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アルフレッド・櫻塚の最後の一日

ゼノが朝食の準備をしている。

ダイニングに二人分の食事が並んでいる

スクランブルエッグ、ベーコン、ソーセージ、ベイクドビーンズが湯気をたてている。

ゼノは紅茶の準備をする。

複数の茶葉の入った瓶を並べる。

ゼノ

 「今日はどの茶葉にするんだ。

  あいつは。」

ゼノが時計を確認し、2階に上がっていく

ゼノの部屋の向かい側の部屋の前

ノック音(コン、コン、コン)

ゼノ

 「・・・。起きろアルフレッド」

部屋からは何も音がしない。

ゼノがドアを開けて中に入る。

机の上には書類と魔導書が置かれてる。

ゼノはベッドの横に来て

ベッドの住人を見る。

ぐっすりと眠っている。


ゼノは大きな声で

 「アルフレッド。起きろ。朝だぞ。」

アルフレッド

 「・・・・ZZZ」

ゼノがアルフレッドの体を揺するが起きない。

 「アルフレッド起きろ。

  アル、朝だぞ。」

アルフレッド

 「・・・」

ゼノ

 「仕方ないな。」

ゼノが魔法展開

ゼノの腕を一瞬氷が覆う。

ゼノ

 「・・・」

ゼノが手をアルフレッド首に触れる。

アルフレッド

 「・・・!!!」

アルフレッドが目を開く。

ゼノ

 「お早う。アルフレッド」

アルフレッド

 「・・・。お早う。ゼノ

  普通に起こせ。」

ゼノ

 「何度も声をかけたが

  毎回起きないのはお前だろ」


その日もいつもと同じように

ゼノに起こされてアルフレッドの1日が始まった。


朝食を食べ、

二人は身支度を整えると署に向かう。


ーー電車の中

アルフレッドはタブレッドで新聞を読んでいる。

ゼノは雑誌を見ている。

ゼノ

 「アルフレッド、

  今日は署について事務処理が終わったら

  俺は例の転落事故の証言者に会いに行ってくる。」

アルフレッド

 「ああ。悪いが頼む。

  確か証言者は湖水地方から出稼ぎにきていた青年だったな。」

ゼノ

 「そうだ。今は地元(湖水地方)に帰っているらしい。

  夜には帰ってこれると思う。」

アルフレッド

 「彼の証言に少し引っかかるところがあってな。

  それを確認してほしい。」

ゼノ

 「了解。で待ち合わせはどうする。」

アルフレッド

 「転落事故現場で落ち合おう。

  時間が午後11時でどうだ。

  転落事故があった時間と同じに検証したいことがあるんだ。」

ゼノ

 「了解。それで大丈夫だ。」


ーーアシュフォード警察署 アルフレッドとゼノの部屋

ゼノが準備をしてドアに手をかける。

ゼノ

 「アルフレッド。じゃあ行ってくる。」

アルフレッドは手を挙げて

 「ああ。また現場でな」

ガチャ。ドアの閉まる音。


カリカリ。文字を書く音

アルフレッドは万年筆を置くと

ティーカップを持つ。

紅茶を飲みながら壁の時計を見る。


午前10時を少し過ぎている。

アルフレッドはコートを着ると

署を出て電車に乗り込む。


ーーアシュフォードの郊外にある墓地の駅

アルフレッドは電車を降りると

墓地の近くの花屋による。

花屋の店員

 「あら。アルフレッドさん。

  また会いに来られたのね。

  お花はいつもので良いかしら。」

アルフレッド

 「ええ。お願いします。」

アルフレッドは花束を受け取ると

墓地に入り、ある墓の前で止まる。

挿絵(By みてみん)

アルフレッド

 「やあ。キャサリン。

  また来たよ。」


アルフレッドは彼女がまだ元気だったころの思い出す。

初めて会った時は兄の後ろに隠れて自分とゼノを見ていた。

会う回数が増えるたびに色々な表情を見せてくれるようになった。

幼い彼女の笑顔が瞼に浮かぶ。


 「・・・。

  今日は大切な日で

  君の大切な人に大事な話をしなくちゃいけない。

  上手くいくように見守っていてくれるかな。」

アルフレッドは少女が笑ったように思えた。

アルフレッドは花束を供え

 「じゃあね。今度はゼノと一緒に来るよ。」

 

ーー13:20 ローテリアル大学

アルフレッドは大学の廊下を歩いている

目的の部屋の前に着く。

相手には事前に連絡はしてあるので

不在ではないだろう。

アルフレッドは深く深呼吸を1回してから

ノックする。

コン、コン、コン

中からの声

 「どうぞ。」

 

アルフレッドは部屋の中に入り

部屋の主の前まで進み

まっすぐに相手を見る。

アルフレッド

 「お久しぶりです。教授」

エイドリアン

 「君が私を訪ねて来るなんて珍しいね。」

アルフレッド

 「どうしても貴方と話さなければいけない

  ことがありましたので」

エイドリアン

 「・・・そうかい。

  まあかけたまえ。」

アルフレッドとエイドリアンは来客用の椅子に座る。

アルフレッド

 「教授、単刀直入に言います。

  彼を解放してください。」

エイドリアン

 「彼? 誰のことだい?」

アルフレッド

 「貴方なら私が訪ねてきた時点で

  わかってらっしゃるでしょう。

  ジェイミー・エリオットのことです。」

  

エイドリアンがアルフレッドを見る

 「ジェイミーくんかあ。

  彼は素晴らしい才能の持ち主だよ。

  私に必要な人物だ。

  それに私への協力は彼が望んで

  行っていることだ。」

  

アルフレッド

 「そうでしょうね。

  あなたはとても魅力的で

  あなたの理想は彼の絶望を救ったんでしょうね。」

  

エイドリアン

 「・・・」

アルフレッドがポケットから

袋を取り出す。

袋から小さな魔法石のかけらを取り出し机に置いた。


エイドリアンがそれを見る

表情に変化はない。

魔法石を見つめたまま数秒黙っていた。


アルフレッド

 「教授、貴方が証明したいのは

  私に話したものより

  もっと大きなことなのでは?」

  

エイドリアンが一瞬目を見開く

そして実に楽しそうにしながら

エイドリアン

 「ハハハ。本当に君は私を飽きさせない。」

 「そうだな。彼が望むなら解放しようじゃないか。」

アルフレッドがエイドリアンを見て真意を探る

アルフレッド

 「わかりました。約束してくださいますね。」

エイドリアン

 「もちろん」

二人の視線が交差する。


・・・・

沈黙


先に口を開いたのはエイドリアンだった。

エイドリアン

 「どうだね。久しぶりチェスをしないかね。」

アルフレッド

 「よろこんで」

アルフレッドとエイドリアンはそれから

言葉を交わすことなくチェス戦を進める。

挿絵(By みてみん)


アルフレッドが時計を確認する。

アルフレッド

 「すみません。

  教授、チェスの最中ですが

  お暇をしなくてはいけません。」

エイドリアン

 「そうか。残念だが

  また今度この続きをしよう。

  アルフレッド。」

アルフレッド

 「はい。」

アルフレッドは席を立つとドアに向かう。

エイドリアンが声をかける

 「アルフレッド、

  君がそんなに友人思いだとは

  知らなかったよ。」

アルフレッド

 「・・・。

  自分でも驚いてますよ。

  では、失礼します。」

アルフレッドは一礼すると部屋を出る。

ゆっくりとアルフレッドは歩き出す。

廊下の窓から差し込む午後の光が、静かに彼の背中を照らしていた。

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