で庭に集まるように
言われているんです」
バーン。
その時突然の爆発音と
屋敷から火の手が上がる。
エイドリアンは驚き
「父様と〇〇様がまだ中にいる。
助けなきゃ!」
エイドリアンが屋敷のドアに触れた瞬間
体が後ろに飛ばされる。
ハンナが慌ててエイドリアンを抱き起す。
屋敷には結界が張られていて何に入ることができない。
エイドリアンが叫ぶ
「父様!〇〇様!」
ーーヴォルフ伯爵 邸
エイドリアンは人物画に触れる。
エイドリアン
「父様。
あなた方を切り捨てた
この国のあり方を変えてみせます。」
エイドリアンがルシアン達を迎えるため歩きはじめる。
ーーヴォルフ伯爵 邸 玄関
執事がゼノ達を広間に案内する。
広間の中央にエイドリアンが立っている。
ゼノ
「エイドリアンさん。
あなたは
禁止されている人工魔法石の研究及び
殺人教唆の罪で令状が出ています。
ご同行をお願いします。」
エイドリアン
「それはできないな。
私にはしなくてはいけないことがあるんでね」
ルシアン
「世界法則を変えて貴族社会を終わらせることですか?」
エイドリアン
「・・・。そうだよ。
ルシアン。
この国のあり方は間違っている。
弱者は虐げられ貴族たちが恩恵を受ける。」
ルシアン
「貴方をそこまで追い込んだのものは
何なんですか?」
エイドリアンはルシアンの目を見る。
「この国は根底から間違っているんだよ。
忠義を尽くした者たちも簡単に切り捨てる
ような男が国を治めているんだからな。」
ルシアン
「?どういうことです。」
エイドリアン
「・・・」
エイドリアンが魔導書を開く。
「悪いが。
君たちとは一緒に行けない。」
エイドリアンが呪文を唱える
「魔導領域発動」
巨大な魔法陣が床に浮かぶ。
青白く光る。
ゼノ・カイルは身体強化魔法発動
ルシアンは魔導書を開き
魔法展開し、魔力の弾丸がエイドリアンに向かう。
エイドリアンの前に男が立つ
魔法防御壁
ドン。魔法防御壁に弾丸が当たる。
カイル
「ルシエド!」
エイドリアンが魔法発動
メテオ・ルーン発動
魔法陣が無数に展開し
光槍、雷がルシアン達を襲う。
ルシアン
3人分の魔法防御壁発動
ドン、ドン、ドドーン
ゼノ
「カイル、まずはルシエドを倒すぞ
一気に畳みかけるぞ。
俺に合わせろ。」
カイル
「了解!」
ルシアン
「援護は任せてください」
ゼノが魔力を脚部へ集中し、飛び出す。
高速でルシエドに迫る。
拳に雷をまとわせ連続攻撃
カイル
「ゼノさん。避けて」
カイルは地面を殴る。
衝撃波をルシエドを襲う。
ルシエドが吹き飛ぶ。
ゼノ
「ルシアン。今だ」
ルシアンが魔法を発動
上空に数十本の光槍を生成され、
エイドリアンたちに降り注ぐ。
エイドリアンが魔法防御壁展開。
ゼノとカイルはよろめき
なんとか踏みとどまる。
ルシアン
「おかしい。
魔法威力半減しているし
こちらの魔力消費が多き」
エイドリアン
「次はこちらからいかせてもらい」
エイドリアン詠唱
魔法発動『ブラック・ランス』
大きな黒き槍が出現し、ルシアン
めがけて放たれる。
ルシアン
「早い」
ルシアン、魔法障壁が間に合わない。
ルシアンは衝撃に備える。
ドーン。
ルシアン
「??」
ゼノとカイルがルシアンの前に立ち
魔法障壁を展開している。
ゼノ
「ルシアン。
このやっかいな魔法陣を破壊できないか」
ルシアン
「やってみます。」
巨大な解析術式が展開
キュイーン
魔法式が再計算されていく。
その間もエイドリアンの攻撃は続く
黒い球体が発生し、向かってくる。
カイルが拳で破壊するが瞬間
黒光りの雷がカイルを襲う
カイル
「く。」
ルシアン
「カイル!」
カイル
「大丈夫だ。それより早く頼む」
ルシアン
「よし。再計算完了、発動」
巨大な魔法陣が崩壊していく。
ルシエドが攻め込んでくるのが見えた。
ゼノが前にでて
地面に魔法陣を展開。
ルシエドが足を踏み入れる。
「ぐ。」
雷に身を貫かれる、
ルシエドが膝をつく。
ルシアンが懐中時計を握る。
「兄さん。力を貸してくれ。」
ルシアンが古代語の詠唱を終える。
巨大な赤金色の魔法陣が空中に展開
エイドリアンが驚愕の表情を浮かべる。
エイドリアン
「この魔法陣は!
なぜ。君がこの魔法を使える」
魔法陣から
数十メートル級の炎の鳥が出現
熱風が吹き荒れ壁が崩れ落ち
シャンデリアが砕け散る。
炎の鳥が咆哮を上げると
エイドリアンに襲い掛かる。
エイドリアンが炎に包まれる。
ルシエドが走りより
エイドリアンを抱きかかえる。
ドサ、
エイドリアンとルシエドが倒れる。
ルシアン達が二人を囲む。
ルシアン
「教授。もう辞めにしましょう。」
エイドリアンが立ちあがる。
「それはできないな。
理想を叶えると父とあの人に誓ったんだからね」
ルシアン
「・・・。理想ですか。
それは人工魔法石により大量破壊兵器の開発
も含まれるんですか?」
エイドリアン
「大量破壊兵器?
何のことだね・・・」
「そんな計画は、私は命じていない。」
カイル
「しらばっくれるな。
お前が命令して人工魔法石による
大量破壊兵器の開発をしてたんだろうが」
エイドリアン
「・・・」
エイドリアン
「私は知らない・・・
やつらか。」
ゼノ
「やつら?」
エイドリアン
「私で終わりではない。
私は一部でしかない。」
エイドリアンはポケットから
人工魔法石を取り出すと地面にたたきつけられる。
魔法陣が展開して床が割れ
火が燃え上がる。
ルシアン
「教授!」
ルシアンはエイドリアンに手を伸ばすが届かない。
エイドリアン
「ルシアン。君はアルフレッドによく似ている。
そしてあの人にも。。。」
ルシアン
「?」
カイル
「ルシアン。
だめだここから出るぞ。
崩れる。」
ごおお、バチバチ
ルシアン達は屋敷が燃え落ちるのを見ている。
ーー数日後
アシュフォード署 アルフレッドとゼノの部屋
カイルが調査報告書を読んでいる。
ルシアンがカイルの前にティーカップを置く。
カイル
「珍しいな。
コーヒーじゃなくて
今日は紅茶なのか。」
ルシアン
「たまにはな。」
ルシアンがカイルが持っている調査報告書を見る。
カイル
「焼け跡からはエイドリアン教授とルシエドの
遺体はみつからなかったそうだ。」
ルシアン
「そうか。」
カイル
「燃え尽きたのか逃げたのかわからねえな。。。」
ルシアン
「あの人は生きている気がする・・・」
ドアが開きゼノが入ってくる。
ゼノ
「ルシアン。悪がちょっと来てくれ。」
ルシアン
「?はい。」
ルシアンは署の一室に案内される。
男性が一人座っていた。
ルシアン
「ジェイミーさん!」
ジェイミー
「やあ。ルシアン。
呼び出してごめんね。
君にどうしても直接渡したいものがあってね。」
ルシアン
「かまいません。渡したいものって何ですか。」
ジェイミーが紙切れを鞄から取り出す。
ジェイミー
「アルフレッドから預かったものだ」
ルシアン
「!?」
ルシアンは紙切れを手に取る。
ルシアン
「これは魔導書の最終ページのだ」
ジェイミー
「アルフレッドは僕に
真実にたどり着いたものに渡すように言われた」
ルシアン
「・・・」
ジェイミー
「あの方、エイドリアン教授のことは
ゼノから聞いてる。
あの方を裏切る形になってしまたけど
僕は今でもあの方の理想は本心から
この世界を変えたいと思っていたもので
それが間違っていたとは思えないんだ。。」
ルシアン
「ジェイミーさんはこれから
どうするんですか?」
ジェイミー
「僕は司法取引に応じたからか
軽い罪になるようだよ。」
ゼノ
「司法取引だけじゃないぞ。
お前の熱烈なファンの魔道具オタクが
猛抗議したからな。
あの人の才能をこんなことで
終わらせるなんて馬鹿げてるってな。」
ルシアン
「ジェイミーさん。
あなたは一人なんかじゃないです。
俺やゼノさん、カイルそれにマリオだって
あなたを待ってます。」
ジェイミー
「・・・。
ルシアン。ありがとう。
君たち兄弟には一生返せない恩ができてしまった。」
ジェイミーはゼノに連れられて部屋を出ていく。
コツ、コツ
階段を上る音
ギー。ドアを開ける。
アシュフォード署の屋上
カイルが柵に寄りかかり夜空を見ている。
今日は珍しく良く晴れて星の明かりが辺りを照らしている。
カイル
「どうだ。話は終わったか」
ルシアン
「ああ。
兄さんの最後の遺品をもらった。」
ルシアンが魔導書の破片を見せる。
カイルが目を見開く。
「何が書いてあるんだ。」
ルシアン
「まだ見てない。
ジェイミーさんは真実にたどり着いたものって
兄さんから託されたそうだ。」
「カイル。
君がいなければ僕は兄さんの死の真実に
辿り着けなかったし、エイドリアン教授とも
決着を付けられなかった。」
「だからこれは君と一緒に見るべきだと思ったんだ」
カイルが頭をかく。
「よせよ。らしくないぞ。
・・・
取り合えず。見て見ようぜ
アルフレッドの残したものを!」
ルシアンとカイルは破片を見る
ーー魔導書の破片
ルシアン、どうやら真実に辿り着いたようだな。
あの人の理想は純粋なもので
やり方は間違っているが
この国を変えたいと思う気持ちは本物だ。
それを利用したやつらがいる。
Grand Arcane Council
組織を調べていて見たことのない
紋章・指示系統・暗号を目にした。
そしてのその存在を知った。
ルシアン、
お前ならこの謎をどうやって解明する?
ルシアン・カイル
「・・・」
カイル
「だそうだぞ。
どうするんだルシアン。」
ルシアン
「・・・。もちろん挑むさ」
カイル
「そう言うと思ったよ。」
ルシアン
「もちろん。
お前も一緒だからな。
頼りにしてるぞ。
相棒。」
ルシアンが手を差し出す。
カイルが大きくため息をつき
「仕方ないか。相棒だからな」
ルシアンの手を握る。
男の声
「二人とも俺は入れてくれないのか?」
ルシアンとカイルが振り返る。
ゼノが歩いてくる。
ルシアン
「もちろん。一緒ですよ!」
カイル
「頼りにしてます。
アステリアのエース様。」
ゼノは苦笑いを浮かべる。
ルシアン
「あ。流れ星」
3人が夜空を見上げる。
霧都の捜査録 ~消えた理論と兄の遺した魔導書~
完結
最後まで『霧都の捜査録 ~消えた理論と兄の遺した魔導書~』を
お読みいただき、本当にありがとうございました。
ここまで作品を追いかけてくださった皆様のおかげで、
無事に最後まで書き切ることができました。
【番外編のお知らせ】
本編では描かれなかった登場人物たちの物語や、
日常の出来事を描いた番外編も公開しています。
本編を読み終えた方は、ぜひこちらもお楽しみください。
■番外編公開中
霧都の捜査録 番外編 霧の灯台と人魚の伝説
https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3261020/
霧都の捜査録 番外編 図書館の光る猫と不思議な魔道具
https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3271527/
霧都の捜査録 番外編~魔法教室と消えた魔導書~
https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3279963/
もし本作を少しでも楽しんでいただけましたら、
・感想
・評価
・ブックマーク
などで応援していただけると、
今後の創作活動の大きな励みになります。
「面白かった」「このキャラクターが好きだった」など、
一言だけでもとても嬉しいです。
いただいたご意見やご感想は、
今後の作品づくりにも活かしていきたいと思っています。
改めまして、最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。
また、新たな物語についても構想を進めています。
公開の際には、ぜひまたお付き合いいただければ幸いです。




